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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

BIM/CIMだけではない新しい3次元活用の道を切り開く!

株式会社土木管理総合試験所

3次元空間設計・解析システム「LandForms」

株式会社土木管理総合試験所
株式会社土木管理総合試験所
所在地:長野県千曲市
設立:1985年
資本金:12億482万860円
従業員数:464人
主な事業内容:地盤調査、室内試験、環境分析、測量、設計、工事(地盤改良・補修工事)
https://www.dksiken.co.jp/

空間設計課
牧野 陽介 氏、堀越 彩香 氏、本間 司人 氏


 
現場の品質管理や各種試験をトータルサポートする総合建設コンサルタント企業。
北は北海道から南は沖縄まで全国展開中。
現場の悩みや施工全般をあらゆるジャンルで支援している。
顧客からの依頼をワンストップで応えられることが経営方針。
社会貢献につながる仕事をするために社員教育には余念がない。
全国に大きな試験センターを3施設配置し、ロボットによるオートフォーメーション化を取り入れるなど、スピードと技術提案で顧客からの期待に応えている。
 
 

きっかけは点群活用の模索から

空間設計課の前身である測量課では、 2015 年にUAVドローンと地上型レーザースキャナーを購入し、施工現場や現地測量で本格的に点群データ計測を始動しました。
はじめは計測業務のみ行っていたのですが、業界の動きや情報収集を行う中で、計測だけで終わらせずに活用していくことが重要であるということが分かってきました。
3次元化することで設計や打合せの協議資料に使えるのではという観点から、さまざまなソフトウエアを導入し活用方法を模索していた時に出会ったのが「LandForms 」でした。
 
「LandForms」
 
 

3次元への入門として最適なソフトウエア

そもそもの課題として、土木業界はいまだ2次元図が主流で、社内の技術者も 3次元というものに不慣れという状況がありました。
さまざまなソフトウエアを試したのも、とにかく3次元に慣れるということが目的の一つとしてありましたので、現在でも定期的に社内勉強会を開催し、新たに配属された技術者には、まずは3次元に慣れてもらうことを重要視しています。
このような状況下で重宝しているのが「LandForms 」です。
 
例えば「LandForms 」には2次元の設計図面から3次元モデルを作成する機能があります。
単純に高さ情報を入力してから面にするだけのシンプルな手順なので、3次元になじみのない技術者でも取り掛かりのハードルが低くなります。
逆にまだ図面を読み解くことが苦手な若手技術者は、3次元モデルで可視化することで2次元図面への理解が深まります。
個人的にも地形モデルや線形モデル、計画設計モデルの作成などは、操作性がなじみやすく、取り扱いやすさを感じていますし、簡単な操作で3次元を身近なものにできることが「LandForms 」の大きな利点といえます。
 
「LandForms」
 
 

ソフトウエアの柔軟性が3次元活用の幅を一気に広げる

このように3次元への登竜門として力を発揮している「LandForms 」ですが、もちろん業務の上でも欠かせない存在です。
当社事業は多岐にわたりますが、想像以上にさまざまな分野で3次元が活用できるということが「LandForms 」の導入により見えてきました。
 
当社では、公共工事を中心とした調査・試験・分析を自社で完結できる体制をとっており、現場管理を得意としています。
具体的には現場には乗り込み前から起工測量で入り、施工中も各種試験や現地調査を代行するなど、竣工までの全ての工種で現場と深く関わる状況にあります。
おのずといろいろな相談が寄せられることになりますが、近年それらの解決には3次元活用が欠かせないと感じるようになってきました。
そして、それらの解決には、特定の業務や使い方にとらわれない柔軟性を持った「LandForms 」が大活躍したのです。
 
 
差分解析は3次元活用の基本
まず一般的な3次元活用の代表例としては、差分解析が挙げられるかと思います。
実例として、既設トンネル内部の断面変化を把握したいという依頼の際には、変状箇所の断面図を迅速に作成・提示できたことで依頼者から大変喜ばれました。
これは現況と設計図の3次元モデルを比較して差分解析を行う機能を使用しましたが、点群データから3次元モデルの作成が短時間で行えた点も大きな時間短縮につながったと思います。
また過去のデータさえあれば、変状後のデータと差分比較して容易に変化量を算出できるので、他にも法面の変化や地盤沈下、ダム湖底の堆積土砂の堆砂傾向や昨年度との堆砂土量比較など、差分解析を行うさまざまな業務で助けられています。
 
