Leica Nova MS60/Leica Flexline TS07/
Leica Infi nity ほか
大日本土木株式会社
所在地:岐阜県岐阜市
設立:1944年6月(創業1924年3月)
資本金:20億円
従業員数:927名
主な事業内容:建築・土木等建設工事の請負
https://www.dnc.co.jp/

大日本土木株式会社 建築技術部の皆さん
大日本土木株式会社は、創業以来日本の発展を支えるインフラ構築と建築事業に携わる総合建設会社。
長い歴史の中で培われた豊富な経験と確かな技術力を強みに、社会の多様なニーズに応える高品質な建設サービスを提供。
道路や橋梁、トンネル、河川、ダムといった土木工事をはじめ、商業施設や医療施設、公共施設などの建築工事に至るまで幅広い分野で実績を積み重ねている。
また、近年では環境保全や防災分野にも注力し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めている。

ゼネラルコンストラクターである大日本土木株式会社では、建築現場での施工精度の担保と施工管理の生産性向上を目的に2022年7月にライカジオシステムズ社製スキャナー搭載型トータルステーション「LeicaNovaMS60(以下、MS60)」を導入。
過去に導入済みの同3Dレーザースキャナー「LeicaBLK360G1(以下、BLK360G1)」やマニュアルトータルステーション「LeicaFlexlineTS07(以下、TS07)」を併用し、従来法から脱却した新たな施工管理方法を実践している。
そこで、現場の状況に応じて各機種を組み合わせながら、高精度施工と施工管理の効率化に成功した4つのアプリケーションの事例を紹介する。
鉄骨建て方精度管理
従来の鉄骨建方計測は、XY方向から2台のトランシットを用いて、1名もしくは2名の職員で鉄骨側面にスケールを当て、倒れを測定し、建方精度の管理を行っていた。
現在は、トータルステーション(以下、TS)を使用して、職員1名で鉄骨建方の精度管理を行っている。
TSでの鉄骨測定作業は、ノンプリズム計測と後方交会の器械点設定法を組み合わせることで建入れ精度確認作業を行うことができるため、1名での作業となり作業効率の向上を図ることができる。
鉄骨の位置精度確認は、TSで測定した柱表面の座標値と設計の座標値の差として画面に表示されるため管理が可能である。

画像-1 ノンプリズムによる測定状況 画像-2 TS による測定状況
(柱芯は事前にマーキングを行っている)


画像-3 TS画面上でのリアルタイムの誤差表示
地形測量
従来の掘削土量の算出は、設計図の現況図を基に行うが、全てのレベル記載がないため、算出者によって差異が生じることがある。
また、事前踏査できる場合において、オートレベルを使用して2名で測定をし、原設計のデータに新たなレベルを付加して掘削土量の算出を行っている。
MS60は、スキャニング機能があり点群データにより正確な地形データを取得できる。
また、同様に点群測量機能を持つBLK360G1を併用することで、広大な範囲においても短時間で効率的に点群データを取得できる。
データ解析においては、高度に解析できるソフトウエア「LeicaCyclone3DR」(以下、Cyclone3DR)を使用して莫大なデータから土量の算出が可能となった。
さらに得た3Dデータから断面図を作成し、他の計画にも有用なデータとして活用できる。
以上の計測は、1名かつ正確な土量の算出を行えることから作業の効率化および数値の精度向上を図ることが可能である。

画像-4 Cyclone 3DR による土量算出図 (黄色:現況面 赤色:設計面)
コンクリート打設時の平滑度確認
従来のコンクリートスラブ打設レベル確認は、土間工が回転レーザーを使用していることが多い。
しかし、レベル確認→天端調整→レベル確認とひとりで複数の動作を行うためレベル誤差が生じることがあった。
そこで測定したいコンクリート打設箇所にMS60より照射されるレーザーでリアルタイムに測定を行った。
MS60は照射によりレベルを即座に測定できるため、土間工と密に微調整を安易に行えることから精度向上を図ることができる。
コンクリート打設後のレベル確認においては、MS60のスキャニング機能やグリッドスキャン機能を用いて計測を半自動化でき、従来のレベル確認と比較しても省人化を図ることが可能である。


画像-5 回転レーザーレベル 画像-6 リモートキャッチャー
設置状況 (従来方法) 使用状況 (従来方法)

画像-7 MS60 設置及びレーザーポインタ 画像-8 モニタによるレベル誤差
照射状況(現行方法) 表示状況(現行方法)

画像-9 Cyclone 3DRを使用したヒート マップによる出来形評価図(現行方法)
LeicaInfinityを活用した工事測量
建設現場での工事測量や基準点の作成は、ミリ単位の精度が求められる重要な作業であり、その際活用しているのがLeicaInfinity測量ソフトウエアである。
LeicaInfinityの利点は、TSとGNSS観測データを統合的に処理できるソフトウエアで、精度管理や3次元網平均計算、ローカリゼーションなど多彩な機能を備えており、データの品質確認や計算が効率的かつ正確に行えることにある。
このソフトウエアの導入により、基準点の座標精度が向上し、精度管理や分析の迅速化が実現可能となった。
また、これまで信頼性に課題があった後方交会などの測量方法についても、高精度な測量に自信を持てるようになった。
まとめ
当社は積極的に社員に対して外注頼りのみにならないよう多様化および高度化しているICT測量機器の使用の普及を行っている。
従来の方法でも十分な施工管理を行うことができるが、働き方改革が進行中において、現場管理で測量にかけられる時間をさらに削減していく必要がある。
しかし、今までと同様の精度管理は必要であり、全て外注のみで完結できるものでなく、さらなる管理能力の向上を図っていくことが重要である。
その中で、今回紹介したICT測量機器は、建築現場にて測量時間削減および精度管理を両立できるツールとして期待しており、今後も活用を図っていく。

画像-10 建設現場における測量の基準点の3D網の作成作業
最終更新日:2025-05-28
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