「Saviour」で安全管理から書類の一元管理まで

地場中小建設企業が生き残るためには、顧客の信頼を勝ち取ることと、信頼される社員を育成することが必要不可欠である。しかし、この実現には膨大な書類やコストがかかり、中小建設企業の経営を圧迫してしまうのも事実。そこで、ITツールを駆使して、限られた資源の中で目的を達成した事例を紹介する。
会社概要 椿建設株式会社
所在地;山口県萩市
設立:昭和24年/資本金:2000万円/従業員数:22名/主な事業内容:土木主体
椿建設株式会社
代表取締役 椿 憲一
「地場で生き残る」を命題に
事業経営者の責任は、業績を継続向上させることであり、それに失敗したら全責任を負うものであることは言うまでもありません。そのためには、必要なことは徹底的に行う。会社を良くするために、また同時に社員を成長させるためには、「やる気のある者同志」で相当な決意をもって取り組む姿勢が必要だと考えています。
当社のような地方中小建設業が地場で生き残るためには、顧客の信頼を勝ち取ることと、信頼される社員を育成する以外にはないからです。
当社では、ISO9001、14001のほかにOHSAS18001の取得とこれらの同時運用を進めてまいりました。現在では、これらに加えて原価管理・工程管理をもマネジメントシステム化しすべてを統合運用しています。
総合的管理能力を持った社員の育成へ向けて
もちろん、これらのマネジメントシステムを運用していくには、膨大な文書を作成し社内共有しなくては機能しません。それにも増してここ数年は、発注者から要求される文書も品質・環境・安全など多岐にわたって増え続けており、効率的に管理するツールが必須となりました。これらの文書が増えるということは、業務の効率が落ちることになり、ひいてはコスト高になることを意味しています。
日常の現場作業と膨大な一般業務作業をこなすためには、優れた能力を持ち、すばらしい仕事をする人であっても、CALS/ITという時代に歩調を合わせることができなければ、建設企業に残ることができない時代となったと痛感しています。
当社では、さまざまなITツールを活用することによって社員の意識を劇的に変えることに成功しました。もちろんここまでの過程には、多くの壁を乗り越えてこなければなりませんでした。国語力といった施工技術以前の問題も大きな壁となりました。
現在では、当社にとってITツールやISOは、社会人としての人間教育や知識修得の場ともなっていると考えており、さらにこれらを継続して実践していくことによって、会社も社員も成長していくことができるものと確信しています。
安全管理で発注者より高い評価
このような会社作りに大きく貢献したものが、コンピュータシステム研究所の労働安全衛生総合支援システム「Saviour(セイバー)」でした。
安衛法の改正などにより安全意識の高まりが言われるようになり、当社においても建設業として社会的責任を果たす意味でも安全管理に関して前向きに取り組みを開始しました。Saviourではリスクアセスメントの基本である危険源の拾い出しを、土木積算システム「ATLUS Sophia」の工事積算データ連動によって容易に行う機能があります。本来は安全に関する考えは各施工担当者の経験によってバラツキのあるもので、会社としての統一的取り組みが困難でしたが、これらの不均衡をこのシステムによって解消することができました。また、リスクアセスメント資料から、安全手順書データの取り出しも行うことができ、これらに連動して「ヒヤリハット事例」や施工関係法令等のチェックもできます。これらのSaviourに搭載されているデータはすべてOHSAS18001の関係で十分に活用できるもので、何もない状態から運用することを考えれば飛躍的に運用を効率化できるものです。
また、Saviourはネットワーク使用が可能で、社員全員で情報を共有することもできるため、安全に関する意識向上に大きく役に立ちました。日々の施工で必要な資料だけを取り出すことができるため、各現場ごとの安全管理には無駄がありません。これらの資料によって現場管理を行っていることに対して発注者より高い評価をいただくことができ、それは工事成績点への反映となって現れました。
Saviourの汎用性にも注目

ATLUSで作成された積算データを利用することで、工事の危険・有害性の調査時間が大幅に短縮される。

災害ヒヤリハット事例・安衛法令早見表・ プロジェクト毎に制定した帳票様式から
作業手順集・安全管理ポイント・安衛則等、 必要な書類を素早く作成可能。
多数の安全管理データベースを搭載。 ワークフロー昨日も搭載。確認、承認、
配布作業も電子化される。
このシステムは、単に安全管理のツールという機能だけではなく、文書管理としての汎用性が極めて高いことも評価したいと思います。
当社では品質・環境・安全・原価・工程にわたる幅広い文書を作成共有しています。現場ごと、担当者ごとにこれらを効率的に一元管理することは容易ではありません。単に保存できるだけでは意味がない。抽出・活用・共有・提出までのプロセスをコスト削減させながらできなければ意味がないのです。これらを効率性を向上させながら実現する機能がSaviourにはあったのです。
Saviourを導入して自社社員のパソコンに対するレベルが標準化しました。現在ではネットワークでの利用に関しても社内で不安がない状態となりました。
さまざまな意識変化が現場技術者の総合的能力を向上させることにもつながりました。当社は社員全員が成長し続け、地域貢献できる建設業として、これからも多くの壁に挑戦し続けていきたいと考えています。
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