 
災害時はスピードが肝心
またソフトウエアの柔軟性が災害時に功を奏した事例もあります。
傾斜角度設定という機能がありますが、災害時のボーリング調査でモノレールの設置ルートを検討する際に、最大斜度40 度以下の最短ルートと距離を割り出すために、この機能を使用しました。
おかげで遠隔地に何度も足を運ぶ必要もなく、速やかにルート選定が行えました。
この機能は今回の用途を想定して開発された機能ではありませんが、まさにかゆいところに手が届くとはこのことでした。
 
「LandForms」
 
 

現場の可視化でコミュニケーションをスムーズに

さらに「LandForms 」の魅力としては、その3次元モデルの見せ方の豊富さが挙げられます。
この機能により、土木工事現場にとどまらず3次元を業務に生かせた事例もありました。
 
 
出来上がりイメージの共有がポイント
当社の業務の一つに、民間発注の造成工事や、工場・店舗・住宅などの建築現場での地盤調査や地盤改良工事があります。
3次元活用例としては、例えば新築建物であれば、日影機能を使用して実際の場所・時間の日当たり具合を確認したり、周辺建物の影がどのように影響す
るかを事前にチェックすることができます。
また建て替えであれば、既存構造物部分の点群を削除し、新しく建てるモデルを配置して建物内部からのロケーションを確認する、といった見せ方もできるので、お客さまと具体的なイメージを共有するのに一役買う場面もあります。
 
 
現場再現からシミュレーションまで
土木工事の現場に話題を戻すと、竣工モデルや内部鉄筋、構造物系の3次元サーフェスモデルも比較的短時間で作成し、地形モデル上に統合して現場をシミュレートすることが可能です。
 
「LandForms 」では残念ながら内部鉄筋の干渉チェックや重量計算はできません。
しかし、構造物モデルの作成や配置は簡単なので、例えば現場内の空間情報として距離・面積などの計算、現場車両の動線計画、残土置き場計画、仮設工(足場・架台やシートパイル)の設置状況からクレーン設置位置の検証まで、どんな場面でも再現可能と言ってもよいくらいです。
ビュワーには動画作成機能や車両走行などの多彩なシミュレーション機能もあり、お客さまとの打合せ資料を作成する上でも大変満足しています。
 
「LandForms」 「LandForms」
 
 

インフラ維持点検への展望

また、当社には、コンクリート構造物や鋼製橋梁などのインフラ全般に関わる維持管理のための調査や力学試験、化学分析などをワンストップで行っている部門もあります。
 
すでに取り組み始めているのは、既設構造物を点群データで計測し「LandForms 」を使用して3次元モデルを作成するサービスです。
点群データからであれば、これまでは再現に時間がかかり難しかった部分も数ミリの誤差範囲に収まるような正確なモデルが作成できます。
一部は自動計算で作成できる場合もあり、時間短縮を図ることもできます。
今後インフラ維持補修時代を迎えるこ とは前々から予想されていましたが、3次元モデルを活用して前年度データとの差分比較や浮き・剥落箇所の把握が容易になったり、変状情報やひび割れ情報を持たせることができたりすれば、熟練技術者以外でも解析が行えるようになり、大幅な業務の効率化になると考えています。
 
「LandForms」
 
 

BIM/CIM対応も目指しつつ 3次元活用のその先へ

測量課は2021年に部署名を「空間設計課」と改めました。
これは新時代に先駆けて建設DXやi-Construction、BIM/ CIMなどに取り組み、最先端の測量技術を用いて空間設計集団として飛躍していくという新たな決意を込めての改名です。
実は「LandForms 」はBIM/CIM用ソフトウエアというわけではありません。
 
しかし、3次元に取り組み始めた初期にこのオールインワンソフトウエア、つまり点群ノイズ処理から始まり、道路や造成工事の3次元設計、盛土・切土の土量や面積計算・容積計算、i-Constructionにも対応した出来形管理、2次元図面や LandXMLへの出力機能をはじめ、ある種ニッチな機能が豊富なこのソフトウエアに出会えたことは、当社の3次元活用の幅を大きく飛躍させてくれました。
今後も「LandForms 」を活用しつつ、時には他のソフトウエアと組み合わせて使いながら、業務の効率化・省力化を図り、 BIM/CIMへの対応、ひいてはその先の 3次元活用を模索しつつ、多様な業務に取り組んでいきたいと考えています。

 
 

最終更新日:2023-03-17




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