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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

レーザースキャナーと小型UAVで橋梁を3Dデータ化して耐震補強工事を効率化

東海建設株式会社

Arena4DDataStudio-J

山﨑 信人 氏 小沼 豊 氏

東海建設株式会社
所在地:北海道室蘭市
創立:1963年9月
資本金:3,000万円
従業員数:36名
http://tokai-k.jp/
 


(左)土木部 係長 山﨑 信人 氏      
(右)土木部 部長 小沼 豊 氏    
  

 

国土交通省がICT土木の現場導入を推進する中で、直轄土木工事におけるICT施工の割合も年々増加している。
北海道各地で豊富な土木工事実績を持つ東海建設株式会社も、数年前から橋梁補修工事でのICT活用を進めてきた。
今回の耐震補強工事では、3Dモデルに時間軸を加えてデータ管理できる「Arena4DDataStudio-J」と小型の特殊UAV(ドローン)を併用し、時間とコストの大幅削減に成功した。
詳しい経緯について、同社小沼豊・土木部部長、山﨑信人・土木部係長に伺った。

 
 

ICT導入の流れの中で取り組んだ橋梁耐震補強工事

 
これまで橋梁の漏水の補修が優先されてきた北海道でもここ数年、耐震補強工事の件数が増加している。
今回紹介する「一般国道235号日高町沙流川橋耐震補強外一連工事」は、その耐震補強とICT土木という二つの流れを受けた現場でもある。
そこで本工事を受注した東海建設は、事前調査の段階からCIMによるメンテナンスを模索。
橋梁工事を専門としている札幌市の新興開発株式会社(M-CIM研究会会員)と打合せを重ねていった。
 
「従来の事前調査では、足場を設置する手間はもちろん、一人が計ってもう一人が野帳に書き込みながら広範囲に計測する作業も負担で、着工前の準備期間が長期化していました。また今回の工事では、情報ボックスの管と水道管の存在が分かっていて、そこに新たにブラケットを取り付けなければならないという課題もありました」
 
現場代理人を務めた山﨑氏はこう言ってCIM導入の動機を語った。
同社土木部は砂防工事で2021年度の「北海道開発局i-Con奨励賞」を獲得しておりICT活用には積極的だった。
 
「国交省が2023年に、小規模工事を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適用、という発表をしましたね。当社でもこれに対応した動きを早めています」と、小沼氏も背景を語った。

 
 

足場を設置する事前調査に比べ、大幅な工期短縮を実現

 
この工事では、設計図と現場の整合性確認のための事前調査を地上置型レーザースキャナーとAIを搭載した小型特殊UAV(ドローン)を組み合わせて実施した。
同UAVは、スキャナーではデータ取得が困難な橋脚上や支承、桁端部などを50cmまで接近して撮影でき、「Arena4DDataStudio-J」で両者のデータを重ねることで現場の3D点群モデルを完成させた。
これまで事前調査に費やされた労力と時間、コストをかけずに同等以上のデータを収集できたのである。
 
「足場を組み立てて行う場合、調査に約2~3週間、3Dモデルの作成を含めると約1カ月半はかかりますし、人の手で計測すると正しい形状とのズレが生じる懸念もあります。
対してレーザースキャナーとAI搭載の小型UAVを使う場合は、約3週間でモデル作成まで完了でき、工期短縮を図れます。小型UAVの操作は、基本の撮影法を学べば入社半年の社員でも十分に可能でした」
 
山﨑氏はこうした効率化の効果についてさらに語った。
 
「足場の設置が必要ない分、早い段階から施主と検討できる点も良かったですね。また、受注時から問題視されていた情報ボックスの管と水道管については、3Dモデル上で干渉チェックを行えるため、支障物の写真撮影・説明用の図面を作成する手間が省けます。早期に着手できたのは工事全体の進行を早める上でプラスになりました」

小型特殊UAVの操縦
小型特殊UAVの操縦
AIで50cmまで近接できる小型特殊UAV
AIで50cmまで
近接できる小型特殊UAV
タブレットでUAVの撮影状況を確認できる
タブレットでUAVの
撮影状況を確認できる

 

土木工事でも必須となった3Dデータによる維持管理

 
実際にブラケットなどを取り付ける際も「Arena4DDataStudio-J」による事前チェックが功を奏した。
山﨑氏に工事における成果を聞いた。
 
「橋脚周りや桁周りの点群データと水平力を分散させる鋼製ブラケットの3Dデータを合成し、合うかどうか当たるかどうかの干渉チェックが行えます。また、点群データとブラケットの距離も解析でき差分チェックも実施できます。従って、この段階で鋼板を微調整することも可能です。
 
今回は2トンのブラケットも扱いましたが、仮に現場で合致しないとつり上げたブラケットを再び降ろすことになり無駄な作業がたびたび発生していましたが、今回はこうした手戻りはなくなりました。
 
また、アンカーの取り付けなどの場合、現場で穴位置がギリギリ合わないと無理して作業することで危険性が高まることも考えられます。3Dモデルで精度が高まることで、こうした作業面での安全性も向上しました」
 
場合によっては、工場で製作された鋼製ブラケット自体をスキャンし「Arena-4DDataStudio-J」上で現場のデータと照合することで出荷前に実物を加工し直すことも可能になるため、現場作業の効率化は計り知れない。
 
以上の成果を踏まえて山﨑氏は語る。
 
「将来的には橋梁の設計段階から3Dデータの導入が求められるのではないでしょうか。いずれにしても、橋梁補修の領域でもCIMの活用は必須だと思いますし、もう手作業で計測していた頃には戻れませんね。工事履歴も写真データとともに確認でき、過去にさかのぼって現場の状況を把握できるのもメンテナンス工事には重要です。おかげさまでインターンシップの学生からの評判も良く、採用面でもプラスの効果をもたらしています」
 
小沼氏も自身が業界に入った頃を振り返りつつ、あらためて必要性を強調した。
 
「測量機械をその都度、必要な点に据付することはありません。3D設計データと端末機器を利用し、やり方も簡単に設置できるので土木技術者の仕事も大きく様変わりしたと思います。今回の現場は、国交省で推進する『生産性向上チャレンジ』にも参加しており、今後も積極的に取り組みます」
 
「Arena4DDataStudio-J」は小型UAVを使ったアンカーのピッチ計測も可能にする。
「技術革新に追いつくのが大変」という声も聞こえるがICT土木の流れが今後、加速していくことは間違いない。

点群+UAV(SfMデータ)
点群+UAV(SfMデータ)
点群+UAV(SfMデータ)+3D設計図
点群+UAV(SfMデータ)+3D設計図


3Dモデル上で干渉チェック
3Dモデル上で干渉チェック
点群+UAV(SfMデータ)+3D設計図
点群+UAV(SfMデータ)+3D設計図


(3D製作協力:新興開発株式会社)

 
 


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