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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

BIM導入の課題一つひとつクリアしながら、社内におけるより効率的な活用を

東急建設株式会社

BIM導入支援サービス

東急建設株式会社

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建築本部 建築部 BIM推進グループ
グループリーダー 越前 昌和 氏(左)
チームリーダー 吉村 知郎 氏(左中)
畑瀬 紋子 氏(右中)
竹林 史江 氏(右)

所在地:東京都渋谷区
創業: 1946年3月
資本金: 163億5,444万円
事業内容:総合建設業


BIMを導入しても、実際の普及には多くのハードルがある。
東急建設もそんな課題を抱えていたが、外部の導入支援サービスに相談を重ねる中で、「設計者支援スキル向上のための支援」や「あえて過去物件を題材に実践的操作スキル習得」といったユニークな支援を受けることに。
手応えをつかんだ同社BIM推進グループのメンバーに話を伺った。

【物件概要】
建物件名:増田ビル
建物用途:商業施設
発注者:有限会社 増田商事
設計監理:芦原太郎建築事務所
施工:東急建設株式会社首都圏建築支店
構造規模:S造(一部SRC・RC造)地下1階、地上3階建て
建築面積:485.28㎡ 延床面積:1499.30㎡


過去物件での3次元モデリングは前向きな取り組み

東急建設がBIM推進グループを立ち上げたのは2013年7月。
先行して建築設計部門にBIMが導入されてから2年が経過していた。
BIMの普及を進める上で課題が見え始めた状況下、より使いやすいBIMアプリの追加導入や、設計者支援体制の拡充を模索していたこの時期に、シスプロの「BIM導入支援サービス」を知った。

「BIM導入が早かったとは言えない弊社が、運用上の特徴として土木CIMとの 連携を打ち出し、渋谷駅周辺の再開発事業への参画拡大にBIM×CIMの応用力で取り組もうとしていたのですが、そのためにも足元のBIMの基礎体力は必要でした。
そして、既存BIMシステムを補完すべくマルチプラットフォーム体制を検討していく中で、『ArchiCAD 17』の導入と、この支援サービスを受けようという話が前後して具体化しました。
"設計者や施工担当者のBIM利用を支援できる知識とスキルとを、自分たちが身に付けるための支援"を受けたいという方針ははっきりしていたのですが、具体的な支援メニューについてはけっこう議論しましたね」(越前氏)

シスプロとのやりとりの中で行きついたのが"ArchiCADによる過去物件の3次元モデル化"だ。
この方法は、工期内での対応が必須の進行中物件と比べ、じっくりと腰を据えて取り組むことができる。
既にある図面や完成した建物自体が、BIMでの入力方法や、図面表現を模索する上でのお手本になるというメリットは大きい。

ベンチマークの対象となる過去物件に選ばれたのが、芦原太郎建築事務所の設計・監理による商業施設、東京都目黒区の増田ビルだ。


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東側外観(竣工写真)


これは実際に吉村氏が施工を手がけた物件であり、現場の状況は知り尽くしていた。

「竣工したばかりの物件であり、設計図や施工図ほか2次元の資料はほとんどそろっていました。
デザイン性が高く、構造的にはS・SRC・RCが混在していて、現場でも高い技術レベルの対応が求められていたので、複雑な構造やディテールが、ArchiCADでどこまで入力できるかは未知数でした」(吉村氏)


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屋上ルーバーのディテール検証


【BIM導入〈検証〉項目】
1.チームワークの実践(入力時の連携・ルール共有と、メンバー各自の技量を最大限生かす実践)
2.モデルの詳細化(金属工事・カーテンウォール・連窓サッシのディテール再現/3次元モデルから切り出す躯体図、仕上げ詳細図の表現力)
3.S・SRC・RC混構造のビルにおける各構造形式の表現力
4.地下仮設計画や鉄骨建て方ステップの3次元化による仮設計画への応用


BIMがもたらす効果をグループで実感

モデル化作業が開始されてからは、週1回の定例ミーティングを実施し、オンサイトによる技術支援を受けた。
実際にオペレーションを行う畑瀬・竹林両氏は次のようにその効果に口をそろえた。

