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建設DX活用事例

建設ソフトやハードウエアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

全てをカバーするワンストップBIMツール

藤岡郁建築設計事務所

Vectorworks Architect

藤岡郁建築設計事務所

藤岡 郁 氏

藤岡 郁 氏 

所在地:横浜市都筑区
設立:1991年

横浜で建築設計事務所を主宰する藤岡郁氏。ゼネコン、建築設計事務所を経て1991年に独立、藤岡郁建築設計事務所を設立した。東京、神奈川、千葉を中心に個人宅、共同住宅、商業施設の新築、リフォームを数多く手がける。早くからCADによる3D設計を取り入れ、施主との打ち合わせ、きめ細かい設計、的確な監理を実践している。

Vectorworksとの出会い

大学時代はもちろん、ゼネコン就職後も設計事務所勤務時代も基本的には手描きだった。平面図からパースまで全てが手描きで、図面の修正も楽ではなく、常に時間に追われていた記憶がある。独立して今の設計事務所を立ち上げた時も、当初は手描きで図面を作成していた。

ちょうどその頃、雑誌でVectorworks(当時MiniCAD)の存在を知った。手描きの延長で図面を描けそうに感じ、PowerMac7300を導入した。また、MiniCADは当時から3Dモデリングが可能であり、これまで取
り組んだことのなかった3次元にも興味があった。

CAD導入当時の使い方

実は、Vectorworksを導入した当初から3Dモデリングを活用していた。ただ、BIMのような使い方ではなく、主にパース作成用として3Dモデルを作成していた。図面は2D機能を使っていたため、3Dモデルと図面はリンクしていなかった。

3Dモデルを作成すれば、あらゆるビューで検討でき、自分の思い描いていることをモニター上で確認できる。基本的にモデルを作り込んでいくタイプであり、3Dモデルをもっと効率的に活用したいという気持ちはこの頃から持っていた。

BIMへ近づくワークフロー

以前設計した海辺の住宅のリフォームを計画する際、新築の時に作り込んだ3Dデータがあった。このプロジェクトでは躯体データを流用し、インテリアの什器レベルまでVectorworksで再現、さまざまなパターンをモデル上で検討していった。

3Dで作り込んでいくと、クライアントとの打ち合せにも有効で、キッチンテーブルの高さなど、内観パースと併せて検討していくことができるようになった。

当時のVectorworksには、モデルを切断し、切断面を2D図形として抽出する機能があり、このプロジェクトからこの機能を使い始めた。あらゆる3Dオブジェクトを切断してくれるため、図面作成の効率化が高まった。

この頃は、モデルと図面がリンクしておらず、オブジェクトの情報も集計できないことから、まだBIMと呼ぶレベルにまでは達していなかった。

室内空間(内観パース) 室内空間(完成写真)

 室内空間(内観パース)                室内空間(完成写真)

Architectの導入

大きな転機が訪れたのがバージョン2011の時である。RenderworksのエンジンがCINEMA 4Dになったので、パース品質向上と作成時間の短縮を求めてバージョンアップした。併せて、BIMを活用しようという気持ちが大きくなり、BIM機能が搭載されたArchitectにグレードを上げた。

これまで汎用モデリング機能であったものを、Architectに搭載されている壁ツールやスラブツールで活用し始めた。これらのツールは実際の壁やスラブと同様に、構成要素を持たせることができ、躯体から断熱材や仕上げまでを一つのオブジェクトとして作成できるメリットがある。

また、BIMとして必須なモデルと図面をリンクさせるビューポート、断面ビューポートが充実し、今までの願いであった「3Dモデルの有効活用」を実現することができた。

先に書いた通り、自分はモデルを作り込むタイプであり、2D図面を描いていくのは楽しくない。結局、図面を描くことが目的となってしまい、設計ではなく製図をしている感覚にとらわれてしまう。

Vectorworks Architectを使うと、3Dモデルで検討しながら、目的とする建築を追い求めることができる。建築ツールや汎用ツールを使って意図する空間を組み立てることができるため、設計に没頭することを可能にしてくれた。さらに、これまでの2D機能を併せ持つため、断面ビューポートで取り出した図面に寸法や注釈を記入していく作業もスムーズに行うことができる。

ここに、汎用CADから出発したBIMツールの強みがあるのではないかと感じている。

プラグインの活用

設計業務においてはVectorworksのプラグインも活用している。日影計算「A&A SHADOW」や天空率計算「A&A天空定規」で、集団規定を考慮した設計を進めている。

物件によっては、建物を10mm単位で動かしながら日影計算や天空計算を何十回も繰り返し最大ボリュームの確保の検討を行うケースも多い。検討をしながら計算を繰り返すことができるのは、Vectorworksのインターフェースの良さと、シームレスに動作するプラグインの存在が大きいと思う。

また、竣工イメージを作る時には「CameraMatch」を活用している。現況写真を背景に、作成したモデルを簡単に重ね合わせることができるため、クライアントにイメージを伝えやすい。

最近のプロジェクトについて

現在進めているプロジェクトは集合住宅で、ここでもArchitectの機能をフルに活用している。

建築ツールや汎用ツールを駆使し、全ての要素をモデリングしているため、必要な図面や情報をいつでも取り出せる。例えば、断面図については断面ビューポートで取り出した後、必要な寸法を入力するだけで確認申請に使える図面を作成できる。平面図や展開図も各種ビューポートを使いモデルとリンクさせているため、設計変更があればモデルを調整するだけでアップデートできる。

このプロジェクトに必要なものが、全て3Dで存在している。そして、出力に必要なものはシートレイヤにまとめられているため、いつでもPDFや紙に出力できる。

思い描いていた理想を実現できた。


立面図
平面図

今後について

意匠設計ではBIM化を進めることができた。ただ、関係業者とのやり取りはJW-CADの形式で出さなければいけない。せっかく3Dを活用しても、2Dのファイル形式で取り出す時に手間や問題が発生して
しまう。より多くの分野でBIM化が進めば、今よりずっと楽になるのだろう。
 最初から3Dで考えると自分自身の中でクリアになる。建築的な納まりなどの細かいところを確認できるため、現場がスムーズになる。各分野がBIM化してもらえれば、本当の意味でのBIMのメリットを享受できるのではないだろうか。

パース

 
 
 
この記事は「建設ITガイド」2014に掲載されたものです

最終更新日:2026-03-04

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