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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

大規模インフラを点群により3次元データ化。場所ごとに時系列で記録でき維持管理も円滑に。

日本振興株式会社

Arena4DDataStudio-J


日本振興株式会社
所在地:大阪府泉南市
創立:1977年3月
資本金:1億万円
従業員数:1,021名(2020年7月1日現在)
https://www.nihon-shinko.com/
 
 

企画部   
太田 昌稔 氏   

全国のダムや道路、河川工事などの大規模インフラ整備事業において、事業の円滑な進捗と完了を支援する建設コンサルタントとして事業展開する日本振興株式会社。事業者(主に官公庁)の視点で設計者の意匠や理想をくみ取り建設会社の目線を客観的に捉えながら、事業全体のバランスと調整を図る役割を担う。今回は、日本最大級の大断面トンネルの維持管理のための基礎データづくりに効果を発揮した「Arena4D DataStudio-J」の機能について、企画部の太田 昌稔氏に伺った。
 
 

大断面トンネルの維持管理で基本データの計測が課題に

京都府宇治市の淀川水系宇治川に造られた天ヶ瀬ダムは、高さ73m、長さ254m。そのフォルムが翼を広げた鳥の姿に似ていることから、ダムの湖は「鳳凰湖(ほうおうこ)」と呼ばれる。近年の洪水被害の多発を背景に、このダムは、放流能力を増強し宇治川や淀川、さらに琵琶湖の治水・利水を行う目的でダムの横に全長617メートルにおよぶトンネル式放流設備を構築する再開発が行われている。
 
日本振興株式会社は、国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所の監督支援に携わる中で、本再開発事業が終了した後の維持管理方法の相談を受けた。その対象は、トンネル式放流設備の減勢池部と呼ばれる部位で、トンネルの高さ約26メートル、横幅約23メートル、延長約100メートルという圧巻の規模。あまりのサイズに既存の方法では選択肢がなく、しかも放水路として使われ下部に水がたまるため人間が入って行くことができない。
 
同社がこの大断面トンネルの維持管理方法という課題を解決するため、パートナーとして選んだのが、東京支店を通じ業務上のつながりがあった株式会社補修技術設計だ。事情を説明し提案を受けたのが、点群データとドローンで撮影した画像で管理する「Arena4DDataStudio-J」を用いたサービスである。
 

点群による全体像



 

点群データでスムーズに維持管理が可能に

「Arena4DDataStudio-J」における最も印象的な特長について太田氏は、次のように語った。
 
「点群データをそのまま使用できる点ですね。維持管理業務の場合、いま既にある設備が対象となるので、BIM/CIMで作成された3次元モデルによる管理は想定できません。今回は、点群データをそのまま使って3次元でベースとなるデータを作成できたので発注者のオーダーに十分応えられました。これだけの規模のトンネルを完成後に近接点検することは不可能に近いので、開発中の時点でリアルなデータを取得するのは必須条件でした」
 
自然条件などの制約に関わらずドローンによる撮影が可能だった点も今回の課題解決に寄与した。
 
「大断面トンネルで山間地にあるため、準備段階ではそもそもGPSが入るのかという心配さえありました。実際は誤操作を防止するためにGPSセンサーをOFFにして手動で行ったのですが、関係者が満足できる画像品質が実現できました」
 
また、3Dレーザースキャナーにより基本となる3次元データを取得し、より詳細な画像をドローンで撮影した。いまドローンによる測量精度は急速に進化を遂げており、悪条件下での撮影も日増しに対応範囲が広がって、既に山間地の撮影も格段に利便性が増している。 続いて太田氏が挙げた特長は、商品名の「4D」が示す通り、3 次元の「3D」に時間軸を加えた4次元での経年劣化の管理だ。
 
「今後、維持管理の段階になって重要になるのが、点検・修理した月日ごとに経年データとして3次元で保存できる点です。例えば年数で色分けされて、『この時点では、こんなクラックがあった』などとチェックできます」
 
「Arena4DDataStudio-J」は、大断面トンネル撮影で使用した当時、実は改良中の段階だった。経年データの表示法をはじめ、現在もユーザーの声を聞きながらより利便性高くカスタマイズされており、今後ますます機能性の向上が図られる予定だ。現時点でも、場所ごとにリンクを張ることができ、画像や工事図面、コンクリート強度のデータなど必要な情報を同じ時点に重ねていくことができる。その点で維持管理において、類がない性能を備えていると言ってよい。
 

点群とSfMデータの重ね合わせ
 

モニター上での目視点検

 

ドローンによる躯体の撮影

 

4D:調査時期による損傷の種分け



 

現場の点群データを基本にさまざまな差分解析が可能

維持管理における圧倒的な機能性を有する「Arena4DDataStudio-J」だが、その機能は差分解析の面でも利用価値が高い。次はいずれも現場を撮影した3次元の点群データとの差分解析の事例だ。
 
例えば橋脚の鋼板補強工事では、鋼板の3 次元データを現場のデータに重ね、鋼板とのすき間を確認できる。また、ブラケットのアンカーを反映させた現場のデータとブラケットの3次元モデルを重ね、定着しているアンカーとブラケットが当たるかどうかのチェックも可能だ。あるいは、工場で実物のブラケットをスキャンし、工事現場のデータと照合することでブラケットの出荷前に細かな寸法誤差が調整できる。これらは大幅な作業性向上につながるはずだ。
 
今回の大断面トンネルの事例では、対象が巨大過ぎるが故のデータ量も課題だった。複数枚の写真から形状を復元するSFM(Structure from Motion)データをPCに取り込めるかどうか不安説も生まれたが、結果的に問題なく保存できた。このようにデータ容量に高度に対応できるのも他社と明確に差別化された特長である。
 
日本振興株式会社は、トンネルや橋梁の維持管理はもちろん、今後も大規模インフラ整備の分野で積極的に「Arena4DDataStudio-J」を活用したい考えだ。
 

橋脚躯体と補強鋼板の差分解析

 

躯体定着アンカーとブラケット孔の干渉チェック



 



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