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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

外注を使わず、自分たちの手で-「ICTにできること」を現場で確かめながら着実に全社へ普及

中野土建株式会社

EX-TREND武蔵/TREND-POINT/TREND-CORE

中野土建株式会社

     
取締役 土木部長 荻原 正直 氏
土木部 副部長 徳竹 雅博 氏
土木部 工事所長 山本 洋 氏
(左から)

 
 
創業:1948年12月
資本金:8,100万円
社員数:79名
事業内容:土木・建築・舗装・水道施設・大工・
とび土工・鋼構造物・管工事ほか

 
 
 
 
    
 
長野県中野市の中野土建は、創立70年余の歴史を持つ地域密着型の建設会社である。主力は建築・土木の2本柱で、特に土木部門は道路一般工から砂防工事等の河川事業、橋梁架設等まで、地域のインフラ整備を担い豊富な実績を積み重ねてきた。2016年、国土交通省によるi-Construction導入開始を受け、同社は福井コンピュータ製品を一挙に導入。ICTの導入&活用に着手した。その展開の詳細について、土木部長の荻原正直氏、副部長の徳竹雅博氏、工事所長の山本洋氏に話を伺った。
 
 

ICTで何がどこまでできるのか?

「私たちがICTへの挑戦を開始した直接のきっかけは、やはり国土交通省によるi-Construction(以下i-Con)の取り組みでした。当社は国交省の仕事も請負っていますから、こうした流れに乗り遅れるわけにはいきません」。そう語る荻原氏の指揮のもと、同社はまず土木施工管理システム「EX-TREND武蔵」を導入。続いて3D-CADであるCIMコミュニケーションシステム「TREND-CORE」と3D点群処理システム「TREND-POINT」も導入し、ICT施工への対応を開始したのである。
 
「実はそれまで当社は、他社製の2次元CADと施工管理システムを使っていました。ところが、いろいろ検討した結果、現場の3次元化が始まれば福井コンピュータ製品以外に選択肢はない、と考えるに至ったのです」(荻原氏)。もちろん、同社の全てのCADを一気に福井コンピュータ製品に切り替えてしまうことは困難だった。しかし、だからこそ、i-Conへの流れが本格化する前にさまざまなICT活用を試行し、いち早くノウハウを蓄積しながら現場への普及を進めていこう、と考えたのだと言う。実際、これら福井コンピュータ製品は、導入後いち早く現場へ投入され、同年のうちに2つの現場で並行してICTへの挑戦が始まった。
 
「一つ目の現場は長野県発注の砂防堰堤工事で、“平成28年度 防災・安全交付金(火山砂防)工事”という現場でした。ここで私たちはICT機器やソフト類の試験運用を兼ねて、これらを補助的に使ってみることにしたのです」。土木部副部長の徳竹氏はそう語る。徳竹氏としては、とにかく「ICTでどこまでのことができるのか?」を早目に実感しておきたかったのだという。そのために「試しにちょっと使ってみよう」という思いで、初めてのICT現場へ挑んでいったのである。
 
 

初めてのICT現場での多彩な活用

「砂防堰堤工事の工期は2016年9月から2017年11月。土石流や溶岩流、火山泥流等に対する砂防堰堤を作る工事で“優良技術者表彰”もいただきました」。そう言って当時を回想してくれたのは、工事所長の山本洋氏である。山本氏によれば、同現場でのICT活用は起工測量から始まった。現場の立木伐採後にドローンで現地盤の状況を撮影し、このデータをTREND-POINTで点群データ化。さらにTREND-COREで現地盤3Dモデルを生成し、同様にTRENDCOREで作成した砂防堰堤の3Dモデルを配置した。この3Dモデルから計画配置の完成予想図を作り、さまざまな形で幅広く活用していったのである。
 
「砂防堰堤の3Dモデルを作ったのは、この堰堤の左岸袖部が上流側に45度折れる形状だったからです」(山本氏)。発注図面だけからでは実際の形状を想像し難く、当初から型枠加工や出来形不足が懸念されていた。そこで誰もがイメージしやすい3Dモデルを作ることになったのだ。TREND-COREで仕上げられた堰堤の3Dモデルは、前述の通り現況モデルにはめ込んで完成予想図が作成されたほか、その展開図を出力して貼り合せ1/100の建築模型も作成。仮設計画や機器配置計画、盛土高、土量算出にも活用された。山本氏によれば、不定形な砂防堰堤の形状を作ることにやや手間取ったものの、TREND-COREによる作業は概ねスムーズに進めることができたと言う。
 
「ICTの導入効果という点では、各種工事計画の検討や情報共有に役立ちましたし、現場作業員へ計画や作業手順が伝えやすくなって、施工自体の効率化や安全性向上に寄与できた実感があります」(山本氏)。もっともこの現場は同社にとって最初のICT現場であり、ICTの活用も補助的な利用に留まっている。山本氏らも「本格的な活用メリットの創出はこれから」と考えているようだ。――では、並行して行われたもう一つのICT現場の活用はどんな風に行われたのだろうか。
 

TREND-COREで作成した砂防堰堤の3Dモデル

 

出力した展開図を切り貼りして作った建築模型


 

手間がかかっても自分たちの手で

「もう一つのICT現場は国交省発注の“古間道路改良舗装工事”で、国道18号線野尻バイパスの約1.5Kmの道路線形の改良工事でした。この道路脇に除雪帯を作るスペースを確保するため、多量の残土処理作業が必要となり、ICT施工を試そうという話になったのです」(荻原氏)。それは土山を削った約3万㎥にも及ぶ残土処理作業だった。中野土建は公告段階でICT施工の活用を提案し、ICTメニューをひと通り実施することになった。実際の取組みは、3Dレーザースキャナーによる起工測量から点群データを用いたTREND-POINTとTRENDCOREによる土量計算。さらには3次元設計データを作成し、バックホウのマシンガイダンスも実施した。「初のICT施工なので現場代理人は当時25歳の若手職員に任せたのですが、彼もとても頑張ってくれました」(荻原氏)
 
このようにして、同社は2つの現場で福井コンピュータ製品を駆使しながらいち早くICT施工を体験し、i-Con対応体制を確実に整えていった。現状ではフルにICT施工を実施できる現場はまださほど多くはないが、例えばドローンを飛ばして行う起工測量等は、i-Con現場でなくとも必ず実施するようになった。「とにかく外注業者は使わずに、多少手間がかかっても自分たちでできるよう社内への普及を進めていきます」と徳竹氏は語る。また、山本氏も「丁張をかけずにMC/MGで現場を進めることが今年の目標です。実現できれば、それが一番の省力化になりますから」と意欲十分の様子だ。最後に荻原部長に今後の展望について語ってもらった。
 
「実は今年から当部ではTRENDCORE操作に女性スタッフを起用し、3Dモデルを積極的に制作させています。新しい現場をどんどん3Dモデル化してもらい、現場の負担を軽減しながらICTを普及させていこうというのが狙いです。始まったばかりの取り組みですが、着実に進めて行きたいですね!」(荻原氏)
 

女性エンジニアによる3Dモデリング作業

 

ドローンの点検作業

 

TREND-COREに現地盤と砂防堰堤の3Dモデルを配置



 
 


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