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建設DX活用事例

建設ソフトやハードウエアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

梁の自動組立・溶接システムの開発とCAD連携

五光工業株式会社

汎用3次元CAD「実寸法師3D」

五光工業株式会社
所在地:佐賀県佐賀市
設立:2000年
資本金:9,600万円
従業員数:61名
主な事業内容:重建築鉄骨およびその他製造物製作事業
 
五光工業株式会社
 
五光工業株式会社は、1974年に創業した五光建設株式会社の鉄構事業部より2000年に分社化して以来、工場・物流施設・オフィスビル・商業施設などのメインフレームとなる重量鉄骨の製作に従事してきた。
近年の業界は、需要の低迷・物価上昇・人手不足・労働時間の制限など抱える問題は少なくない。
この問題に対応するためは、省人化・自動化が重要と考え、梁の自動組み立て・溶接システムの開発に着手した。
実寸法師3Dはこのシステムとの連携の役割を担った。
 
 

はじめに

当社では、梁の製作においては従来どおり作業員がA1図面を見て組み立てをして溶接を行っていた。
人が介入するとどうしてもヒューマンエラーと品質のばらつきが発生した。
また需要の低迷・物価上昇によるコスト競争、熟練工不足・人員不足・働き方改革による生産量の低迷など業界が抱える問題は少なくなかった。
 
 

新システムの開発

この問題に対応するためには、省人化・自動化が重要と考え、2020年に梁の自動組み立て・溶接システムの開発に着手した。
開発に当たっては、国内造船メーカーへ数多くのロボット溶接システムを販売してきたクラネンドンク社(オランダ)に協力を仰いだ。
全自動で梁を組み立て・溶接する同システムは、取付部品保管用高層ラックと搬入バッファ、スマートマニピュレーター、ピック&プレースロボット、溶接ロボット、搬出バッファから構成される。
稼働では、取付部品保管高層ラックのパレットからガセットやプレートなどの鋼板部材をピック&プレースロボットがレーザースキャンで認識して取り出し、同時に搬入バッファに置いたH形鋼を自動で組み立て・溶接場所に移動させ、プレートをH形鋼に組み立て、組み立て溶接、本溶接(隅肉溶接)までを自動で行う。
寸法はCADモデルから抽出入力しているため事前に卦書く必要はない。
さらに、溶接が終われば搬出用スペースまで移動させるところまで全自動で行う。
 

 

 
 

制御ソフトとCADの連携

同システムの開発に当たり、一品一様の異なるさまざまな鉄骨製作で十分な性能を発揮するためには、システムの制御ソフトとCADの連携が不可欠と考えられた。
当社では以前より、日本ファブテックの建築専用鉄骨CAD「KAPシステム」と、タイワの汎用2次元CAD「実寸法師」を使用していた。
制御ソフトとの連携には仕上がりモデル、すなわち取り付ける全ての部品が製品単位にグループ化された3Dモデルが必要となるが、当社が単品図の最終仕上げを2D図面で行っていたことから、2021年に当時汎用3次元 CAD「実寸法師3D」を開発していたタイワに対し制御ソフトへの連携対応と改良を依頼した。
 
仕上がりモデルの作成には幾つかの方法が考えられたが、採用したのは実寸法師3Dの機能で2D図面をトレースして3Dモデルを作成する方法だった。
この方法には大きな手間がかかるようにも思えるが、専用CADの性能や運用方法に左右されず確実にデータ作成が行えることや、図面の仕上げとトレース作業を別の担当者が分担して行うことができるなどのメリットがあった。
さらにタイワによる改良もあり、この方法は十分実用に足るものとなっている。
 

 

 
 

実寸法師3Dの改良

タイワに依頼した実寸法師3Dの改良には、既存機能の改良、新機能の開発、IFC仕様の確定の3項目があった。
 
既存機能の改良では、①「三面抽出」という詳細図(三面図)から作業面を抽出する機能において正面図(断面図)の抽出枠を複数通り分作成しておいて後で一括抽出できるように、②抽出枠や作業面を追加する際に面名を連番入力できるように、といったことが実施された。
 
新機能の開発では、①継手情報を反映させて3Dモデルに穴を開ける機能、② 3D 骨材を自動作成する機能、③通り断面のプレートなどを自動認識して通りを基準に自動作成する機能といったものが新規開発され、これらの対応により 3Dトレースの作業時間を3分の1に短縮することができた。
 
IFC仕様の確定では、基準マーキングの表記方法や、製品ID、部品ID、部品カテゴリーIDがIFCファイル内のどこにどのように記述されるべきかを取り決め、その仕様でIFCファイルを出力するための専用モジュールを構築した。
このモジュールでは基準マーキングを追加した一次加工用のNCデータを同時出力する方式を採り、その際に溶接縮み補正を自動で行う仕組みも組み込んだ。
 

 
 

実寸法師3Dの導入

当社では、実寸法師3Dを2023年に7台導入し、うち4台はベトナムに配備して3Dトレースを現地で行っている。
3Dトレースは、実寸法師3Dの改良により作業面への配置後に属性を与えるだけの単純作業となったため2国間でよりスムーズな作業連携が可能となった。
 
 

さいごに

現状、単品図のファイル管理が「実寸法師」と「実寸法師3D 」の2つになっているため単品図の相違が発生する可能性がある。
「KAPシステム」、「実寸法師」、「実寸法師3D」が一元管理できるようなシステムが理想であり今後の改良に期待したい。
 
 
 
この記事は「建設ITガイド」2026に掲載されたものです

公開日:2026-05-25

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