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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

業界主導の自己完結型災害情報支援システム

社団法人鹿児島県建設業協会 鹿児島支部

情報共有ASPサービス「basepage」を使った防災訓練への参加

会社概要社団法人鹿児島県建設業協会 鹿児島支部


左から
鹿児島県建設業協会 安藤専務理事
川畑支部長
野添総務委員長
(社)鹿児島県建設業協会は、鹿児島、建築、谷山、指宿、加世田、日置、川内、甑島、宮之城、出水、大口、栗野、加治木、曽於、鹿屋、大根占、種子島、屋久島、奄美の19支部から成る。その中で鹿児島支部は、現在97社の会員を有するキャピタル支部であり、他支部をリードする位置付けだ。
現・鹿児島県建設業協会会長でもある支部長の川畑氏と、総務委員長の野添氏に、災害情報支援システムの導入と、2012年1月に実施された「桜島火山爆発総合防災訓練」への参加について話を聞いた。


鹿児島の自然災害
鹿児島県は、台風の上陸数が非常に多く、シラス土壌で脆弱な土地でもあることから、自然災害の中でも豪雨による被害が最も大きく、県民の脅威となっている。これに加えて、県内には桜島、霧島といった11の活火山があり、これもまた、県民の大いなる脅威となっている。というのも、「桜島大爆発100年周期」という学説があり、前回大爆発が起こった1914年(大正3年)の100年後が、まさに目前に迫っているからだ。こうした状況下で、鹿児島県建設業協会 鹿児島支部は、防災システムの見直しに着手し、「桜島火山爆発総合防災訓練」への参加に至った。

防災システム見直しのきっかけ

防災システムを見直すきっかけとして忘れてはならないひとつが、2011年3月11日の東日本大震災である。この時、鹿児島支部は被災地への視察団をいち早く派遣した。災害時の自治体の対策、システムのあるべき姿等、現地での見聞が、鹿児島における災害対策への課題を認識するきっかけとなった。

そしてもうひとつ、東日本大震災の被災地視察から3カ月後の2011年9月に北海道で実施された防災訓練への視察である。

宮坂建設工業(帯広市)が、一企業が主催するものとしては異例の大規模で毎年実施している防災訓練であり、2012年で20回目を数えるものだ。

「川畑支部長の鶴の一声で、視察が実現しました。消防や自衛隊も出動する実に大掛かりな防災訓練で、視察団は大いに刺激を受けました」と、鹿児島支部の総務委員長 野添氏は語る。 その防災訓練の展示ブースで、川田テクノシステムの「basepage(ベースページ)」という、ASPサービスを知った。

災害情報共有ASPの活用へ

「basepage」はASPによる情報共有システムであり、いくつかの建設業協会で「災害情報共有システム」としての導入実績があった。2つの視察により支部の意識は高まっており、また、従来の災害対策には限界を感じていたことから、システム構築への機運が急速に高まった。

「それまでは、連絡系統図に基づき、電話による状況報告を実施していました。災害メール等も試みましたが、運用チェックをしていなかったため、ほとんど機能していませんでした」(野添総務委員長)

「直接的な人命救助という視点で脚光を浴びるのは消防隊や自衛隊かもしれません。しかし、その人々が駆けつけるための道は、地元の道路や構造物を熟知したわれわれが切り開く。建設業にしかできない仕事を自覚し、その任務をまっとうするために、建設業協会が一役買うべきではと考えました」(川畑支部長)

「防災協定により、われわれ建設業は要請を受けて出動する、いわば“待ち”の状態。いつ要請を受けても出動できるようにしておかなければならない一方で、能動的には動きづらい面がありました。システム化によって、縦割りだった情報の流れを変えることにより、自分たちから発信する仕組みを構築できるのではないか、といった思いもありました」(野添総務委員長)

防災訓練への参加でシステム化を促進

こうした折、鹿児島市から「桜島火山爆発総合防災訓練」へ参加の打診があった。システム化への検討はまだ始まったばかりであったが、建設業主導による災害対策がどれほど地域貢献につながるのか、システム化のメリットを検証するまたとないチャンスであり、システム利用を前提とした防災訓練への参加を決めた。

「防災訓練という目標を設定することにより、実態に即したシステム構築を、よりスピーディーに実現できるのではないかと考えました」(野添総務委員長)

