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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

河川内工事でCIMモデルをフル活用−安全管理と工事計画作りに大きな成果−

株式会社 松本組

TREND-CORE(トレンドコア)

株式会社 松本組

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工事主任 羽根 俊幸 氏(左)
森本 絢也 氏(中)
川口 直也 氏(右)

所在地:三重県松阪市
事業内容:土木、建築、舗装、管工事ほか各種工事


三重県松阪市に本社を置く松本組は、地域密着型の展開を標榜する地場ゼネコン。
三重県内をフィールドに官公庁発注の工事を幅広く行っている。
そんな同社は、現場主義を基盤としながら、同時に早くからIT化を推進。
TREND-COREを導入し、現場での本格的なCIM運用も開始している。
そのCIM導入現場に羽根氏ら3人の技術者を訪ね、CIM導入の成果と今後の展開について話を伺った。


面倒で手間がかかる、と当初は躊躇していたCIM導入

今回の現場の課題として、河川内で行う工事のため厳しい工期の制約があった。
半年の非出水期間に下部工を完成させ、河川内の仮設も全部撤去しなければならないというもので、そのため施工ヤードの限られたスペースで、複数の作業を同時並行で行う必要があった。
搬入路をどこに設けるか、また資材や機械の配置場所、指揮者の位置、毎日の作業範囲なども最適なパターンを考え、日々の安全管理計画を確実に行わなければならない。
特に重機の配置や立入禁止範囲などは毎日変わるため、作業員に日々周知することも重要であった。

「今回の工事における課題を解決するには、より安全で無駄のない作業計画を早い段階で立て、それを現場にいる全員に分かりやすく伝える必要があります。そこでCIMが役に立つと思いました。CIMによる3Dの地形モデルを作って現場をリアルにイメージし、工事計画自体を可視化しようというわけです。この3Dモデルを幅広く活用することで、安全性の向上や施工効率の向上を図っていこうと考えました」(羽根氏)

羽根氏は3DやCIMには以前から興味があったが、「難しい」「手間がかかる」といった先入観があり、肝心の現場がおろそかになるのではないかといった不安があったそうだ。
そんな3Dに対する不安を一掃してくれたのがTREND-COREだ。
工事の着工時期に河川内作業の工程調整や増員、資材増設などの問題が浮上し、安全管理について議論しており、TREND-COREならスムーズにCIMにつなげられると分かり導入を決めた。

「実務での運用は私が担当したんですが、CIMのモデル作成は初めてだったし、最初はどれくらい時間がかかるか不安でした。でも始めてみると思ったより全然簡単にできるんです。用意されたパーツを置きたい所に置くことで、思い通りに形にできました。今回はほぼ私1人で作業しましたが、現場作業の合間を縫って半月ほどで形を仕上げられました。思ったよりずっと早くできましたね」(川口氏)

TREND-COREは土木施工専用コマンドや豊富な3D部品を使い、簡易に3Dモデルが作成できる。
また2次元の発注図を下図として取り込み、3Dモデルを作成することも可能だ。
専用のオペレーターを必要とせず、現場技術者自身が操作するシステムである点が大きな特徴だ。


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TREND-COREによる現場3Dモデル作成例(施工中)


現場の可視化で安全性と施工効率の向上

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TREND-COREによる現場3Dモデル作成例(完成)

完成した3Dモデルは新規入場者教育で活用。
従来は平面図と口頭で行っていたが、限られた時間内に正しく理解させるのは容易でない。
そこで3Dモデルを大画面のモニターに映して見せながら説明したところ、すぐに理解してもらえたそうだ。
さらに日々の作業計画伝達でも3Dモデルを活用。
現場を3次元化することで全員が施工イメージを共有でき、施工効率も安全性も大きく向上した。

「打合せの時もずいぶん活用しましたね。以前は現場で立ち話していましたが、今回は現場事務所の大型モニター前に皆が集まって打合せます。ここなら型枠、鉄筋、打設、足場等の4業者が1度に集まり、眼で見て確かめながら情報共有できるので行き違いがないんです。作業内容も注意事項もしっかり把握できますよ」(森本氏)

「作業員からは 『初めての現場だったが、安全通路や立入禁止範囲がすぐ分かった』という声を耳にしました。またクレーン運転手からは『クレーンの旋回制限が分かりやすく、打合せも時間短縮できた』という声を、交通誘導員からは『毎日変わる工事用道路も3Dの事前説明ですぐ把握できた』と聞きました」(羽根氏)


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施工状況


施工計画段階を中心に積極的にCIMを取り入れていく

今回の工事では発注者の評価も非常によく、CIMについても「本当にこういう分かりやすいのはいいね」という言葉もいただいたそうだ。
今後の取り組みについて、

「施工計画段階でより積極的にCIMを取り入れていく計画です。主に準備段階で活用し、施工時にはそのモデルを事故防止などの安全対策に生かすやり方です。また、川口君はCIMを活用し『こちらからアピールする検査対応』を研究中です。受身でなく3Dでプレゼンする検査対応です」(羽根氏)

「先日、その1発目のプレゼンをしてきたところです。まぁTREND-COREの機能をまだ使い切れていないのでもっと使い込まないと……属性情報を関連付けたCIMモデルを作り、品質向上や出来形管理向上にも挑戦したいですね」(川口氏)
と語ってくれた。


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