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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

BIMの取組をARCHICADで着実に進め、2D/3D併用のハイブリッドのマスターBIMに挑戦

株式会社イチケン

ARCHICAD

株式会社イチケン

     
技術本部 設計部 部長 兼 設計一部 部長 福元 明広 氏
技術本部 設計部 設計四部(BIM推進)部長 宮田 賢作 氏
経営企画室 副室長 眦 邦雄 氏
(左から)

 
 
所在地:東京・大阪・福岡・札幌ほか
設立:1930年
主な事業内容:総合建設事業(商業施設、
住宅等の企画・設計・施工・メンテナンス)
 
 
 
 
 
 
 

イチケンは、商業施設を中心とする多様な建築物の企画、設計、施工、維持管理をトータルに展開している総合建設企業である。特にスーパーマーケットやホテルなど商業施設の建設に豊富な実績を持ち、蓄積した高度な技術とノウハウに定評がある。
そんな同社がGRAPHISOFTのARCHICADを導入し、本格的なBIMへの取り組みを開始したのは2016年。比較的、最近始まったチャレンジだが、ユニークな取り組みの数々により、挑戦開始から4年目を迎えた現在、着実に実績を積み重ねている。
 
 

着実にBIMに取り組むスタンスの「BIM4カ年計画」

「当社のBIMへの取り組みは、いきなりフルBIMや100%BIMで行うのでなはなく、2次元の部分も残しながら着実にBIMへ取り組むという姿勢で、進めています」とイチケンの福元氏は語る。また「当社の協力会社にはBIM未導入の会社も少なくありません。そういうところには“やれることからやりましょう”と声をかけるんです。それで便利と感じたら次から参画してみてくださいと話し、ハードルをまずは低く設定し、皆でBIMに取り組めればいいと考えています」。さらに福元氏は、「社長もこういったBIMへの取り組みに理解が深く、強力なリーダーシップで引っ張っていってくれています」と語る。
 
そんな福元氏の言葉は、同社のBIM導入計画のスタンスを表したものでもあり、2016年に始まった「BIM4カ年計画」の内容は、足元を確かめながら着実に進もうとする同社の意志を感じさせる。
 
「計画前年の2015年から導入準備を始め、まずBIMソフトの選定で約半年、BIMソフトや関連製品の情報収集と比較に取り組みました」と福元氏。選定は約半年に及んだが、最終的には意匠設計実務での使いやすさで、GRAPHISOFTのARCHICADを推す声が大勢を占めた。実際に選定に携わったBIM推進担当の宮田部長は語る。「ARCHICADは感覚的に操作しやすく、ビジュアルも非常に美しかったです。またチームワーク機能も魅力的でした。当社では建物は“皆で協力して作り上げる”という考えを大切にしており、BIMに対してもこのイメージを大事にしています。そのため、チームワークによる協業というARCHICADの機能とスタイルがフィットしたのです」。
 
続く取り組みはイチケン独自のBIMルールの策定だった。「先にBIMを導入した同業の中にも、思うように進まないでいるところが多々あります。統一的なBIMルールを決めずに進め肝心な所で足並みが乱れる例が多いようです」と福元氏。そこで多少時間はかかっても入力方法や運用手順など明確なルールを統一し、全社にこれを徹底しようと考えたという。「BIMルールから大きく逸脱しないようにすれば、あとのBIMの使いやすさに繋がっていきます」。こうして進められたBIMルールの策定と並行し、別の取り組みも始まった。ARCHICAD操作講習を含む全社への設計BIM教育である。
 
 

クラウドVDIで各地を結ぶBIM教育の推進

「当社の設計部では長年2D CADを使ってきました。一部にパース制作などで3Dのソフトなどを使う者もいましたが、大半はパース制作も9割は外注していたんです」と福元氏は当時を語る。つまり設計部員の大半にとって、ARCHICADへの乗換えは初の3D体験になる。福元氏らがBIM教育へ一段と注力したのは当然であるが、基本を大事にし、会社の将来を担う若手社員を大切にする企業の姿勢も伺える。そして、同社は策定したBIMルールをベースに、意匠に構造や設備を含む設計スタッフを対象に1年間の教育カリキュラムを構築。2016年にまず東京設計部の約半数がこれを受講、さらに翌年は東京勢の残り半分と関西・九州支店の設計部で実施した。そして、特にこの第2期のBIM教育で威力を発揮したのが、クラウドVDIによる授業だった。
 
