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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

施工現場における3次元レーザー計測および3次元モデリング実例

新菱冷熱工業株式会社

デザインドラフト

新菱冷熱工業株式会社

新菱冷熱工業株式会社  金子 究 氏
首都圏事業部 技術五部 技術一課 
主査 金子 究 氏 

所在地:東京都新宿区
設立:1956年2月
資本金:35億円
従業員数:1955名


空調・衛生を中心とした建設設備の施工を手がける新菱冷熱工業株式会社。施工情報にいち早くBIMや3次元モデルを取り入れてきたが、最近ではレーザースキャナを活用した3次元レーザー計測による高精度な3次元モデルを作成し、さらなる生産性向上を実現している。今回は、3次元レーザー計測と3次元設備CADの活用により、施工期間の大幅な圧縮に成功した事例を紹介していただいた。


プロジェクト概要

本プロジェクトは、地下2階、地上10階、延べ床面積約70,000㎡の商業施設の売場エリアを約5ヶ月でリニューアルするものであった。
弊社は空調・衛生工事を担当し自社3次元CAD(※)で施工検討を行った。
本建物の1階、フロア面積約5,000㎡でレーザー計測を実施した。
※自社CADは、デザインドラフトをカスタマイズしたCADである

3次元レーザー計測導入経緯

非常に短工期のリニューアル工事を完成させるために、より一層の効率化が必要であった。その手法の一つとして、今回「3次元レーザー計測」の導入に至った。
私自身、リニューアル工事を長年担当してきたこともあり3次元レーザー計測について興味があった。
私自身として初の現場導入となるが、この機会に検証し、今後の現場運用に活用できればと考え導入を決めた。

本工事が抱えていた課題への対応

本工事は、工期約5ヶ月で全体の9割強に当たるリニューアル工事を完成していなければならず、相当な負荷がかかることが施工検討段階で予測できていた。
今回計測した1階は、現場調査を行う上で2つの課題があった。1つ目は1階が資材の搬入・搬出口として使用されること、2つ目は天井内ダクトなどの計測に高所作業を要することであった。短工期かつ上記課題解決のため、レーザー計測を実施することを決めた。
1階の不要設備を撤去後、3次元レーザー計測器を設置し夜間工事が開始されるまでの数時間をレーザー計測作業に充てた。
その結果、雑然とした環境下での煩雑な作業を回避することができ、手作業による実測よりも安全かつ短時間で現場調査が行えた。
さらに、3次元レーザー計測はリニューアル工事が潜在的に抱える課題「現状の把握と図面化にかかる膨大な時間」の短縮に寄与した(図-1)。

図-1 現状把握と図面化作成時間−従来との比較 
  図-1 現状把握と図面化作成時間−従来との比較

レーザー計測からの図面作成について

レーザー計測作業は自社の専任部署に依頼、現場担当者1名立ち合いで実施した。
計測範囲は1階のフロア全体、対象物は、再利用資源である躯体(柱、梁)と天井内の既設ダクト、スプリンクラー配管であった。
レーザー計測器を現場に設置してから約6時間、2名で計測作業が完了した。
通常、人の手で実測する場合、基準墨とレベル墨を作成し採寸作業を開始するが、レーザー計測では、計測エリア内の適切な場所にターゲットと呼ばれる治具を設置し、複数箇所から計測する。当現場では約60箇所の計測を行った(図-2)

図-2 レーザー計測器と治具の設置イメージ 
 図-2 レーザー計測器と治具の設置イメージ


計測後、計測データを合成し、ビューワーソフトやCADで表示できる形式の3次元点群データに変換した(図-3)。

図-3 3次元点群データを自社CADで表示 
 図-3 3次元点群データを自社CADで表示


3次元点群データの読込みに対応している自社CADで、各既存資材のサイズを計測し、属性付3次元部材を3次元点群データに重ねて配置した(図-4)。自社CADの干渉チェック機能で、迅速な新設・既設設備の取り合い検討・調整をするために、取り合い検討が厳しくなる箇所に絞って3次元モデルを作成した。

図-4 点群データから柱と梁を3次元モデリング 
 図-4 点群データから柱と梁を3次元モデリング


図面化作業は、2名で約6日間の作業であった。取り合いに影響が少ない場所は、自社CAD上で3次元点群データをそのまま表示させ3次元モデルと重ね、目視で確認した。

3次元モデルの作成がひと通り完了したところで、通り芯を加え最新図面とした。

レーザー計測した動かしようのない実物から作成しているため、正確な位置情報として取り扱え施工検討に有効利用できると実感した(図-5)。


図-5 既存設備まで3次元モデリング 
 図-5 既存設備まで3次元モデリング


従来の方法では、同じ日数を現場調査に費やすことになり図面作成まで至っていない。
建設当時の竣工図や施工図が、全く存在しない場合でも、3次元レーザー計測から3次元モデル作成までを、一貫して自社CADで行えることが実証され、3次元レーザー計測の現場導入は生産性向上ツールであると確信できた(図-6)。

図-6 既設と新規設備の3次元モデリング 
 図-6 既設と新規設備の3次元モデリング


まとめ

最後に3次元レーザー計測について、次の3点をまとめとする。
①現場調査が迅速かつ安全に行える
②現状建物の図面作成時間を短縮できる
③自社CADで点群データと3次元モデル
を一緒に取り扱える
全体工程を圧迫する現状図面の作成作業は、大型物件である程、その割合が高くなり、このような物件こそ3次元レーザー計測の費用対効果が高いと感じている。
新技術を現場導入するには予測できないリスクを抱えることにもなり、手が出しにくいのが本音であったが、今回のように新技術の価値を実感できたことで、今後も現場の作業効率につながる技術の導入・活用に取り組んでゆく所存である。





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