建築みつも郎
会社概要 株式会社 淡河
所在地:兵庫県神戸市
設立:昭和22年
主な事業内容:木造を中心とした、寺社も扱う建設会社
神戸市の株式会社淡河では、積算に関わる検算・書類の清書に時間がかかり、社内業務の負担となっていたが、積算ソフトの導入で、表計算ソフトでは考えられないほどの大幅省力化に成功。さらにデータを蓄積し、後で検索・有効活用できることでようやくIT化の意味がわかってきたという。
代表取締役 大上 佳伯 氏
はじめに
当社は神戸の北に位置するこの地「淡河」において創業60年余となり、2008年に地域の総合企業として新社名「淡河」といたしました。
建築の分野では、地元の木造建築を中心に、寺社仏閣など木材の良さを熟知したベテラン職人とともに歴史を刻んで参り、地元の名前に誇りと信用を刻んできたつもりです。
IT化の波
当社のIT化は、当初図面などを中心にパースなどプレゼン資料などの実現の方向からアプローチが始まりました。近くの新興住宅地での新規需要などを目指して、アピール度を高めたいとの方針で、モデルハウスなどに注力していたのですが、数字を扱う見積などには旧来の積算後のワープロ清書などといった方法をとっていました。
しかし、社内事務工程を見直すと書類作成のための時間や手数がとても多いことに気が付きました。積算完了から提出書類の完成まで、2~3日を掛けていたのです。清書と検算には金額が大きい場合、特に時間がかかっていました。
導入に当たって
そこで数年前に、見積の作業を専用ソフトで行うにはと、いろいろと探したときに出会ったのが「建築みつも郎」でした。
導入当初は正直言ってなかなかうまく行きませんでした。たとえば、木材の木だし表などをExcelで作成したデータベースがあり、これを使いたいと考えたのですが、当初はマスターに読み込んでもなかなか自由には使えませんでした。読み出したい項目が多くて、マスターから選ぶ作業が大変だったのです。しかし、電話のサポートセンターに問い合わせると、ヒントが浮かびました。
当社の場合は、大体拾い出しのパターンが建築仕様で決まっているので、それぞれのサンプルデータを汎用で作成しておくのです。そして、このひな形のデータを選択して、コピーします。
もちろん数量は規模によって大幅に変わりますが、拾い出しの項目忘れなどはなくなり、作業手数は一変しました。数件の見積書を作成すると、それを参考にする形で、次の見積書の作成はとても簡単でした。
階層毎のデータを簡単に移動する機能などは、表計算ましてやワープロの時代では考えられないものでした。
お陰で担当者は見積の変更も苦にならなくなったようで、営業担当者としてはとても楽になりました。
思わぬ副産物
新築の見積を「建築みつも郎」でするものだと思っていたのですが、よくある増改築の見積もやってみたのです。これがとても便利でした。
新築工事は予定通り進むパターンが多いのですが、増改築は施主様の変更や下地の関係で工法を変えないといけないことが多く、いつも最後にならないと金額や利益の把握ができませんでした。そこで実行予算の項目を活用して進捗にあわせて変更などを加味して入力すると、とてもリアルな原価管理ができるのです。また書式が自由に設定できるので、比較的金額の少ない増改築の見積はA4縦の形式にしています。
社内でも見間違いや勘違いを解消できるのと、カラーレーザーの導入で綺麗な印刷ができて、若い世代のお客様にも「しゃれてる」と褒められました。自社のオリジナル感がとても気に入っています。
真価
残念なのは、なぜもっと早く導入しなかったのか…ということです。というのも「書類エクスプローラー」の機能を使った時に、全身に電気が走ったように感激しました。この機能は、過去のすべてのデータを検索して、一覧表にしてくれるのです。
お客様からの問い合わせや営繕担当者からの依頼などで、過去の見積書を探すことは頻度こそ少ないのですが、ままあることなのです。図面は専用のキャビネットがあるので簡単ですが、見積書や成約時の書類添付の分はなかなか探せませんでした。
この「書類エクスプローラー」は、少し時間はかかりますが、コンピューター内をすべて探すことも可能です。現状ではまだ数年分のデータ蓄積しかないので、手作業に頼らないといけない部分もあるのですが、IT化とかデジタル化という言葉の意味がやっとわかったような気がします。「建築みつも郎」でデータを作成するということは、後に簡単にデータ検索できるということなのですね。
今後の課題
「建築みつも郎」は面白いソフトで、ちょっと慣れてくると請求書を作成したり、精算書のような書式を作ったりしてとても重宝します。
ただ、建設業の環境は厳しく、コスト管理がとても大変になってきました。進行基準での売上計上なども考えなくてはなりません。
当社もコスト意識を高める事が社内の重要な目標になっています。原価管理や工事台帳などの作成も…と考えていますが、まだ実現できていません。「建築みつも郎」のデータが読み込める「建設原価ビルダー」があるようですが、見積作業にさらなる合理化とプレゼン資料作成などを進めて、営業力のある良心的な地元建設会社と呼ばれたいと日夜努力しています。
最終更新日:2019-05-14
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