また宮田氏は「当社では常時100現場前後を動かしていますが、将来その全現場でBIMを運用するとしたら、その全てにARCHICADを動かせるスペックのPCが必要となります。しかし、残念ながら現場の多くは高価なPCを置くのに相応しいとは言えません。そこで着目したのがクラウドVDIでした」と語り、柔軟にBIMを扱える環境作りも工夫した点だという。クラウドVDI(仮想デスクトップ)とは、クラウド上に構築したワークステーションに接続し、スペックがそれほど高くないPCでもARCHICADなどを操作できるサービスのことである。基本的にWEBに接続できる場所なら使え、高いセキュリティで運用できる。福元氏らは、導入したばかりのこのクラウドVDIを関西・九州支店のBIM教育に活用しようと考えたのである。
 
「東京で行っている授業内容を関西や九州でも行えるようにしました。現地ではTV会議式で講義を見ながらVDIによりARCHICADを操作していきます」と語る宮田氏によれば、VDI授業は毎回4〜5時間、週2コマを実施。この2つの内容は同じで、受講社員は週1度どちらか都合の良い方を受講する仕組みで、業務状況に合わせて学習できる。ARCHICADの操作講習では、竣工済みの実物件を題材にBIMモデル立ち上げ、意匠、設備、構造まで作ってSolibriで統合。干渉チェックまで行った。
 
「講師の操作を見ながら、受講社員も実際に操作していくわけです。VDIでのARCHICAD操作は非常にスムーズと好評です」と3人は口を揃える。
 
 

2D/3DのハイブリッドBIMの運用へ

クラウドVDIによるBIM教育は、2017年の施工BIM導入教育から始まり、翌年は新入社員BIM研修も開始。そして実案件への展開も急速に活発化している。福元氏は、「設計BIMは、施主との打合せ用にエントランスだけ作りたいとかプレゼン用動画が欲しいとか収まり検討とか、部分的なものも含め日常的に活用しています。施工BIMも同様で、斜面地に建てるマンションの仮設計画や掘削土量の計算など、後方支援のBIM活用も増加中です」と語り、着実に成果が出ていることに自信を見せる。こうして同社の設計・施工BIMの活用案件はすでに総計40現場を越え、まさに“いかにBIMを便利使いするか?”をポイントに全社で挑戦が進んでいる状況だ。そして、このBIM活用における最新・最大の取り組みが、2018 年に始まった東京施工BIMプロジェクトである。
 
「実施設計を担当した他社案件ですが、現場が本社の近くで、基準階がほぼ同じオフィスビルだったため、施工BIMのモデル案件として進めることにしたのです」と福元氏。そして、同プロジェクト最大の挑戦が、2D/3D併用のハイブリッドBIM「イチケンマスターBIM」の運用である。前述のとおり協力業者のBIM導入レベルはまちまちだ。そこで現状の施工の流れを変えずに、2D/3Dの双方を扱えるBIM環境を整備。運用ルールやハンドリングマニュアルを作って各協力業者を教育していったのである。「可能なところは3Dで、無理な会社は2Dでいいから一緒にBIMを使って進めよう、と。そして、少しずつメリットを感じてもらおうというわけです」と宮田氏。
 
工事は間もなく建て方が始まるが、すでにBIMモデルを用いた干渉チェックなどの作業も完了し、BIM未着手の協力業者も含めて、多様なBIMモデルの活用が急速に広がり始めているという。こうした成果を受けて、関西支店・九州支店でも実案件による施工BIMプロジェクトが動き始めた。「現在、東京では第1弾の施工BIM案件に続いて、第2・第3のプロジェクトを進めていく計画です。そして、その成果を関西・九州に積極的に投下していきたい。とにかく当社としては、BIMは最先端でなくても皆が使えるように取り組みを進め、皆でその便利さを幅広く共有していくことが大切で、それがBIM利用の裾野を広げていく重要な要素だと思っています」と福元氏。同社のBIMへの取り組みは、ARCHICADを中心に今後も着実に進んでいくだろう。
 

イチケンマスターBIMの概要

 


鉄骨+設備統合モデル

  BIM現場会議の様子

  2Dと3D干渉チェック


制作:Archi Future 運営事務局/この記事は、「Archi Future2019 ガイドブック」に掲載されたものです。
 



 
 


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