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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

現時代構造ソフトの柔軟性と規則性の悩み

Structured Environment

一貫構造計算プログラム「ASCAL」

Structured Environment

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Structured Environment 代表
アラン・バーデン 氏

所在地:東京都港区
従業員数:9人


構造エンジニアの役割は、「与えられた条件の中でその構造物の安全性を証明し、各関係者に”作ってもいいのだ”という自信を持たせることだ」と語るStructured Environment社のアラン・バーデン氏。
かつては構造模型による実験などが用いられていたが、現在ではコンピューターによる解析や計算が主流となっている。
バーデン氏は、一貫構造計算プログラム「ASCAL」であれば複雑な構造の建物でも対応できるという。
今回は、バーデン氏に構造計算ソフトに求める性能や「ASCAL」の効果について話を伺った。


構造設計という職業の定義はいろいろあるが、中心にあるのは与えられた用途条件と物理的条件の中でより経済的に、より能率的に、より美しく構造システムを発想しそれを実現できるための情報を作成するということであろう。
エンジニアに才能があればその構造システムの発想をばりばりできるが、結局考えられた骨組や構造フォルムが本当に安全であり、性能を満たすことについての証拠を示さないと誰も作ってくれず、作るための許可は出てこない。
事業に関わるそれぞれの組織と人物にこの「作っていいですよ」という自信を持たせることはエンジニアのもう一つの役目である。

構造物に対して自信を持たせるためには二つの方法がある。
一つは模型実験や実大実験で、計算方法が確立されてなかった時代、あるいは計算方法はあったものの手計算で解けなかった時代にはよく利用されていた方法である。
場合により偏光線などにより応力度の分布を可視化する実験も行われており、コンピュータが構造事務所に本格的に導入される時代まで(1970年代)大きな役割を果たした。

もう一つはコンピュータによる解析である。
1980年代には三次元立体解析や有限要素方法を利用するソフトが急速に開発され、自分が木村俊彦構造設計事務所に入った1991年には先生が自分で組まれたソフトを利用しながら京都駅などの大きな骨組の構造性能を検討していた。
具体的な確証を持って建物に関わる施主さんや行政、施工者、建築家、投資家に的確に説明できるようになり、「この建物が建てられる」という自信がだんだんついていくプロセスでもあった。

近年日本の構造規定がいろいろな面で強化されてきた。
耐震性能が足りなかった物件が意外に数多く発見されている。
行政に提出しなければならない確認申請書類には計算書のフォーマットでさえあまり自由がなくなってきた。
偽装事件等により、社会の中で上記の「建てられる自信」が一時期なくなってしまい、それまであまりマスコミが注目しなかった構造計算や構造解析が注目され、構造エンジニアに対する規定や資格、罰則もさらに強化された。

このように変化していた環境の中で、そもそもエンジニアが発想した形態を検討できるように開発した構造ソフトも、法律上必要とされる確認申請に対応しなければならないようになった。
いわゆる一貫構造計算ソフトでは確認申請用の計算書作成を重視しているが、気を付けなければ知らないうちに、構造ソフトの原点である構造設計者を応援する役割を見失う恐れがある。

建物の骨組を発想する時に、「ルート3になるか?」「保有水平耐力計算が必要か?」などを考えるべきではなく、与えられた条件に一番フィットする構造システムを考え出したいのでそのプロセスを応援するソフトが望ましい。
小さいプロジェクトが多い僕らの事務所SEでは複数のソフトでモデリングする時間がなかなかないため、クリエーティブな行為と計算書作成の行為、両方について対応できるソフトが理想である。

SEでは過去いろいろなソフトをトライしてきたが、この10年間はずっとASCALを中心に利用してきた。
満足し過ぎているから最近は十分他社のものを調べていないかもしれないが(笑)、われわれが毎日のように取り組んでいる混構造、混システム、変則型骨組などの構造にも、全てASCALで対応できる。

材料が混ざった例として図-1に小さい平屋の住宅をあげる。
基礎と柱がRCで、主屋根は鉄板とスチフナーの長方形断面パーツから構成、主屋根の下の小屋は従来的な木造である。
さらに平面形状は変則的で、各部材の接合部も剛接合とピン接合が混在している。
ASCALで初期段階からモデリングし、部材のサイズや配置、基礎形状を洗練することができた(図-1)。


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図-1

混システムの例として図-2に3階建てRC住宅を挙げる。
上の2階が最下階と平面上ずれており、下の2階が壁式構造でありながら最上階が薄肉ラーメンになっている。
基礎レベルも当然2段になっている。
壁式部分と薄肉ラーメン部分の断面サイズを調整しながら一番経済的な寸法を探るためにASCALは不可欠なツールであった。
ちなみに階高が3.5mを超えていた物件なので保有水平耐力計算が必要になっているものである。


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図-2

構造設計の仕事には障害物が多く、参加している関係者に建てられる自信をつけることが難しい。
設計する時の検討・洗練プロセスに利用することはもちろんであるし、構造エンジニアの意見と判断がさらに強く通用するように、分かってもらうように、ソフトからの応援がとても大事である。
SEのスタッフはこの意味ではASCALに満足している。
ASCALがなければ実現できなかった物件がかなりあったと思う。

今までASCALを開発してきた方々が猛スピードに変化する法律や規定に合わせながら一生懸命ソフトの根本的な柔軟性を守ってくださった気がする。
もしかしたら時代はこれから少し違う方向に変化し、構造システムの発想を重視する姿勢が戻りつつあるのかもしれない。
そうであれば柔軟なASCALの便利さがさらに評価される時代にもなるのであろう。




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