「AutoCAD Map 3D」
会社概要 三重県菰野町
人口:約4万1,000人(2011年11月現在)
URL:http://www2.town.komono.mie.jp/
住民サービスの向上にGISを積極的に活用している事業体がある。三重県菰野町。AutoCAD Map3Dをベースにした上水道総合管理システムを導入、管路図や給水台帳などをGIS上で一元管理、作業効率が向上したことにより、限られた職員数でも円滑な事業執行を可能にしている。検索が容易になったことから、問い合わせ対応で好評を得ている。同町水道課の高橋正士課長、加藤正治課長補佐・公務係長にお話を伺った。
左から 水道課 課長 高橋 正士 氏、
課長補佐・工務係長 加藤 正治 氏
GISによる上水道総合管理システム
昭和39年9月に給水を開始した同町の水道は、1上水道・2簡水を運営、最終的に計画給水人口4万2000人、計画1日最大給水量2万750立方メートルの1上水道として統合を予定している。
同町では、GISを導入するまで、管網図や給水台帳などを紙ベースで個別に管理していた。「新たに管を布設すれば、その都度図面を赤字修正しなければならず、台帳類の検索も非常に手間がかかった」と振り返る。
そこで当時、マッピングシステムが出始めたことから検討を開始し、平成2年頃からGISによる上水道総合管理システムを導入している。同町が導入したのは、東洋テックのGISシステム「Netsse」。CAD分野で業界標準となっているオートデスクのAutoCADをベースに、CADデータとGISデータを統合、一元管理を実現するシステム。操作性、費用面などにメリットがあり、同町が当時検討していた他のシステムに比べて、約10分の1のコストで済むという。
作業は紙ベースの電子化と並行して実施。準備期間も含めて3カ年で作業を終えた。システム上には、詳細な管網図や、管種・弁栓類、給水台帳の他、地番図も含めて属性データが入力されている。
導入の効果
導入当初は、拡張期の最中だったため、管網解析などデータの二次的な利用に関心が集まったが、むしろ「配管図としての機能が想像以上に便利だった」と作業効率の向上を非常に評価している。管路や弁栓、給水管・メータなど地図データのほか、弁栓などの属性データ、給水台帳や配管図などの更新も容易。CAD積算システムも16年度から導入、完成図は属性データとして蓄積され、CADとGISの統合というシステムのメリットが発揮されている。
「データ更新はすぐに反映されるし、断水時にその箇所をピックすると、閉止すべきバルブを表示する機能もある。水道に配属されて間もない職員でも、断水に対応できるようになった」。同システムには、漏水時に断水の給水影響を把握できる断水波及シミュレーション機能もある。
また、住民サービスの向上にもつながっている。町名や目標物など地図検索や、使用者や住所などの属性検索など検索機能は充実。
「紙ベースだと土地勘がなければ、なかなか場所を探し当てるのは難しいが、住所が分かれば簡単に見つけ出すことができる。検索にかかる時間を大幅に短縮することができた」
基本機能の操作は容易なことから、住民からの一般的な問い合わせに対して、事務系の職員でも同課窓口に設置した端末を使い、即座に対応している。
今後はスマートフォンの活用も
今後の展開について、スマートフォンとリンクさせることで、外出中の職員が役場に戻らずに出先で配管図を確認し、開閉栓作業などが必要な現場にそのまま向かうことができるシステムを開発・検討している。すでに下水道総合管理システムなど他のGISシステムとも連動、相互に閲覧することが可能だが、今後、料金システムと連動させることも検討しているという。
また、同町が平成21年4月に作成した水道ビジョンでは、GISを活用した危機管理体制を強化するとともに、ブロック化など効率的な管網構築を挙げており、今後検討していくとしている。
[取材協力:日本水道新聞]
AutoCAD Map3Dをベースとした、GIS上水道総合管理システム
(東洋テック:Netsse)の主な機能
●断水波及処理
断水波及処理では、工事や漏水等の場合の閉弁を自動検索し
断水する管と家屋を強調表示。また、断水家屋一覧表示では、断
水影響のある水栓番号情報リストを表示する。この情報を元に、
案内が必要な対象者リスト、断水の案内票を作成することが可能
となった。
●地図検索処理機能
水栓番号、メーター番号、メータ設置場所、地番、使用者などの情
報により、該当データを検索し、地図を表示することが可能。また、
属性、給水台帳を表示することも可能。この検索機能により、住
民からの問い合わせに速やかに検索、対応することができるように
なった。
●検針順路
登録されている水栓情報より、選択した水栓の検診順路、使用者
一覧情報を自動作成することが可能。この順路情報により、検針
漏れの防止、効率化を図ることができた。
●印刷機能
地図検索処理機能により表示した地図情報から、出力したい範
囲を矩形により範囲指定することで、指定した用紙サイズ、縮尺で
自動分割して印刷可能。この印刷機能により必要な地域の図面
を自由に出力することができるようになった。

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