建築積算システム「NCS/HELIOS」
株式会社 TAK-QS
大阪事業部
躯体グループマネージャー
金谷 洋輔 氏
所在地:東京都江東区
設立:2003年7月
資本金:5,000万円
従業員数:87名
事業内容:建築積算、設備積算、積算関連サービス、
ソフトウェア開発
http://www.tak-qs.co.jp/
東京都江東区のTAK-QSでは、独自開発の見積積算ソフトを使用していたが、システムの柔軟な運用やトータルコストの削減等を目的に、パッケージソフトである建築積算システム「NCS/HELIOS」に変更した。独自開発のソフトに対する優位性と合わせ、「NCS/HELIOS」が持つBIM連携について話を伺った。
「NCS/HELIOS」導入前
「NCS/HELIOS」導入前は竹中工務店開発のホスト系システムである見積積算ソフトを使用していました。維持管理費用+電算処理費用が高い上に、積算期間の短縮や期中のVE盛り込み作業の増加、概算業務の増加等、顧客ニーズの変化によって、ホスト系システムでは休日対応などの緊急時対応が困難になってきていた背景がありました。
そこでトータルコストの低減、即応力強化、生産性・品質の維持向上を図るため、2006年に複数の市販積算ソフトを候補に挙げ、選定に向けて活動してきました。
作業風景
独自機能のカスタマイズ化
以前使用していた積算ソフトはコスト・機動力という点では劣っていたものの、自社開発ソフトということもあり、高度な積算精度の確保や操作性・機能性は優れていました。
「NCS/HELIOS」に移行時も、同等以上の品質・生産性をソフトに求めたため、開発元の日積サーベイに協力していただきながら、複数のカスタマイズを実施しました。その結果、品質・生産性ともに従来を上回り、機動性・即応性を強化することができました。
実際に「NCS/HELIOS」を使い始めて
「NCS/HELIOS」を導入するに当たり、操作・使用マニュアルを作製・活用し順次グループメンバーの教育を実施していきました。導入半年後には100%の完全移行を行うことができました。当時、メンバーに従来のソフトに比べて使用感など意見を聞いてみると、「操作がシンプルでとっかかりやすい」「配筋が図示されていてミス防止につながる」など、好意的な意見を多く得られました。「NCS/HELIOS」導入後に入社したメンバーにおいてもシステム理解のスピードが以前のソフトに比べ格段に上がったと思います。また、サポートも充実しており、安心して使用できる環境にあります。
構造リスト画面
オブジェクト配置の自由度
「NCS/HELIOS」はオブジェクトを配置するシステムです。従来のソフトでは困難だった曲面形状や扇形形状の建物も容易に配置することが可能となり、あらゆる形状のプロジェクトにて活用できています。積算結果についても求めている精度でお客様に数量提供することができています。
自由なオブジェクト配置
導入後の効果
受託量が増加する中でも、各担当の1件当たりにかかる工数も以前に比べ低減することができ、積算状況が視覚的に確認しやすいのでチェック等も行いやすく、若い世代が増えてきた中でも高い品質を維持できています。
また、毎年「NCS/HELIOS」はユーザー各社の意見を取り入れた機能追加や改良を実施しており、品質・効率向上につながっています。
受託するプロジェクトには地域を代表するような大規模プロジェクトもあります。そのような大規模で複雑な工法のプロジェクトでも、弊社のモットーである「はいQuality、はいSpeed」を保ち積算することができています。
参考:工数低減グラフ
BIM連携について
竹中工務店の設計プロジェクトでは、構造設計システム「BRAIN」を使用しています。構造分野での情報交換標準フォーマット、「ST-Bridge」により、BRAINのモデルデータを「NCS/HELIOS」に取り込み躯体積算に活用しております。2014年からの試行を経て2015年から実施に至っておりますが、データ入力の短縮となり業務効率向上につながっております。
また、TAK-QSでは「NCS/HELIOS」は躯体積算に活用していますが、今後はさらに加速するBIMの動きに合わせ、仕上積算にも活用すべく日々検証・試行を実施しております。
3Dビューワー
オブジェクト配置
参考:施工写真
今後「NCS/HELIOS」に求めること
建設業界では職人(技能労働者)不足が常態化しており、作業所においても省人化が大きな課題となっています。その中で、近年のプロジェクトを見てみてもハイブリット構造(S+RC造)やPCa工法が多くなってきています。PCa工法の場合、PCa部材数量と現場打ち数量を拾い分ける作業が発生しますが、手計算にて数量の調整をしているのが現状です。「NCS/HELIOS」にてリスト作成、配置作業にてPCa仕分けが容易にできるようなシステム開発をしていただきたいと思います。
また、近年加速するBIMの動きの中、施工図作成ソフトへの連携は進んでいますが、鉄筋工事については加工図作成へのデータ連動がそこまで進んでいないように感じています。今後は新たに鉄筋工事BIMソフトとの連携を視野に入れた開発もぜひ進めていただきたいと思います。
最終更新日:2019-05-14
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