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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

下水道施設設計システムの導入事例

株式会社 日本水工コンサルタント

Civil Plazaシリーズ・Rapid シリーズ

 設計業務の省力化に導入したCADシステムをきっかけに、CALS/ECの理念である設計〜施工〜維持管理までのデータリサイクルなどを実現。さらには発注自治体のCALS/EC推進まで手がけるまでに至った日本水工コンサルタントの伊藤氏が、導入ステップから今後の展望までを語る。

会社概要株式会社 日本水工コンサルタント
所在地:さいたま市/資本:4,500万円/従業員数:92名

伊藤 久也氏
伊藤 久也氏

自社での取り組みとその成果

CADシステム導入

 当社では、平成2年に初期のCADシステムとして「ProjectSW(プロジェクトSW)」を導入した。導入当時は、単にテンプレートやレタリングの技術を求め、かつ繰り返し流用できることにシステムの魅力を見出していた。特に業務発注先において好評で、当時当たり前のようにされていたインクペン等による墨入れ原図レベルでの修正が容易にでき、かつ見栄えも好評であったため業務受注拡大につながった。

当時の業務課題

 CADシステム導入以前の設計業務委託時の設計図は、変更修正時の手間に多くの時間を費やしていた。
 特に設計図は、繰り返される変更作業に対して、原図へテンプレート等により書き込む作業の繰り返しであり、いかにこれらの手間を省力化・簡潔化するかが大きな課題であった。他にも変更経緯等の変遷を把握するために、膨大な図面などの管理に紙ベースの資料を残す必要があった。これらの各課題に対する改善ツールとしてCADシステムを導入した。

導入効果とその成果

 まず土木汎用CADの選定と専属のCADオペレーターを配置することによる効率化を目指した。導入当初はオペレーターに指示をする技術職員の不慣れもあり、作業効率の即時改善は見られなかったが、間もなく作業効率が向上し、作図の正確性・簡潔性に加え変更の容易さが相まって、客先(各発注自治体)で好評を得た。これにより結果として現在の業務受注拡大の足掛けに至る結果となっている。
 さらに現在では、平面計画・縦断計画・流量計算・数量計算までが一連のデータで取り扱われ、各段階での入力や変更依頼時の設計修正作業が飛躍的に効率化され、技術職員の時間的な余裕(残業時間の縮小と人件費の削減)を生むこととなった。

技術計算との連動システム

支援するツールであることが目的であった。しかし、今日ではCALS/ECの理念に基づき、設計〜施工〜維持管理に至るツールとして活用している。
 特に(株)シビルソフト開発の下水道施設計画・設計システムであるRapidシリーズのPipe Rapid(パイプラピド)は、基本計画〜認可設計〜実施設計(設計図面作成・流量計算・数量計算etc)〜工事施工〜維持管理図書(下水道台帳移行システム)のすべてに対して配慮された設計支援システムとなっている。
 さらに実施設計段階では、Civil Plazaシリーズの各技術計算の中で土質データ・管渠等の入力情報・管材等の基本諸元が共有データとなるとともに、すべて一連の流れの中で技術計算を実施するシステムとして完成されている。
 これらのCADシステム利用実績をベースにCALS/EC運用に向けた自治体との協調体制を次に示す。

発注者側との協調体制

 岐阜県大垣市では、平成12年度下水道施設計画・設計システムを導入した。導入に際し、使用実績のある専業設計コンサルタントとして、当社が要領作成等に携わった。これらの経緯を踏まえ大垣市の建設CALS/ECに対する取り組みについて紹介する。

平面図平面図

導入システムの選定

 大垣市ではシステム導入に当たり、高い品質が確保された市販の汎用ソフトを安価に活用することを目指した。このため実績のあるコンサルタントを対象にアンケートを実施し、どのようなシステムが有効的に活用されているか把握するとともに、CADベンダーへの聞き取りなども実施した。その結果、各種システムの費用、運用方法、将来への拡張性などの観点から抽出した数社によるコンペを実施、総合評価によりCivil Plazaシリーズ・Rapid シリーズの導入となった。

システム導入時のマニュアル策定

大垣市では下水道施設の設計に当たり、業務委託段階からRapid シリーズのPipe Rapidを指定するとともに、設計上の各種基準を盛り込んだテンプレート(受託成果)を提供し設計を遂行するよう規定化した。
 さらに設計業務による委託成果品が基準に沿った一定の品質を保つよう「電子納品要領」および「電子作図要領」を策定(当社受託)した。加えて当該システムの作業マニュアルとして「管渠設計支援システム使用手引書」を策定(当社受託)し成果品の品質確保に努めた。

システム導入効果

 これらの取り組みにより、コンサルタント側の成果レベルは一定以上の品質が確保できる結果となった。現在では平面計画(路線平面系統作成システム)の入力後は、基本システムにより縦断計画・流量計算・数量計算等が一連のデータとして取扱われており、各段階での入力や施工完了時の出来高作業等、飛躍的に作業効率が向上した。

下水建設計データの流れと操作コマンド
クリックで拡大します。

現在〜今後の展望

 また台帳管理においても、原図によるアナログ管理から地図情報システム(GIS)によるデータ整備に移行するとともに、建設CALS/ECで提唱される各段階でのデータリサイクルといった点において計画〜施工〜維持管理の各段階を連携させることとなった。

台帳システムの導入

 データ整備コストの縮減という課題に対しては、建設CALS/ECが提唱するデータリサイクルを構築することで効率化が可能で、その効果は大きい。現状でデータのリサイクル構造を早期構築するため、各路線の基本値をデータ保有するPipe Rapidをシステムの軸とした。
 具体的には、施工業者側にRapidまたは簡易版のRapid Drawを出来高入力ツールとして指定する方針とした。また、CALS/ECの最終段階である台帳システムには、Rapid・Rapid Drawより中間ファイルを出力し、GISへデータ移行している。

縦断図流量計算
縦断図                 流量計算

おわりに
 今後は、他都市でも同様なシステム構築を促しCALS/ECの推進に寄与するとともに、さらなるコストダウンに努めたいと考えている。
 さらに、次のステップとして各施設の適正な更新管理(アセットマネジメント)が容易にできるシステム作りに寄与できるよう研鑽したい。




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