建築設備積算システム「PICK-UP」ベトナムで事業を開始し、ベトナム現地社員が積算業務を担っているAUREOLE CSD社。事業が軌道に乗りつつある中で問題となったのが、ベトナム人であるがゆえに、すぐには信頼してもらえない業務品質。そんな折に導入した積算システムが、業務効率化はもちろん、品質に対する信頼性を高めたという。日本支社の数野氏に話を伺った。
会社概要 AUREOLE CSD INC.
ベトナムの地で事業開始
私どもの会社は、平成13年ベトナムのホーチミン市にて、建築関連の日本の設計施工図積算を行う会社(特に空調衛生設備工事)として資本金85万ドルで設立されました。海外での事業は思いもよらぬことの連続ではありましたが、現在120名のエンジニアを要してようやく少し軌道に乗ってきたところです。 共産主義の国ではありますが、仏教国であり性格は温和で、また手先が器用で、現在日本人が大変弱くなってきている根気力(継続して業務を遂行する力)は目を瞠るものがあります。また知的レベルは大変高く向上しようとする意欲は、日本人の若者より数段上だと思います。特に弊社はハノイ工科大学ホーチミン工科大学等の卒業生が多く人的には大変恵まれていると喜んでおります。ただ日本語が話せる人が少ないという点は、頭の痛い問題です。このため日本語学校に行く社員には授業料を会社で払ったり、また日本語検定試験に合格した場合は、お祝い金を出したりして日本語を覚えることを奨励しています。日本語検定に合格した有資格者は全社員の20%また日常会話ができる社員は50%程度です。ODAで下手な支援を各国にするぐらいならもっと日本語の普及の手を政府に打って欲しいと思いました。 社員のスキルと品質
現状の空調衛生設備工事における要員のスキルについて少し話をいたします。積算および設計については、日本の標準的技術者のレベルに近くなってきています。特に積算については、あるお客様より「想定した時間より30%ほど時間が少ないので拾い落としがないか調べたが問題なかったので驚いた」との話しがありました。これはベトナム人の根気力および手先の器用さのためかなと思っています。ただ施工図については日本の現場を見る機会が少なく、まだマンションおよび事務所ビル程度のものしか書けません。今後の課題だと思っております。 PICK-UPを導入 「PICK-UP」は空調・衛生・電気設備の数量拾い出しから分類・集計、見積書作成までをスピーディに一貫処理するシステムで、拾い集計システムと見積書作成システムから構成されます。弊社が利用しているのは、この中で空調・衛生設備の拾い出し集計システムです。このシステムはTIFFファイル変換した図面データを画面に表示して拾い出し作業を行うもので、非常に効率的な仕事ができます。特長は以下の通りです。 図面上の拾った個所は配管やダクトの用途に応じて着色し、拾い長さを図面に表示する。
① マウスクリックで簡単拾い 図面データをマウスクリックするだけで材料を拾える。 このような面があり、品質という面でお客様に大変信用していただくことができました。また副次的な効果として、このソフトを社員の教育研修に使用でき、系統的に積算を教えることができました。日本の現状を見ますと今後高齢化はますます進み、技術者が不足すると考えられます。定型的なマンパワーな業務は、今後海外に依存するようになってくると思います。お客様にとって「特別な会社」をモットーに、より広範なお客様の仕事をいただき今後業務を拡大していきたいと考えています。 最終更新日:2019-05-14 |