EX-TREND武蔵(エクストレンド武蔵)
桜井建設株式会社
土木部 係長 能登 景章 氏
所在地:富山県黒部市
創業:1944年8月
資本金:5,500万円
事業内容:建設業(土木・建築・舗装工事)、宅地建物取引業、石油販売、生コンクリート製造販売、製材業、マンション賃貸業
富山県黒部市に本社を置く桜井建設は、この地で70年もの歴史を持つ地域密着型の建設会社。
公共土木を中心とする土木事業と、住宅から公共施設まで幅広く扱う建築事業を経営の両輪に、堅実な成長を続けている。
平成25年度から国土交通省直轄工事で1万㎥以上の土工においてTS出来形管理が一般化となったことで、初めて取り組んだ情報化施工について、土木部の能登氏に話を伺った。
重要なのは3Dデータ作成
TS出来形管理を行うには、設計データの作成、TSによる出来形観測が必要となり、データは、「施工管理データ交換標準XML」を使用するため、これらに対応しているソフトウェアなどの機械類が必要となる。
出来形観測も従来、レベルで観測して書き取りを行う方法であることが多いが、TSを利用して出来形を観測するなど測量方法もこれまでとは異なる。
今回、桜井建設では、初めてのTS出来形管理をバイパス工事の路体盛土工事で実施。
現場は盛土量が1万㎥を超えており、一般化されたTS出来形管理を実施することとなった。
現場状況
現場を担当した能登氏は事前にTS出来形講習会に2回程参加していたが、実際にデータ作成を行ってみると、戸惑うことが多かったそうだ。
ただデータ作成さえクリアしてしまえば、効率化効果が実感できると能登氏は話す。
「講習は受けたものの、実際にやってみると分からないことだらけで戸惑いましたが、販売代理店や福井コンピュータのサポートに教わりながら何とかやりきりました。
取り組んでみて痛感したのは、TS出来形管理そのものよりも、これを行う前段階の3Dデータ作成の重要さです。
私の場合、EX-TREND武蔵を使うのが初めてだったこともあり、慣れるまでちょっと厄介でした。
裏返せば、これさえクリアすれば、丁張りも測量も簡単だし、いろいろ省略できるので、TS出来形管理自体の効率化効果は非常に大きいと思いますね」
TS出来形管理を行った路体盛土
データ作成が大変という点もTS出来形管理ではよく言われる点ではあるが、EX-TREND武蔵では、CAD製図基準に
準拠した平面図、縦断図、横断図から自動解析して、設計データの作成を全自動で行う機能も搭載。
また、入力データからリアルタイムに立体形状表示ができるため、入力ミスを視覚的に確認できるのも特長。
これらの機能により、難しく感じずに入力を済ませ、確実な設計データ作成が行えるところがEX-TREND武蔵の大きなメリット。
各図面から、設計データに必要な情報を数値化する作業に多大な手間がかかるため、これらを確実に素早く行えれば、格段に省力化・効率化が図れることになるからだ。
また、CIMとの連携を見据えたLand-XMLデータの読み込みにも対応。
設計段階で作成された3次元データをLandXML形式で取り込むことで、設計データ作成の手間が大幅に削減できる。
TSやソフトウェアなどの便利機能で作業性向上
TS出来形管理は計測作業の効率化、帳票作成の効率化などの効果が挙げられているが、施工中においても活用することができる。
その効果について能登氏は、
「特にミス・手戻りの防止という点で、TS出来形管理は非常に効果的な手法と感じました。
実は前回の現場でも盛土があったのですが、従来式で法丁張りを出すなか、間違えて出し直しするというトラブルが起きてしまいました。
しかし、今回のようなTS出来形管理なら、1回出して確認するので間違えようがありません。
器械のセットさえ成立すればミスはなく、手戻りも起こらない。
自ずと作業効率は向上するし、法面の上り下りも減るので事故のリスクも小さくなります。
当然、現場の品質も向上するでしょうね」
とミス・手戻りの防止という点で効果を実感できたそうだ。
能登氏は今回の現場で初めてEX-TREND武蔵を使用したが、
「前述の通り多少手こずりましたが、福井コンピュータのサポートが非常に便利で大いに助けられました。
特にWEBで「コールバック申請」を申し込むと、サポートからすぐ折り返し電話がきて、何でも聞けるのがいいですね。
さらに、分かりにくい操作はリモートサポートで同じ画面を見ながら支援してもらえる。
おかげで操作修得にはひと月もかかりませんでした。
で、慣れてしまいさえすれば、武蔵は今まで触れたCADの中で、自分的に合っていると思いました。
現場作業に合ったコマンドが多数あるし、上手く使えばそれだけで効率化の効果は大きいですね
と語ってくれた。
誇りと向上心を持って取り組む
桜井建設では、TS出来形管理が必須化された現場ではもちろん、1万㎥以下の現場でも試していく方針で、さらに、TS・GNSSを使った締固め管理にも挑戦する予定だ。
能登氏は、
「情報化施工に及び腰の土木会社も多いと聞きますが、今は土木もコンピュータを駆使して先端的な工法や高度な技術でモノを作る仕事となりました。
誇りと向上心を持って取り組めば、役所も認めてくれるし点数もつきます。
これはもう、どんどん前向きに取り入れていくべきだと思いますよ」
と今後の情報化施工に対する積極的な取り組みを語ってくれた。
EX-TREND武蔵 設計データ作成・帳票作成機能
平面図・縦断図・横断図から自動解析も可能
LandXMLデータから設計データを作成
各路線の取り合いを確認
XMLデータから帳票自動生成機能搭載
最終更新日:2015-03-02
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