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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

BIM活用の今後〜部分最適化から全体最適化へ〜

安藤建設株式会社

ArchiCAD


会社概要  安藤建設株式会社
所在地:東京都港区
資本金:89億8,552万円(平成22年3月末)
従業員:1,697名(平成22年3月末)
主な営業種目:土木建築の請負、設計、監理及びコンサルティング業務ほか

建築本部技術部 松野 義幸 氏 安藤建設(株)建築本部設計部では、2005年からグラフィソフト社のBIM(BuildingInformationModelling)ソフト、ArchiCADを導入している。2010年10月にはBIMに対する社内意識の向上と、BIM活用の可能性を検証するためにBuildLiveTokyo2010に初参戦し、「BIMテクノロジー賞」を授与された。今回は、BIM推進者の建築本部技術部の松野義幸氏に話を伺った。

建築本部技術部 松野 義幸 氏

導入経緯

 安藤建設は1966年から業界に先駆けてプレハブ工法に取り組んでおり、規格化された「安藤モデル」のPC版製作図作成を効率化する目的で、1982年に航空機メーカーや製造業で利用されていた汎用3DCADを導入した。その後、1985年に国産建築3DCAD、1987年に国産3DCGを順次導入。当時これらのソフトは高額でかつ汎用コンピュータで稼働していたため、専任者しか扱うことができなかった。その後、ダウンサイジングの潮流によりエンジニアリングワークステーション、さらにパソコンへと移行し、1997年には設計者の2DCAD利用が普及・定着した。ただ、3DCAD・CG利用 は専任オペレータによる法規チェックやCGパース作成に留まっていた。
 2004年、社内検討において「業務効率推進には3DCAD活用が不可欠」であるという結論に達し、部材属性情報を持つ建築3DCAD(現在のBIM)を導入し意匠設計部で試行を開始した。  2005年、「3DCADによる安藤型新設計施工システム」開発の段階で、情報収集や先進的にBIMを活用している他社との意見交換を行い、その結果、前述のBIMソフトを見直してArchiCADを導入することになった。
 構造設計部は意匠設計部より先行し2003年の段階で一貫構造計算ソフトの計算結果を用いた3D構造図作成が実現しており、設備設計部は1998年から2.5D設備CADの試行を開始している。

■安藤型新設計施工システム 平面詳細図、断面図から、施工図へとデータを瞬時に変換できる。(寸法線・記号配置もワンクリック)

導入効果

 導入当初ArchiCADは一部の意匠設計者に利用されていただけであったが、その後、若手設計者に(BIM本来の使い方ではないものの)VRやCGパース作成用のモデラーとして利用されたことで、利用者数が増加し、プレゼンテーション品質の向上、内製化による外注パース費用の削減に寄与した。また、法規チェックソフトとのデータ相互連携が容易になったことによって、ベテラン設計者の中にも利用する人が出てきた。BIMソフトは操作習得が難しいので若年層しか扱えないという意見もあるが、実際は年齢と関係なく各個人のBIMへの関心・興味の度合いによるものであると確信した。
 企画設計段階から基本・実施設計段階に至るまでの全てをArchiCADだけで処理(=BIM本来の使い方)した実施物件も、徐々に増えてきている。このことから、既に意匠設計部でのBIM活用の最適化は、ある程度達成できたと考える。
 意匠設計、構造設計、設備設計の各設計部の『部分最適化』達成後は、設計部全体での最適化を目指し、それと並行して、積算、施工(作業所・PC工場)、維持管理等との連携(=『全体最適化』)を検討・検証していく方針である。特にPC工場は、3DCAD活用が定着した製造業であるの で、3D配筋図作成により配筋検査の効率化が期待できる。


BuildLiveTokyo2010(BLT2010)

 安藤建設の保有技術でBIMがどこまで活用できるか、その可能性を試す機会として2010年10月13〜15日に開催されたBLT2010へ、チーム名『A+(エープラス)』として初参戦することになった。本社BIMWGで参戦することを決めた段階では、本社設計部が中心となり参加者は十数名と予測していた。しかし、BLT2010参戦への参加協力を社内公募したところ、支店設計部、技術研究所、積算部、工事部等から協力の申し入れがあり総勢41名となった。2010年3月31日、国土交通省官庁営繕 部より「BIMプロジェクト開始」の通達がアナウンスされたことにより、全社的にBIMへの関心が高まったことが要因ではないかと思われる。
 BLT2010終了後のアワードで「BIMテクロノジー賞」を受賞することができたことは、今後、安藤建設の目指す『全体最適化』へ向けての良い足がかりになった。参戦後の問題点・反省点を洗い出しまとめることによって、各部のさらなる『部分最適化』と『全体最適化』を検討・推進して行こうと考えている。
※BLTとはIAI日本が主催するインターネット上の仮想設計コンペ。48時間という短い期間で実施されることから「建築界のF1レース」とも呼ばれている。

BLT2010 成果品(CG パース)BLT2010 成果品(CG パース)BLT2010 成果品(CG パース)
BLT2010 成果品(CG パース)

ArchiCADについて

 現状、1つのBIMソフトで設計〜施工・維持管理まですべてに対応できるBIMソフトは存在しないのが実情である。8〜10年後にはそれが実現された夢のような「統合BIMソフト」が登場するかもしれないが、実現は困難だと容易に推測できる。現実的には、各種BIMソフト間でのデータ相互連携が重要となるのである。
 BIMソフトで作成した3D建物データの連携には、IA(I International Alliance forInteroperability)が提唱する世界標準建築3 Dデータフォーマット「I F Cファイル(Industry Foundation Classes File)」活用が不可欠だ。数あるBIMソフトベンダーの中でグラフィソフト社は、最も積極的にIFC連携に尽力している。それは他BIMソフトで作成したIFCよりも、ArchiCADでImport/ExportしたIFCの方が情報の欠落が少ないことに現れている。
 最新版のArchiCAD14リリース時、「OPEN BIM」を提唱するとのアナウンスがあった。この、他BIMソフト・多数のエンジニアリングアプリケーションや、バージョンに関係なくデータ連係を可能とする構想(=OPEN BIM)を、今後も継承してもらいたい。


ArchiCADへの要望

2D表現方法の強化
 北欧やシンガポールなどでは、BIMの3D建物データを、そのまま提出しているところもあるが、日本ではまだ2D図面が最終成果物(提出物)となっている。
 このためArchiCADから切り出した2D図面を他2DCADで読み込み加筆修正している。2DCADの利用は、BIM最大の特徴である整合性を高めることに逆行している。これを回避するには、ArchiCADでの2D(図面)表現方法の強化が必要である。

3D部品の充実と作成方法の簡素化
 2D部品はWeb上に何万種類も存在しているが、それに反しArchiCADで扱える3D部品点数は極めて少ない。BIM利用普及には、3D部品充実は不可欠であろう。2010年4月、建築業協会(BCS)にBIM専門部会が新設され、11月にはその配下に部品標準化WGが発足した。グラフィソフト社は、WGにオブザーバーとして参画しているので、今後はBIMユーザー(建設業界)とBIMベンダーが協力し合い、各種メーカーに3D部品提供を働きかけて行きたい。また、ArchiCAD用3D部品作成は、ArchiCAD独自の幾何記述言語GDLでプログラミングする必要がある。この作成手法を根本から見直し、ユーザーが容易に扱える簡素な部品作成方法の提供を切望する。

BLT2010 参加メンバー集合写真
BLT2010 参加メンバー集合写真

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