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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

大規模点群活用ツールInfiPointsを活用した新しい施工準備フローの構築

新菱冷熱工業株式会社

InfiPoints

新菱冷熱工業株式会社

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中央研究所 主査 酒本 晋太郎 氏
中央研究所 主務 脇坂 英佑 氏

所在地:東京都新宿区
設 立:1956年2月
資本金:35億円
従業員数:2,001名
事業内容:一般建設設備、産業用設備、地域冷暖房等の設計・施工



地域冷暖房施設や大型商業施設などの設備施工を行う新菱冷熱工業は、早くから設備計画における3Dレーザースキャナー活用の可能性を模索していた。
当初課題となったのは、計測したデータを十分に活用できるスペックを持ったソフトウェアが存在するかという問題であった。
検討の結果、株式会社エリジオンのInfiPointsを採用した同社の中央研究所の責任者に話を伺った。


点群活用をワンストップで行うInfiPointsとの出会い

「設備の改修計画に3Dレーザースキャナーを適用し、施工準備を効率化しようという取り組みには早くから注目していました。しかしながら、計測した膨大なデータを本当に活用しきれるのか、当初は慎重にリサーチや検討を重ねていました」

そう語るのは、建設設備の設置・メンテナンスを手がける新菱冷熱工業において、新たな技術の導入や施工方法の研究を担う中央研究所の酒本晋太郎氏である。
同氏によれば、スキャナーの低価格化が進んだこともあり、ハード面では設備メンテナンスに点群データを活用する環境が急速に整いつつあったが、ソフト面では、実務に耐えうるものがあるのか不安を感じていたという。

そうした中でエリジオンが開発したInfiPointsを知り、さまざまな検証を行った結果、導入を決めた。

「大規模な施設を計測した数ギガバイトを超えるような点群データを軽快に表示できるInfiPointsにはじめ興味を持ちました。それに加えて導入の決め手となったのは、点群を使用した一連の作業をワンストップで行える機能面での総合力です」(酒本氏)

現在、新菱冷熱工業では、熱源プラントや大型商業施設などの施工にInfiPointsを活用し、従来の工事に比べより安価で安全な施工方法の確立を目指した取り組みを続けている。


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設備を計測した点群データ


施工プロセスにおける3Dレーザースキャナーの有効性と課題

新菱冷熱工業は他社に先駆けて施工プロセスにおける3Dデータ活用に取り組んでいた。
そのため現在では、設備の改修計画においては躯体や配管などの現況を示した3Dデータが欠かせなくなっている。
しかしながら、古い設備では設置当時のデータが残されていなかったり、かろうじて残されていても過去に行った改修の記録が反映されていなかったりするため、改修計画のたびに現場を採寸するなどして3Dデータを作成する必要があった。
この人の手による採寸には大きな工数と費用が伴う。

「高所の配管などの採寸作業では、仮設の足場を組んだりする必要があるので費用面でも負担が大きいですね。また高温を発する設備などがあれば人が近寄れないので、そもそも採寸自体ができない場合もあります」(脇坂英佑氏)

同氏によれば、3Dレーザースキャナーの活用は作業員の安全を確保する上でも今後の施工に不可欠なものである一方で、スキャナー利用時の最大の課題は、大規模な点群データの扱いであった。

「スキャナーで測定しても、複数の計測データを合成できたり、画面上で手軽に採寸やシミュレーションしたりできなければスキャナーを利用する意味がありません。その点ではInfiPointsの表示性能、操作性は非常に魅力的でした」(脇坂氏)


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新菱冷熱工業におけるCADモデル作成の効率化


現場でのInfiPointsの活用

InfiPointsの導入を決めた新菱冷熱工業は、3DレーザースキャナーとInfiPointsを駆使して全国のさまざまな施設での施工計画を行っている。

事例1.地域冷暖房施設の施工
例えば地域冷暖房施設では、大型冷凍機更新工事のための現場調査にスキャナーを利用した。
この現場では、計測対象となる配管積層エリアが建物の上部にあって人が入りづらい環境であったため、当初の目論見どおりスキャナー利用ならではの効率的な施工準備を行うことができた。

「計測した点群をInfiPointsにインポートし、位置合わせとノイズ除去を行いました。またInfiPointsの自動モデル化機能も活用し配管や平面を抽出した後、当社独自開発の設備向け3D CAD「S-CAD」にデータを受け渡すことで精密な3Dモデルを短期間で作成することができました。すべて手作業でモデル化した場合に比べて大幅にリードタイムを短縮することができています」(脇坂氏)


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大型冷凍機の点群データ

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点群データを基に作成したCADデータ


事例2.空調機械室の施工
大型商業施設における空調機械室における設備の更新工事などにもスキャナーを利用している。

計測した点群データから、残置する配管・ダクト接続部や躯体をCADモデル化する際に、InfiPointsの配管・平面抽出機能を活用する。

また、新設する設備や配管のCADモデルを点群データ上に読み込み、電気設備や消火設備などの残置設備と干渉が起きないかをInfiPoints上でシミュレーションするといったプロセスも導入している。

「簡単なスケッチや写真を基に行われていた従来の施工準備では、やはり現場で手戻りが発生する可能性は高い。今後効率性を高めていくためには、いかに3Dで正確なシミュレーションを行い、無駄のない最適な施工計画を立てられるかが重要になっていくはずです」(脇坂氏)


施工準備のさらなる効率化のために

BIMの利用が普及した建設業界においては、3Dデータの効率的な活用がスペースマネジメントによる工事の円滑化のための重要な要素になっている。
その一方で、対象となる構造物が大型になるほど膨大になる点群データを、ストレスなく有効に活用できるソフトウェアが必要となる。

「CADを駆使した施工プロセスの構築には、スキャナーによる現場計測と、その計測データをスピーディに処理できるツール、特にさまざまな工程を自動化できる機能が欠かせません」(脇坂氏)

複数の計測データの位置合わせ、ノイズ除去、点群からのCADモデル化を自動で行えるInfiPointsを活用する機会は、新菱冷熱工業でも今後ますます増加するという。

「当社のクライアントは全国にいらっしゃいます。各地に点在する設備がそれぞれ少しずつ老朽化していく中で、人手をかけず、効率的に、かつこれまで以上に高い精度で工事を行うことがわれわれに求められています。すでに、InfiPointsなど新しいツールを用いた施工方法を取り入れることで総作業時間を30%削減できたという例も出てきています。今後もInfiPointsとS-CADをはじめとする各種のBIMツールをより効果的に組み合わせたり、InfiPointsを用いて手軽に点群データを関係者間で共有したりと、新しい施工計画の方法を模索していきます」(酒本氏)






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