「入力上の不明点は、質問事項としてまとめて準備し、集中して確認できました。
しかもその場で画面を見ながら説明を受けることで効率的で理解しやすかったです。
オンサイト以外では、急いで確認する必要がある場合は、電話やメールで疑問点を解消し、後日シスプロさんから解説書の提出がありました」

レポートとして残された回答は、入力ルールの設定という次のステップへの重要な資料として蓄積された。


こうして"BIM担当としての実力"を蓄えていく中で、"BIMの有効性"の新たな側面にも気付いていった。

「2次元の場合、入力上の迷いや、入力後に書き方の違いに気付くこともあったのですが、BIMによる"見える化"で理解のスピードが早くなったため、疑問をその場で解決しながら入力できるようになりました」(竹林氏)

もちろん、当初の目標だった「支援のスキルアップ」でも確実な収穫を得ている。
畑瀬氏は次のように語る。

「例えば、部材をこちらで下ごしらえし、組み上げ作業のガイドとともに設計者に提供することで入力負担を軽減する他、支援のノウハウやアドバイスの伝え方についても多くのことを吸収できました」

さらに、実際に施工計画を立案した吉村氏は、「工事計画・仮設計画」の側面からBIMの効果を実感していた。

「作業構台などの仮設計画に問題があると施工全体に影響を与えてしまうので、検証に興味を持っていました。
2次元で作った施工計画書を基に作り直した3次元モデルを見て『これが現場にあれば、もっと検討が早くできただろうし、出来上がった計画における安全確保のポイントを事前に把握するのが容易だった』と痛感しました」


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3次元モデルがあれば施工計画の検討を行いやすい


この他、仮設分野では、手軽にダウンロードできる部品が入力を効率化した。


BIM導入〈成果〉項目
1.施工まで耐えうるモデルの詳細化
2.仮設部品が充実
3.BIM導入支援サービスによる円滑な問題解決
4.各検証項目で一定の成果を実感


越前氏は、こうした成果をグループ員各自が実感できたことが、組織としての自信にもつながったと語る。

「BIMマルチプラットフォーム化の要として、ArchiCADの使いやすさに期待していたのですが、実際にうまくいくか不安もありました。
今回の支援を通してArchiCADの素性の良さを実感できたことは大きいですね。
一つの目的に複数の手順が使えることなどをとことん教えてもらえたのも、われわれが設計者や施工担当者を支援する上で有効だと思います。
もっとも、実際に社内向け技術支援をして結果を出していくのはこれからなのですが。

今後について言えば、運用面での支援をいかに行うかも課題です。
私たちの陣容だけでは全社的な支援展開は難しいですし、協力事務所など外部の力の活用も欠かせません。
社内外に渡る協力体制の要となるマネジメント能力のある人材の確保もまた重要で、シスプロさんにはそんな面での支援も相談しているところです」

過去モデルの有効活用は他にも考えられる。
今後このモデルを使った施工数量拾いに踏み込んで、精度検証をする計画だ。


BIM運用拡大へ向けてロードマップも変化

これまで述べたシスプロのBIM導入支援サービスについてBIM推進グループとしての評価を聞いた。

「技術面ではArchiCAD自体の使い方からカスタマイズまで、運用面では外部連携の模索など、全てを相談できる点が心強いです。
ちょっとしたトラブルでも今後の課題でもすぐ連絡を取るなど、信頼感が高まっています」(吉村氏)

「導入当初でなく、しばらく運用して問題点が見え始めた段階から協力していただいたこともあり、シスプロさんに対し厳しい注文というか、無理難題に近いものをぶつけることもありました。
それらを真摯に受け止めて、柔軟に対応してくれる姿勢はありがたいです」(越前氏)

ベンチマークとなる過去物件の3次元モデル化で得た確かな成果を、今後はリアルタイムで設計案件・施工案件に適用し、社内のBIM普及ロードマップを確実に実行していく段階だ。
渋谷再開発のような多くのステークホルダーが関わるプロジェクトにも参画していこうとする東急建設は、ロードマップを走りながら書き換えようと、そしてBIMならそれができると考えているのかもしれない。




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