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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

維持管理システムの実績からニーズを的確に反映-BIMと連携し“見える化”を実現-

前田建設工業株式会社

Autodesk BIM 360 GLUE/施設履歴管理システム「アイクロア」

前田建設工業株式会社

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建築技術部 TPM推進グループ
グループ長 曽根 巨充 氏(左)/藤井 周太 氏(中)
建築設計部 施設設計グループ
瀧田 由美子 氏(右)

所在地:東京都千代田区
創業:1919年1月
資本金:約234億5496万円(2015年3月末現在)
従業員数:2,821名〈単独〉/3,909名〈連結〉(2015年3月末現在)
主な事業:総合建設業


前田建設工業株式会社は、2019年の創業100周年を控え、新たな100年という未来の創造に向けてエネルギッシュな活動を行っている。
今回、オートデスク株式会社の「Autodesk BIM 360 GLUE」との双方向の連携を実現した施設履歴管理システム「アイクロア(ichroa)」の開発背景にも独自の視点があった。
施設の設計・施工、運営・維持管理までを視野に入れた新しい建築生産システム「TPMs」の推進がその一つだ。
TPMsでは、ICTと建設会社の持つスキルの相乗効果を目指し、情報マネジメント技術の確立を目指している。
こうした方針が建設業の新たな可能性を広げそうだ。


運営・維持管理の視点からBIMとの連携へ

今回、「Autodesk BIM 360 GLUE(グルー)(以下、BIM 360 GLUE)」との連携を実現した「アイクロア(ichroa)」は、施設に関する情報をデータベースで一元管理することにより計画的で高効率の施設管理を行うシステムだ。
2011年3月から運用を始めた「アイクロア」のきっかけとなったのは、民間の活力を利用して公共サービスのコスト削減と品質向上を目指す政府のPFI事業だった。
その当時の経緯を曽根氏に訊いた。

「PFI事業では、設計・施工・維持管理まで一気通貫した領域が扱われるのですが、当社には維持管理業務を効率化するための武器がなかったのです。そこで、同じ一貫した領域をICTで効率化するミッションを担っていた当部門が開発を行いました。建設会社の事業は設計・施工で終わりますが、発注者は施設の引き渡しを受けてから事業が始まります。この段階においてもICT技術を通じて支援が可能になりました」

BIMとの連携は開発当初にも検討されたが、設計段階のBIMがメインだった当時の状況下では時期尚早との判断がなされた。
しかし、満を持して2015年にBIMとの連携が実現された「アイクロア」には、この4年間の経験が十分に生かされている。

「まずは維持管理の情報をきちんとマネジメントする段階からスタートし、その実績の先にBIMとの連携を描きました。一般的なBIMの考え方では、設計BIMモデルを作り、施工で細部に落とし込んでさらに維持管理に結び付けるのが通常の考え方かもしれません。ところが、各段階で求められる要求が違いますので、やみくもにBIMありきからの開発では成功が難しいと判断しました。こうして実際に4年間運用した上で維持管理の視点からBIM連携に臨んだため、より現実的で使いやすい機能が実現されたと思います」

曽根氏は、BIM 360 GLUEとの連携の有効性をこのような開発の視点から語った。



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システム概要図


アセンブリ型の発想でBIMの“見える化”を活用

4年間の運用から浮かび上がったユーザーのニーズは、どのように開発に結びついたのだろうか。
藤井氏に具体的な声を元に紹介いただいた。

「『アイクロア』はExcel操作に似たインターフェースに設計されており、維持管理の履歴などはデータベースとして一覧で保存されています。しかし、階層が深くなると、どの場所で何が起きているかが分かりづらいという声が多くありました。こうした課題が『BIM 360 GLUE』による“見える化”で直感的に反映されたのが大きかったと思います。あるいは竣工してから使用する取扱説明書などの図書類が探しにくいという声も意外に多くありました。この点も『アイクロア』のデータを『BIM 360 GLUE』と双方向に連携させることで見やすく検索しやすくなりました」


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Excelライクなアイクロアの入力画面。
建築や施設管理に不慣れでも入力作業が簡単。


お客様の声を開発に結び付けるプロセスで重視されたのが、ツール同士が補完し合って機能するアセンブリ型の発想だ。
曽根氏は次のように語る。

「“見える化”は、データベースである『アイクロア』に足りない点でしたが、逆にBIMには、情報を追加するとデータ量が重くなるという懸念がありました。そこで互いの長所を補完させてアセンブリしパッケージ化しようと決めました。そうすることで、従来のデータベース機能で履歴が管理できればいいというお客様にも、BIMと連携させて3次元で管理したいというお客様にも、ニーズによって選択いただけるシステムが実現できました」


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「BIM 360 GLUE」で管理情報のスムーズな連携が可能に

今回「アイクロア」とBIMとの連携を考えるに当たって、「BIM 360 GLUE」を選んだ理由は何だったのだろうか。
曽根氏は次のようにポイントを語る。

「今回のシステム設計では、『アイクロア』の情報をスムーズにBIMのモデルに表示させるビューアソフトが必須でした。従って情報を自動的に取り込めるBIMツールが条件でしたが、それが『BIM 360 GLUE』だったのです。タブレットに対応しているという点も魅力でした。相互の連携はクラウド上のデータベースを介して行われます。情報別にURLを付けて指示することにより、『アイクロア』を使う側は、難しい操作を行うことなく『BIM 360 GLUE』の3次元モデルで欲しい情報を見ることができるのです」

次にポイントとなる“見える化”の具体的な部分を設計担当の瀧田氏に訊いた。

「『アイクロア』は管理する項目を蛍光灯1本から、部屋単位・フロア単位の管理まで選べます。この項目を基点に細部を設計しますが、お客様のご要望に応じ自由にレベル設定が可能です。管理する建物に自由に付けられる「電子付箋」という機能で使いやすさを高めました。施設の管理者は、この電子付箋をクリックするだけで、例えばA会議室の修繕が何日に完了したとか、エレベーターが何日まで工事中などの情報をBIMのモデル上で確認できます。さらに詳細な情報が必要な場合は、URLをクリックするだけで『アイクロア』の該当データを閲覧できます」


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アイクロアに記録された情報をBIMモデルに自動表示。
各部屋の中心に表示されている黄色や赤色の図形などが「電子付箋」で、記録されている修繕記録数、作業進捗や保全分類などの情報を表している。


最後に、「アイクロア」の今後の展開について曽根氏に伺った。

「『BIM 360 GLUE』との連携で言えば、BIMモデルの加工など改善の余地はまだ残されています。維持管理という市場で見た場合、ICTを使った管理の有効性はまだ十分に理解されていません。修繕データを積み重ねることで施設のダメージが集中している箇所が把握できるため修繕計画に生かせたり、定期的に管理担当者が代わってもトレンドが把握できるため円滑に維持管理業務ができるなど、今後は、こうしたメリットを、コストダウンも含めいかにお客様に伝えていけるかを分かりやすい説明を体系化することで推進していこうと思います」

※TPMsおよびichroaは前田建設工業株式会社の登録商標




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