2次元汎用CADソフト「JDraf」
三井住友建設 企画部ITグループ課長 吉井 健 氏(左)
株式会社 コスモプラニング 代表取締役社長 長谷 芳春 氏(右)
三井住友建設株式会社
所在地:東京都中央区
設立:1941年
資本金:120億300万円
株式会社 コスモプランニング
所在地:東京都中央区
設立:1987年
資本金:1,000万円
主な事業内容:コピー・印刷業、情報システム、人事総務サービス、計測・ソフト販売
三井住友建設株式会社は2013 年10月以降、新規導入する同社の標準パソコン全てに2次元汎用CADソフト「JDraf(ジェイドラフ)」をインストールしている。
今回は「JDraf」の導入経緯・効果について、同社企画部ITグループ課長 吉井 健氏と情報システム業務を担当する株式会社コスモプラニング 代表取締役社長 長谷 芳春氏に話を伺った。
2次元CADのコスト約1/10に
三井住友建設は、2013年10月から、社内の標準パソコンとして新規導入する台数の10%分に相当する2次元汎用CADソフト「JDraf(ジェイドラフ)」のネットワークライセンスを購入し、その全てに「JDraf」をインストールしている。
「JDrafは一般的に使われている2次元CADに比べて価格が約3分の1と安く、しかもインターネットを通じたネットワークライセンスが使えるので、購入するライセンス数も3分の1程度に抑えられると考えています。
また別途手配していたCADデータのViewerの必要がなくなり、それらの相乗効果で、最終的に2次元CADの運用コストが激減することになると想定しています」
「JDrafを社内の標準ソフトの一つとして位置付けることにより、将来的には2次元CADの年間運用コストを約10分の1に抑えることができるのではないかと期待しています」
と同社でCADの購入や管理を担当する企画部ITグループの吉井氏は語る。
業界標準CADに近い操作性
建設業界のCADに求められるのは、何といっても業界標準フォーマットであるDWG形式との高い互換性だ。
JDrafはドイツ・Graebert社のエンジンを採用し「Open Design Alliance」のサポートを受けているので、常にDWG形式との互換性は保たれる。
また、LISPやC#、C、C++などのコードを再利用できるような互換性を備えている。
さらにメニューやショートカットなどの操作も似ているという特徴がある。
クラッシクまたはリボン画面へ切替が可能
JW感覚でも使用可能
「DWG互換のCADソフトはさまざまなものが市販されていますが、当社で試したところ操作性はJDrafが最もAutoCADに近く、スムーズに使えるのでAutoCADとの併用もしやすいことが分かりました。
JDrafを使った社員からは戸惑うことなく利用できたとの意見を聞いています。
何か問題があった時にも、ジェイドラフのスタッフがすぐに対応してくれる安心感も導入の決め手でした」(吉井氏)
オートデスクのAutoCADとの互換性が高いことはユーザーにとって大きなメリットだが、同社が保有する特許や著作権を侵害しているのではないかと思う人がいるかもしれない。
しかし、その心配はいらない。
その理由は、Graebert社のエンジンは法的な妥当性やリスクについて厳しいリーガルチェックを受けているからだ。
三井住友建設がJDrafの導入を決めた背景には、こうした安心感や実績も大きな要因となった。
ネットワークライセンスで管理を省力化
三井住友建設のCAD運用実務を担当するコスモプラニング 代表取締役社長の長谷氏はこれまでのライセンス管理についてこう語る。
「建設会社では工事が始まると現場単位でCADを購入することがよくあり、その数は年間数百本にも上ります。
しかし、設計部門と違い、工事が終わった後はCADソフトのライセンス管理が行いにくいという問題もあり、非効率でした。
その点、JDraf はネットワークでライセンス管理ができるので無駄な支出もありません。
建設業は景気によってプロジェクトが増減するので、常に一定の本数をサブスクリプション契約で保守するのは無駄があります。
期間契約ライセンスによって必要な本数を自由自在に調整できるのも、JDrafを選んだ理由です」
BIMやCIMが普及しつつあるが、依然として図面は設計や施工の基本だ。
2次元CADも最先端の機能までは使わなくても、図面を開いてチェックや修正をしたり、印刷したりというニーズはますます高まっている。
低価格で高い機能を持った「JDraf」は、医薬品業界のジェネリック薬品のように、建設業界の“ジェネリックCAD”としての機能が今、実務で生かされつつあるようだ。
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