防災訓練実施日は、大正3年の桜島大爆発記念日にあたる、2012年1月12日。実に、防災訓練参加を決めて3カ月足らずしかないという切羽詰まった状況であったが、かえってそれが準備期間の集中力を高めたと言う。

「プロジェクトチームを発足し、若手を担当者に任命して、実務レベルで推進したのが功を奏しました」(野添総務委員長)

また、協会員への積極的な参加を促進するために、協会では「災害訓練への参加企業には評価点で加点をする」よう、市に要請した。

無線と携帯メールの併用

防災訓練に当たって、2つの大きなテーマを掲げた。ひとつが「情報・伝達システムの整備と確保」。そしてもうひとつが「自己完結型防災システムの構築」である。

「情報・伝達システムの整備と確保」としては、デジタル無線と携帯メールの併用で臨んだ。固定電話や携帯電話はつながらないが、時間がかかっても携帯メールは送信できたという東日本大震災被災地での経験談も踏まえ、写真や位置情報を付加して送信できる携帯メールが、応急復旧の初動を早めることにつながる。

自己完結型のシステム構築

「自己完結型防災システムの構築」については、2010年の奄美豪雨災害での経験や被災地の視察により「交通手段と情報の遮断は指揮系統の形骸化を引き起こし、自治体の防災体制の破たんにつながる」という教訓を得て、業界主導の自立した災害復旧活動ができるようなシステムの構築を目指したものである。

これについては、訓練後にその必要性を改めて実感することになった。

防災訓練で気づいたこと

訓練は、桜島の大噴火および噴火により地震・津波が引き起こされるという想定で、警察、自衛隊、消防、自主防災組織等145機関・団体、約4,500人が参加し、住民参加型で大規模に実施された。建設業協会としての参加は初めてであったが、約80名の協会員を6班に分け、時系列的にまとめたフローチャートと綿密なマニュアルにより、大きな混乱もなく、無事終了した。もちろん、無線の受信エリアや障害物等、実際に訓練をやってみて分かった反省点もいくつかあったが、より“根本的な課題”が浮き彫りになったといえる。

「われわれが、横断的に情報を共有することによってスピードアップを図ろうとしている一方、行政上の規制がその妨げになりかねない、ということです。例えば、港に入る際は海上保安庁の許可がいるとか、県道には通行許可証を持っている車しか入れないとか、そういった事務手続きにかかる時間が、非常時においては命取りとなります。システム化によって情報が開示されることで、セクショナリズムを超え、真の意味で情報を共有できることを、もっとわれわれからアピールしていかなければならないと実感しました」(野添総務委員長)

システム利用のさらなるメリット

桜島周辺は高齢者や要介護者が多く、また、過疎の地域である。当然、支援する人手が足りない。効率的な支援には、支援を要する世帯の把握と的確な人員の派遣が肝要だ。今後はこうした世帯情報や復旧に使用できる資機材情報をあらかじめ電子MAP上に登録しておくことにより、初動のスピードアップにつなげる考えだ。

「建設業界も人員が減少しており、的確な情報があって的確な指示がないと動けない状況ですから、システム利用を推進し、横のつながりを強化するしかありません。利用者が多いほどシステム化による効果は増大しますから、今後は、鹿児島支部が見本となって、協会の各支部さらには市や県にも利用範囲を拡大していきたいと思います」(野添総務委員長)

「建設業による災害時の出動や雪かき、草刈り等は、地域貢献の一心で取り組む、いわば奉仕活動です。一般市民の方々にそうした活動をご理解いただくことが、大きな推進力につながります。今後も地道に活動を続けていくしかないですね」(川畑支部長)

「桜島火山噴火爆発総合防災訓練」の模様










各地に分かれたパトロール班から携帯電話を通じて被災状況が写真や位置情報付きで送信され、対策本部に集約される。対策本部では電子MAP上にプロットされた報告を確認し、各班へ対応を指示する。

鹿児島支部では、「桜島火山爆発総合防災訓練」への参加以来、毎月1日に防災訓練の実施を続けている。有事の際に慌てないための日常的な利用と、体制→運用の検証を目的として、欠かさずに実施している。

鹿児島市 建設局長 上林房行信 氏



鹿児島市と鹿児島支部は、大規模災害時でのライフラインの迅速な復旧を図るため、応急対策業務協定を締結し、日頃から大規模災害に備えております。

今回の取り組みは、災害時のより迅速かつ的確な対応を可能にするものであり、同支部の皆様が災害に強いまちづくりの担い手として、今後とも活躍されることを期待しています。





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