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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

鉄骨BIM積算により、 適正なコスト管理を目指す

日本国土開発株式会社

FAST ZERO for Revit


日本国土開発株式会社
所在地:東京都港区
設立:1951年4月
資本金:50億1,275万円
従業員数:1,094名
https://www.n-kokudo.co.jp/


生産計画部BIMグループリーダー 生産計画部BIMグループ
守中 隆史 氏     原田 滉介 氏   

日本国土開発は、優れた機械技術を導入し、戦後復興のために1951年に創業。
さまざまな社会課題の解決と環境に配慮したソリューションを魅力的なかたちで提供することを目指し、挑戦と創造を続けている。
インフラ構築や災害対策工事、超高層建築から既存の建物の価値向上まで、確かな技術力を生かした多彩なソリューションを提供することで、豊かな社会づくりに貢献している。
オープンイノベーションによる研究開発や、独自の再生可能エネルギー事業を始めとしたSDGs達成への取り組みを通じて、持続可能な社会づくりにまい進する。

 

BIMを活用した鉄骨積算取り組みの背景

日本国土開発では近年、物流倉庫をはじめとする大型S造案件の受注が増加している。
鉄骨コストの急激な上昇もあり、鉄骨数量を正確に算出しコスト管理を行う必要に迫られた。
また設計施工案件の引き合いも多く、設計段階ごとに、より精度の高い鉄骨数量の算出が求められており、外注積算で行うには、変更対応やスケジュール調整など、必要な時期に積算結果が得られないという状況もあった。
一方でBIMへの取り組みは社内的に進んではいたものの、具体的な効果や成果が見えにくいという課題もあり、これらの課題を解決するため、「BIMを利用して鉄骨積算を効率的に行う」という取り組みを開始した(図-1)。
 
業務開始に当たり、RevitやArchicadなど既に導入済みのBIMソフトでの算出方法の検討を行ったが、正確な数量を把握するには、やはり鉄骨専用ソフトを利用することが効率的であるという結論に至った。
数製品ある鉄骨専用ソフトの検証を行い、2022年4月に(株)ファーストクルー社の「FAST ZERO for Revit」を導入することになった。
※導入時は「FAST Hybrid for Revit」(図-2)
 
選定理由としては、10,000tクラスの鉄骨モデルでも問題なくPCが作動できるというソフトの動作性、多くの帳票がプリセットされておりモデルからさまざまな情報がボタン一つで得られる効率性、ライセンス形態が弊社のセキュリティーシステムや社内運用にマッチしていたという適合性、サブスクモデルもあり、初期投資が少ないというコストパフォーマンス性など、それぞれを検証し選定に至った。

図-1 取り組みの背景
図-1 取り組みの背景
図-2 (株)ファーストクルー社の「FAST ZERO for Revit」
図-2 (株)ファーストクルー社の
「FAST ZERO for Revit」

 
 

現在の取り組み状況

ソフト導入時は、入手済み案件の鉄骨モデルの作成から数量調書を作成し、鉄骨業者様や積算事務所様から提出される部材明細との照合を行い正確性について検証を行った。
検証から得られたノウハウとして、モデルを作成する際に入力ミスが多い部分、考え方が異なる部分、誤っている部分を明確にすることができた。
それらを改善するためにモデル作成の社内ルールを策定し、鉄骨業者様や積算事務所様の部材明細との照合を繰り返すことで積算精度を向上させている(図-3)。
 
本体鉄骨の比較検証から始め、操作方法の習得に応じて、付帯鉄骨の比較まで範囲を広げてノウハウを蓄積している。
また設計時の比較検証用の重量算出も行い、経済設計の補助ツールとしての役割も担えるようになってきている(図-4)。

図-3 チェックリスト
図-3 チェックリスト
図-4 集計表
図-4 集計表

 
導入後1年で、概算時の数量調書を指定帳票として鉄骨業者様に配布することで、見積り徴収・比較を容易にし、積算・購買業務の効率化にも貢献できるツールになっている。
現在では20物件以上の数量算出に関与し、従来の設計から取り決めに至る業務の生産性を向上させている(図-5)。
 
また新たな取り組みとして、重量算出のために「FAST ZERO for Revit」で作成した詳細モデルをRevitデータに変換し、鉄骨仮設業者様と協働している。
鉄骨仮設をBIM化することで、計画の見える化や正確な数量把握の効率化につなげ、生産計画に反映させている。
「FAST ZERO for Revit」の帳票の一つである製品重量表を用いて、鉄骨建て方の揚重計画への活用も始めており、施工部門の生産性の向上にも効果を発揮するというBIMの理想を実現している(図-6)。

図-5 ワークフロー
図-5 ワークフロー
図-6 仮設モデル
図-6 仮設モデル

 
 

今後の展望

自社での鉄骨BIM積算を継続することで、精度向上や効率化につなげ、鉄骨工事に関わる設計から施工に至る一連業務の生産性を向上させることを目標としている。
また正確な数量の蓄積により、これまでの歩掛データの見直しも可能と考えている。
 
連携機能を利用して、Revitで作成された構造設計モデルを「FAST ZERO for Revit」に取り込み、重量を算出するフローに期待をしている。
しかし現状では構造設計モデルが積算を意図して作られていないため、誤変換の防止やデータ確認方法が確立されておらず、当面は専用の重量モデルの作成が必要だと考えており、作成した鉄骨モデルの2次利用の可能性を探っている。
 
鉄骨積算を主業務としBIMに関わることで費用対効果を確保し、その他のBIM活用技術の展開を目指していきたい。


最終更新日:2024-05-07




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