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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

BCP策定で建設業にしかできない地元貢献を

社団法人 秋田県建設業協会

情報共有ASPサービス「basepage」を使った災害情報共有

会社概要 社団法人 秋田県建設業協会

alt (社)秋田県建設業協会は鹿角、北秋田、山本、秋田、由利、仙北、平鹿、雄勝の8支部・279社で構成されている。支部はすべて社団法人として法人格を有し、各々活動資金が独立しているのが特徴だ。同協会が、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定に向け、大々的な活動を開始した。災害発生時などの緊急事態に即座に機動力を発揮するのは、地域に根付いた建設業にしかできない。建設業の自主的な活動をヒト・モノ・カネ・情報で支援する同協会の荒川事務局長に話を聞いた。

事務局長 荒川 英俊氏

BCPはいかに「想定」するか

 2007年9月の豪雨により、県北地区で建設業協会員の社屋が2階まで浸水するような被害にあった。その会員を含め各建設会社は秋田県の要請に即座に応え、復旧作業にあたったのだが、後処理に時間を要したという。このことが、BCP策定の必要性を実感させる大きなきっかけとなった。秋田県建設業協会としては、秋田県と災害協定を結んでいるが、BCPを策定した会員企業はまだない。災害に強い企業を育てるために、荒川氏はその協定を、“必ず履行されるもの”として日頃の計画に落とし込む必要性を強く感じた。
 「BCPはいかに“想定”するか。災害協定により、災害発生時の体制や計画はしっかりと取り決められてはいるが、それは全員が稼動できる前提で割り振られた、机上の体制に過ぎません。まずは、自らが重大な被害を受け、活動に制約が発生する可能性があることを認識すること。その想定ができて初めて、“動ける”体制となり、その想定こそが、すなわちBCPの策定につながるのです。どう動けるか、動ける人は誰なのかを把握するために、まずはスピーディーな安否確認から始まります」

秋田県建設業協会が掲げる事業継続の必須要件
・自らが重大な被害を受け、リソース制約が発生することを認識し、重要業務を選定して対応する
・重要業務の継続・実施に関して、時間・水準の実施目標を持っている
・業務プロセスを分析して制約要因の改善策を見出すアプローチを行う
・事前対策、災害発生後の対応、平常時の維持管理、継続的な見直しの各要素をすべて含む



民間版のテックフォースを作ろう

 秋田県建設業協会の活動の背景には、東北建設業協会連合会が発足した「災害対応施策検討委員会」での取り組みがある。荒川氏はこの委員会のメンバーであり、活動内容は「災害対応施策検討委員報 告書」としてまとめられている(欄外参照)。この報告書に掲げられた対応策の内、特に「災害対策支援隊(建設業テックフォース)の創設」、「情報の共有化」、「災害対応に向けた会員企業の体制確立」等の項目について、秋田県建設業協会が具体的な活動として応えたのが、GPS付携帯電話を使った災害情報共有システムの構築と、それを踏まえた大々的な災害訓練である。

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コスト、とっつきやすさ、伝達手段

 システム選定にあたり、まず重視したのが「情報伝達手段」だ。平成20年の岩手・宮城内陸地震で実感したのが「電話は繋がらない」ということ。電話は固定電話でも携帯電話でも繋がらず、時間がかかっても届くのが携帯電話からのメールであった。その経験もあって、携帯電話からのメール送信情報を有機的に活用できる「basepage(ベースページ)」(川田テクノシステム)に興味を持った。  「もちろん他のシステムも検討しました。
情報伝達手段以外で検討したポイントは第一にコスト。ASPで期間利用という点で、初期費用が安く抑えられます。そして第二に、いかに簡単であるか、ということ。GPS機能付携帯電話という、もはや当たり前に入手できるツールを使った情報収集は単純明快で、これはいける、と直感しました。今や建設業は積算やCAD等、日常業務であらゆるシステムを使っており、これ以上新たなシステムを導入するには辟易している。しかし、普段使っているグループウェアの延長線上で違和感無く導入できると思ったのが、basepage選定の決め手です」


BCP策定を裏付ける災害訓練実施

 こうして、協会員の理解を深めるために、各支部でBCP策定説明会とあわせて、このシステムを使った災害訓練を実施することとなる(CPDS認定)。午前にBCPの概要と現状および災害情報共有システムの概要についての説明を行い、午後は参加会社が各々現場に赴き、実際に携帯電話を使ってメールを送受信する実地訓練を行うもの。
 北秋田支部に続いて実施された山本支部の災害訓練の模様を欄外にレポートする。


行政との情報共有も視野に

 これらの取り組みは自主的なものであるが、今後活動を拡大するにあたっては、やはり、行政側の理解や協力が必要だ。そのため、今回実施した説明会でも国土交通省能代河川国道事務所職員や、秋田県山本地域振興局職員を来賓に招くなど、協会の活動をアピールする働きかけをしている。 「WEBを使った情報共有システムであれば、受発注者間での工事情報共有への流れを視野に入れた展開も図れます。こうした将来構想に基づく可能性もbasepageのメリットであると考えています」

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今後の展開

alt 現在を「BCP周知段階」とし、この後も各支部で同様のセミナーや災害訓練を実施し、BCP策定の推進を図っている。今後の展開としては、秋田県建設業協会が直接的にBCP策定を支援すべく、策定アドバイザーを養成し、標準化を進める。次のステップでそれを実質的なものにするための情報収集訓練を行う。この段階では行政と協同で取り組めるよう、推進していく予定だ。
 「災害時のみならず、平常時の日常業務で活用できる提案を行うことで、会員企業の利用促進が図れます。アイディアを出し合い、随時見直ししながら、一緒になってBCP策定に取り組んで行きたいですね。」




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