写管屋クラウド
所在地:岡山県岡山市
設立:1980年6月
資本金:1億円
従業員:133名(グループ会社含む)
主な事業内容:土木工事業、建築工事業、建設関連資材販売事業 他
難波 氏
現場代理人 竹本 氏
理技術者 横山 氏
DX化が進む中、工事写真のクラウド化に着手。
現場写真に特化した仕組みである「写管屋クラウド」を採用し、共有化を推進している。
新しい技術を運用することで得られた効果を、株式会社三幸工務店に伺った。
工事写真のクラウド共有を社内で標準化
今や、さまざまな業務におけるDX推進の一つとして「クラウド化」が挙げられる。
しかし、工事写真などのデータの多くは、各々のPCや外付けHDDなど、ハードに依存している企業はまだまだ多いのではないか。
三幸工務店も例外ではなく、以前は各自PCで保存、工事が完了したらファイルサーバーなどに保存していた。
しかし、ある時落雷によりハードウエアが破損、保存データの復旧作業が生じるという危機を経験した。
また、2016年から施工管理ソフト「デキスパート」を採用しシステムの統一化を図ってきた。
さらに近年のタブレットやスマートフォンの急速な普及とともに、「デジタル工事写真の小黒板情報電子化」(国技建管第10号(平成29年1月30日))が始まった。
それに伴い、電子小黒板アプリ「SiteBox」を全社で採用した。
「SiteBox 」とクラウドサービスである「KSデータバンク」のみでの運用もできたが、最終的にはPCなどのハードウエアへの保存になる。
過去の苦い経験を基にその仕組みを生かしつつ、クラウドに工事ごとデータを蓄積できる「写管屋クラウド」の導入に踏み切った。
タブレット端末においてもPanasonic社製「TOUGHBOOK FZ-A3」を一人につき一台ずつ支給し、現場管理におけるDX化を会社として取り組んでいる。
このモデルは、過酷な現場でも使用できるよう、耐衝撃、耐振動、防塵・防滴や耐環境性能(温度)におけるさまざまな試験をクリアしている。
三幸工務店はこれらを使用し、「SiteBox」で撮影、同時に「写管屋クラウド」へデータ保存する仕組みを標準化した。
TOUGHBOOK FZ-A3で使用する「SiteBox」
一人一台体制でモバイル化を推進
データの安全性だけでなくさまざまな効果を発揮
「写管屋クラウド」はアカウントがあれば、誰でもデータを閲覧できる仕様になっている。
つまりは、時間や場所にとらわれることなく、インターネット環境下であれば自由に見ることができるようになる。
また、クラウド上で工事ごと、かつ「施工中」「竣工」のフラグを付けることができるため、過去の工事写真を分かりやすく誰でも確認することができるようになったようだ。
例えば、現場代理人が別の場所からその日の写真をチェックできるのはもちろん、一日に行った作業の進捗確認も容易になる。
これにより、写真の撮り忘れを防止するだけでなく、撮り直しが必要な写真も翌日の作業前に指示が出せるようになった。
つまりはこの仕組みにより、確実な施工と進捗管理の両面での運用効果が得られているということだ。
毎日の写真撮影状況から、撮り忘れなどを確認
アプリで入力した施工管理値がクラウドにも反映
もともと「SiteBox」には、電子小黒板を写し込み撮影するといった標準機能のほかに、出来形管理写真や品質管理写真の撮影ができる仕様になっている。
この機能は、撮影前にあらかじめ、PC側でのソフト「写管屋」で出来形管理を行う工種に対し、管理測点や設計値、黒板に貼り付ける略図などを設定する。
「SiteBox」での撮影時に設定した測点や略図を選択、実測値を入力することで電子小黒板に情報が反映され、出来形管理写真が撮影できるというものである。
双方を中継する仕組みとして、クラウドである「KSデータバンク」を経由する仕様となるが、この仕組みにプラスでアカウントを所有する人全てが閲覧できるようになるのが「写管屋クラウド」である。
「SiteBox」で撮影した写真は自動的に「写管屋クラウド」へ転送されるため、遠隔地からでもPCで写真を見ることができるようになった。
さらに撮影した出来形管理写真においては、「写管屋クラウド」内で写真と設計値、実測値を対比しながら確認できるため、万が一規格値割れなどのミスが発覚しても、速やかに是正措置が施せる。
竣工保存した写真は、若手技術者の手本に
「SiteBox」で撮影し「写管屋クラウド」へ転送された現場写真は、いつでも見ることができる。
まだ経験の浅い若手技術者にとって、被写体をどのように見せるか、どの範囲まで撮影するのか、また電子小黒板を写し込む位置や記入内容など、知りたい情報を過去の写真から参考にしたいケースは多くあるという。
そのような場合、従来なら同工種を施工している他所の現場まで写真を確認しに出向いたり、ベテランの技術者に過去の写真を探してもらう場合には、記憶に頼ることが多く、すぐに写真を探し当てられず苦慮していた。
そこで、これらの改善を図ることを目的として、「写管屋クラウド」を活用することになったのだ。
「写管屋クラウド」を利用してからは、過去の工事写真は、工事ごとクラウド上で「竣工」写真として整理することができる。
そのため、あらかじめ仕分けされた工種ツリーから、見たい写真をいつでも見て参考にすることができるようになった。
今までは電話などの口頭説明でイメージが伝わりにくかったが、若手技術者が自由に見て自ら学ぶようになった。
これまで過去の工事写真は、万が一のときのために保存することしかされていなかったが、共有することにより手本として生かされていることは非常にメリットだ。
今後は、工事写真以外もクラウド化が図れるようメーカーには期待したい。
(横山氏)
「写管屋クラウド」の連携イメージ
施工管理値を確認し、施工ミスを防止
最終更新日:2024-05-16
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