ARCHICAD
株式会社 ixrea(イクシリア)
代表取締役 吉田 浩司 氏
所在地:鹿児島県鹿児島市、福岡県福岡市博多区
創 業:2013年4月
従業員数:6名
主な業務内容:建物の企画、コンサルティング、設計および監理建物の保守、管理および総合マネジメント業務不動産活用に関するコンサルティング業務 等
かねてより建設業界(特に設計)の生産性の悪さを感じていたという株式会社 ixreaの代表取締役 吉田 浩司氏。
他社が手がけるBIMプロジェクトに衝撃を受け、ixrea立ち上げ当初よりBIMの導入を決めた。
設計スピードや施主との打合せのスムーズさが予想以上で、BIMを導入して3年になるが、もはや2次元には戻れないと感じている。
今回は吉田氏に、ARCHICADの導入経緯や効果、今後の展望について伺った。
BIMとの出会い
元々、建設業界(特に設計)の生産性の悪さには大きな不満がありました。
以前は2次元CADで図面を書き、3Dは別のソフトで全く別のデータとして作成していました。
3Dデータは当然図面とは連動せず、データもばらばらで、図面管理の手間は手書きと変わらず、プランの修正があるたびに全図面との3Dデータの整合性を整えなければならなかったりと、非常に手間でした。
設計業務とはそういう物だと思いながらも、悶々としていた時に、あるプロジェクトでBIMに触れる機会がありました。
BIMが実際に使えるレベルになっているのかという疑問はありましたが、BIMによる他社の設計を見て、衝撃を受けたのを覚えています。
3Dでの図面作成やデータそのものの拡張可能性に惹かれ、この先30年仕事をしていくと考えるとBIMしかないと考え、ixreaの設立と同時にARCHICADの導入を決めました。
導入から3年が経ちますが、もう2次元CADには戻れません。
外観(CG)
外観(写真)
BIMツールの導入
BIMシステムとして成熟しているとか、応用の幅が広いとか、法規への対応とか、いろいろと比較検討しましたが、一番重要視したかったのが、「デザインツールとしてしっかり使えるか」という点です。
モデルの入力手法は各社特徴がありますが、3次元のイメージを直感的に素早くモデルとして創りやすいと感じたのがARCHICADでした。
2次元でプランを描いていくのとは逆で、2次元をあまり意識せず、頭の中のイメージをそのまま3Dで作り込めば、いつのまにか2次元図面もベースができている。
模型でスタディをしながら建物のイメージを作り上げていくだけで作図も同時に進んでいる。
というような感覚で作業ができ、3D画面での編集も簡単で、迷いなく選定しました。
また導入検討時期にGRAPHISOFT社と日建設計の業務提携が発表され、今後の改善、機能拡張にも大きく期待できたというのも一因です。
住宅内観(CG)
ARCHICAD(BIMソフト)を使うことによっての優位点(会社の発展など)
まずは初期段階で、依頼~提案~基本プラン作成までのスピードが全く違います。
弊社では最初の提案でパースをメインに出すことにしています。
1回目の段階でこちらのデザインを明確に伝えることができるので、気に入ってもらえると、そこからの打合せがすんなりと進むケースが多くなりました。
これによって、提案から正式な受注までの期間も短くなっています。
提案から基本プラン作成までの打合せについても、基本的には3Dイメージを見ながら進めています。
というか、2次元図面を出しても3Dしか見てもらえないというのが現状ですが。
施主とのコミュニケーションの中で、2次元では得られない気付きもあり、3Dで打合せをしていると、イメージの相違という問題はほとんど起きません。
また実施の段階でもBIMの恩恵は大きいものです。
まだフルBIMとはほど遠い使い方ではありますが、図面の修正や不整合の調整が簡単なだけでなく、図面の一元管理、図面の自動生成などで作業負担は確実に減っています。
作図よりモデル作成の方がウェイトとして大きいので、作業をしていて楽しいというのも、大きな負担軽減です。
提案書
提案書
提案書
ソフトウェアへの期待と今後の可能性
まだまだ不完全な部分や使いにくい部分もありますが、実はそれは2次元CADと同じ図面を出力しようと思うから感じる部分が多いのです。
当然、BIMソフトが従来の2次元CADと同様の図面出力ができるようになるのもいいことですが、BIMソフトならではの利点を追求し、仕事の仕方自体を、BIMソフトに応じたやり方に変えていかないといけないと感じています。
そのためには、BIMが建築生産のプラットフォームになり、設計、施工、維持管理の全ての生産過程において一貫してデータ活用できるようになってほしいですね。
IFCのような標準規格をより深めてもらい、どのソフトを利用しても、データの一貫性を崩さず全生産過程で有効に活用できるようになれば、まさにこの業界の革新が起きると期待しています。
また、BIMデータをFMに活用しようと考えると、今作ったデータを何十年後も使える必要があるので、ソフトの後方互換性にもしっかり配慮してもらいたいです。
現在の社会情勢と今後の動向を考えると、建築のengineeringの部分はBIMソフトにより徹底的に効率化し、設計・施工ともにもっと生産性を上げていかなければならないと考えています。
設計者は、建築のarchitectureの部分により注力し、施主だけでなく、地域社会へのコンセンサスを、BIMを用いて獲得することで、よりよい建築を生み出せる仕組みが作れるのではないでしょうか。
新たな建築生産のあり方を、技術者たちが自ら考え、実行していかないといけない。
そこにこの仕事の楽しさと可能性があるような気がします。
最終更新日:2019-05-14
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