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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

農業集落排水管路施設計画・設計の効率化を実現

福岡県土地改良事業団体連合会

下水道施設計画・設計システム「Pipe Rapid」

 CADソフトを選ぶ際、汎用CADにするか専用CADにするか、迷うところである。今回は、従来の汎用CADではなく、実務である下水道設計に特化したCADシステムで業務効率を格段に高めた事例を紹介する。

福岡県土地改良事業団体連合会 所在地:福岡市博多区

 水土里ネット福岡(福岡県土地改良事業団体連合会)事業部環境整備課では、福岡県内の農業集落排水資源循環統合補助事業(通称:集排)に関わる計画・設計・助言および整備完了後の維持管理システムの構築等を主たる業務としている。また、県内での集排整備地区は平成18年度現在で60地区以上に上っており、新世代の農村環境は徐々に整備されてきている。
 当部署では、近年この下水道施設計画・設計システム「Pipe Rapid」(パイプラピド)を導入し、農業集落排水管路施設計画・設計の効率化を実現したが、その経緯と効果を紹介する。



水土里ネット福岡(福岡県土地改良事業団体連合会)事業部 環境整備課 技師 川口 和典 氏


水土里ネット福岡
(福岡県土地改良事業団体連合会)
事業部 環境整備課 技師 川口 和典 氏

導入の経緯

 平面図や縦断図の計画と作図は、数年前までは手描きで行っており、当然、顧客と打ち合わせ後の修正作業等に相当な労力を費やしてきた。 しかし、パソコンの普及とともにCADソフトでの計画・作図と作業は変化し、数量計算などは、ほとんどの業務でソフトを使用して業務消化を行っている状況にまでなった。 
 さらに、水土里ネット福岡では、電子納品に向けてCADソフトの統一を図り、最終的にCADソフトは(株)シビルソフト開発の「Rapid Draw(ラピドドロー)」を採用した。Rapid Drawの操作性にも慣れたころ、実験的にひとつの農業集落排水事業地区(管路施設全体設計16km)において、平面図作成の機能を有したPipe Rapidを使用して、その作業性と業務の効率について検証したところ、従来の汎用CADによる作図と比べると格段にスピードアップし飛躍的な業務の向上が確認できたため、県内の三事務所においてPipe Rapidの導入が決まった。

全体の流れ

 今までの下水道施設の縦断図作成手法は、図面の下部に縦断図作成ソフトで現況地盤を描き、上部に平面図を貼り付け後、下水道管路の計画を作図するというように、大きく3つのステップ踏むことになる。これまで市販されていた縦断図を自動作図するソフトを使っても地盤高等の数値を入力作業することで相当な時間を費やし、さらに設計変更などで修正の必要性が生じてきた場合には、再入力の作業が必要であった。
 しかし、今回導入したPipe Rapidは平面図作成⇒流量計算⇒管路計画⇒縦断図作成とすべての作業を順に追って自動でやることができるので設計期間が大幅に短縮できた。


測量データとの親和性

 現況平面図や現況縦断図は、DMデータやSIMAデータにより、これらの情報を一括でパイプにインポートすることができるため、現況図面出力およびこれらの情報を入力する手間(Pipe Rapidで計画するためのデータの準備)がなくなる。さらに、DM・SIMAデータをインポートしたあと、路線と取付菅の平面位置や高さ情報の入力、路線等の確認を行い、計算のコマンドを押すだけで縦断計画ができあがり、あとは、縦断図出力の設定を行って図面を作図するだけとなる。
 Pipe Rapidの仕様(計算等の構成)を把握し、計画条件等が整っていれば、ある意味、測量データをインポートするだけで、縦断計画ができあがるというイメージを持っている。


Excelとの連携

 Pipe Rapidの優れた機能のひとつとしてExcelとのファイル交換の柔軟性があげられる。Pipe Rapidによって計算された大量の数値情報データは、書式がExcelそのものであり、コピー&貼り付けによってExcelと自由自在にデータの交換ができ、事業主体からの数量集計や出力書式等の要望に対して大きな労力を費やすことなく対応することが可能になっている。


頼りになる保守サービス

 私がこのPipe Rapidを使って最も印象深かったのがサポートセンターの存在である。下水道のことを本当によく知っているのには正直驚いた。質問に対しても、丁寧に教えてくれたり、不具合の原因についてもデータファイルをメールで送れば解決してくれるなど、サポートの対応の良さにはありがたく思っている。


パイプ導入による成果

 下表に従来の作業工程とパイプ導入後の作業工程の違いを示す。

従来の作業工程  導入後の作業工程
従来の作業工程                   導入後の作業工程


さらなる将来への期待

  

  

 測量から設計分野まで、データ交換等の技術の発展に伴う作業の自動化は著しいが、設計業界がこれから期待するのは、維持管理分野までのデータ互換ではないかと考えている。近年では、GISと呼ばれる下水道管理システムが各自治体で導入されているが、こういったGISの標準的フォーマットとPipe Rapidのデータの交換が実現するとさらに用途が広がるものと期待している。
 このようなデータ連携が実現すれば、あらゆる施設の測量・設計・管理が全自動化となり、さらなる労力コストの削減が図れると確信している。








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