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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

BIM実現への道〜3次元データ作りに終わらない設計手法〜

鹿島建設株式会社

ArchiCAD

会社概要 鹿島建設株式会社
所在地:東京都港区
資本金:814億円余
従業員:8,705名(2009年3月末現在)
主な事業内容:建設事業、開発事業、設計・エンジニアリング事業ほか

建築設計本部 企画管理統括グループ 玉井 洋氏 鹿島建設(株)建築設計本部では、BIMという言葉が一般的に知られていない頃より3次元建築モデルを使った先進的な設計手法に取り組んでいる。たとえば、新人研修に3次元CADを導入したのは1996年からであり、またその翌年からは3次元建築モデルを使って建築物の形状情報や仕様情報をデータベース化した「DB-CAD」を独自開発するなどは、現在のBIMの先駆けともいえる。今回は、その取り組みの中心的な存在である建築設計本部企画管理統括グループの玉井洋氏に話を伺った。

建築設計本部 企画管理統括グループ 玉井 洋氏

■DB-CADのねらいと構成
DB-CADのねらい    DB-CADの構成
        DB-CADのねらい                     DB-CADの構成

当初はプレゼン資料作成として

 鹿島の建築設計本部がArchiCADを採用して14年が過ぎている。最初はVer. 4.5から展開し、主にプレゼンテーション資料の元ネタを作成するのに使われていた。当時は3DといえばCGパース作成、少し高級になるとCGアニメーション作成という使われ方が主流だったが、ArchiCAD(当時はGraphisoftという名前だった)は3次元パースと2次元図面が常に整合しており、平面を直すと立面、断面、3次元が連動して修正され、図面の修正手間がかなり解消されるという印象だった。また、建築専用ソフトということで、他のソフトのほとんどが、汎用ソフト/製造業向けソフトを改造して建築用としているのに対して、フロアの考え方、建築オブジェクト(壁、柱、床、ドア、窓、etc)の考え方がソフトに反映しており、CADオペレータよりも設計者の方が入りやすかった印象がある。しかし、当時は建築デザイナー向けのソフトであったためか、Ver.5.0までは「梁」コマンドがなく、「壁」や「床」のコマンドを使って梁を作るといったアクロバティックなCADでもあった。これについては当時のグラフィソフトR&D本社に業を煮やして、建築の中で梁が如何に大事であるかなど、梁の考え方について資料をまとめ、ハンガリーまで説明しに行き、Ver.6.5から梁コマンドが実装されたという経緯がある。


新人に3D-CAD研修

 1996年から新入社員研修に企画演習課題という項目を設け、ArchiCADを使った3D-CAD研修を取り入れた。最初は架空の敷地とサンプルの平面図を手がかりに、自分なりにデザインしていくというものであったが、既に3次元CADの威力に目覚めた新人は、ArchiCADの特性をうまく活用して表現してくれた。企画演習課題は敷地を与えられてから、ArchiCADの操作教育を経て1週間程度で発表まで行うという短期間なもので、しかも全部一人で行うことから、新人にとってはなかなかの試練となったが、最終的に自分のホームページを作成させ、自己紹介から、企画演習課題の発表までできた頃にはArchiCADも含め現在の標準ソフトの操作が、かなり上達している。

■3D-CAD研修
3D-CAD研修    3D-CAD研修    3D-CAD研修
1996年の新人作品例    新入社員研修紹介ホームページ  2009年の新人作品例


本来のBIMを目指して

 最近はBIMという言葉が流行っており、3次元CADをBIMツールと呼んで展開する向きもあるが、われわれが考えるBIMとは「建物の3次元情報にコストや工程等の属性情報を紐付けし時系列的に管理していく手法」であり、単に3次元のモデルデータを作れば良いものではない。作られたデータをどのように生かすかという技術と概念が十分でないと、単にパースを作って終わってしまいがちである。鹿島は1997 年からDB-CADを開発し、BIMに先駆けた統合システム作りを行った。3次元モデルは意匠設計における平面・立面・断面の各図面作成に使うばかりでなく、構造、設備の元データになり、積算数量、サブコン、ファブメーカーにまでデータ提供を行う道を創った。現在それらはBIM活用の方向性としてノウハウの蓄積が成されているが、3次元CAD活用については、むしろ設計の初期段階からの活用にシフトしている。
 2008年から鹿島の建築設計本部では3次元CADを活用する「デジタルモックアップ」の推進を行っており、“デジモク”として展開している。デジモクのコンセプトは、「3D-CADを設計者の日常にしよう!デジモクを使って建築・構造・設備のコミュニケーションをしよう!」というもので、2009年度からは全プロジェクトに展開されている。これまでは、3次元といえば誰かに作ってもらい、出来上がったものをCGパースやCGアニメーションで「見せられる」ことによって検討・検証を行ってきたが、デジモクでは、設計者自ら(意匠、構造、設備の各設計担当者)が3次元データの中をウォークスルーすることによって、設計者として検討しておかなければならない部分を自分で発見し、課題を早期に把握し、手戻りを軽減しようとするもので、いわゆる「フロントローディングの実践」である。

■ デジモクツールVBEの活用
KIビルアトリウム    鹿島赤坂別館とKIビル
     KIビルアトリウム                鹿島赤坂別館とKIビル

 鹿島においてもCGを駆使したプレゼンテーションやシミュレーションは早くから実践され、業務に役立ててきた。しかしそれらの多くは、そのシステムごとにデータ作成を行い、ともすれば設計の過程での細かな変更に追従できないことは当たり前として扱われてきた。BIMモデルを作ると称して3次元データを作ることが目的となってしまい、建築設計や現場に役立つデータ作りに対して十分に役に立っていない、単に見るだけの3次元データが横行している中、ArchiCADによる3次元モデルデータは、本来のBIMモデルに近付いていくものと期待をしている。現在は、まだデータの連携が十分ではないことからBIM活用という表現は行わないが、今後は属性情報の連携を強化することによって、設計初期段階から後工程へのデータ活用、環境解析ツール連携、構造CADや設備CADとのデータ連携を実務レベルで有効となるような実現方法を開拓し、ArchiCADを含むすべてのモデルデータを建築設計業務に役立てられるよう展開していきたい。


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