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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

ITの冷静な判断力で勝ちに行ける仕事を

株式会社 芙蓉コンサルタント

プロポーザル戦略室


会社概要 株式会社 芙蓉コンサルタント
所在地:愛媛県松山市
資本金:4,000万円
従業員数:62名
主な業務内容:測量、地質、設計、補償


菊池文孝氏(株)芙蓉コンサルタントは、「信頼、誠実、創造」をモットーに昭和36年に創業された、愛媛県の地元優良建設コンサルタントである。日々営業活動に奔走する営業部長の菊池氏に話を聞いた。

営業部長 菊池 文孝 氏

プロポーザル資料作成に追われる日々

 芙蓉コンサルタントは、2009年7月のTECRIS改訂を機に「プロポーザル戦略室」を導入した。公募型プロポーザルや総合評価方式での発注が定着し、同種業務・類似業務の技術者検索の必要に迫られたためだ。しかし、プロポーザルの作成に担当者を専任できるような余裕はない。入札資料の作成は、菊池部長率いる営業部門で対応していた。
 「資料作成に追われて、私自身営業に出る時間が全くなくなってしまったんです。とにかく、事務処理の効率化を図りたいという一心で、システムを探しました」
 そこで出会ったのが、「プロポーザル戦略室」(当時の製品名:「プロポーザル支援システム」)であった。それまで、ファイリングした資料(紙)をめくりながら同種を探していた作業は、技術者のデータベース化により一気に楽になり、丸2日かかっていた作業が、午前中には叩き台が完成するようになった。

「プロポーザル戦略室」とは?

 「プロポーザル戦略室」(開発元:川田テクノシステム)とは、案件の管理と自社実績・技術者情報の検索、さらには結果の分析等を行うことによりプロポーザル方式や総合評価落札方式の案件獲得を支援する、ネットワーク型のアプリケーションだ。あらかじめ技術者の保有資格や業務評定平均点、手持ち業務等の情報をデータベース化しておくことにより、入札に有利な技術者を選定したり、案件のフェーズ管理や分析等も行える。芙蓉コンサルタントでは、あくまで「業務の効率化」を目的として、同種業務・類似業務の技術者検索機能を活用していたが、これが思わぬ効果を発揮した興味深いエピソードがある。

思い込みの弊害を打破した技術者検索の“IT力”

 とある業務の入札があり、これまで落札してきた実績などを踏まえて、いわば“ 常連”の担当者を候補に考えていた。しかし、「プロポーザル戦略室」で検索してみると、思いもよらない技術者が候補に浮かび上がってきたのだ。
 「設計技術者ではあるのですが、現在はメンテナンスなどの調査部門に籍を置いている担当者だったので、まったく想定していなかったのです」
 しかし、「プロポーザル戦略室」で検索すると、その担当者の持ち点が高いことが分かった。
これまで実績を重視するあまり、技術者の選定が固定化される傾向にあったのだが、システムはそこを冷静に判断する。事前に想定していた技術者との間には、実に、業務成績の評価点で8点の差があったという。
 「検索で浮上した担当者は、資格要件は満たしているものの当該部門の有資格者でないため、資格点が付きません。しかし、それでも業務成績の評価点が8点高ければ相対的に持ち点が高くなります。当該部門の資格所有者でなければだめだろうといった思い込みで、その技術者を除外していたんですね。主観や先入観が入っていたプロセスではあり得なかった選定であり、まさに、『ITの力』を実感しました」
 結果、その業務は無事落札できた。

情報の見える化で、技術者の意識が向上

 「プロポーザル戦略室」はネットワーク型のシステムであるため、データの共有が図れるようになったのも、思わぬ効果を生んだ。情報が見られることで若手技術者の自らの技術点に関する関心が高まり、評価点をアップするという意識の醸成につながったのだ。
 「公募開始〜応募終了までの約1ヶ月弱、『プロポーザル推進委員会(PS)』を立ち上げ、そのチームで情報を共有します。選定通知が来てからの約2週間は、技術部門と営業部門が同じチームで技術提案を出し合うんです。それまでプロポーザル資料の作成は『営業がやるもの』『技術でやるもの』と、分けて考えていたたのですが、今では営業部門と技術部門の協働体制で取り組んでいます」
 橋梁の技術提案はあえて橋梁専門でない技術者に新しいアイディアを出させてみるなど、コミュニケーションを図りながら風通しの良い関係が築けているようだ。

建設業界で生き残るために

 「全国規模の大手企業であれば、まさに“戦略”を練るための分析にこのシステムを使っているのかもしれませんが、当社の場合、大手とのギャップをいかに埋めるか、といった視点でもシステムを活用しています」
 同種や類似の業務検索は、TECRISの様な選択式キーワードの検索でなく、自由な「文字列」で検索ができるため、自由度が高いことも利点であると言う。
 「プロポーザルへの対応はやはり、コストがかかりますので、なるべく受注確度の高い業務を見極めて効率的な対応を目指しています。一方、日々進化する総合評価の時流に遅れないよう、定期的に大型物件にも応募しています」

営業に出る時間が増えたことが収穫です

 建設業界は目下厳しい時代といえるが、菊池部長は今、営業活動が非常に充実していると語る。
 「愛媛県でも、県内に伊方原子力発電所を有していることもあり、東南海地震の影響などを想定した災害対策が本格化しています。
 また、2011年3月の東北の大震災の復旧分野において、地域に根ざした企業の貢献が国土交通省から評価をいただき、価格競争方式での発注に反映されるようになるなど、地域コンサルタントへの期待が高まっています。
 今こそ、我々の技術力・提案力が問われる時代です。そのためには、いかに発注者のニーズを的確に把握し、スピーディーにレスポンスできるか、といった営業の手腕が問われると思います」
 お客様第一主義に徹し、地域社会に根ざした企業として、いちばんに相談を持ちかけられる会社・営業マンでありたい、と語った。

ITとベンダーに期待すること

 「プロポーザル戦略室については、より一層、事務処理を効率化すべく、入札様式の資料作成機能をつけて欲しいですね。今後もユーザーニーズに応えて、ブラッシュアップし続けて欲しい。ITなくしては立ち行かない現代において、“安心して使い続けられるかどうか”がソフトウェア選びのポイントになると思います」

「プロポーザル戦略室」を使用することで、膨大化する自社実績と技術者情報の管理と検索を、勘と経験に頼らずに行える。
多彩なキーワードで検索した結果をためておきながら、徐々に絞りこんでいくことで、最適な技術者配置を実現する。

同種業務の検索画面
評価基準に基づき、さまざまな検索キーワードを設定して同種・類似業務の検索を行う。
検索画面

技術者の検索画面
さまざまなキーワードを設定し、技術者の検索を行う。
検索画面
ダブルクリックで詳細情報を表示
業務平均点の計算の元となる業務を確認したり、同種・類似業務の一覧を確認することができる。






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