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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

NCS/HELIOSによる数量算出 〜実施設計段階での躯体概算数量算出〜

建築積算システム「NCS/HELIOS(ヘリオス)」

大成建設株式会社

     
設計本部 構造計画部 構造計画室
シニア・エンジニア
大越 潤 氏

 
 
所在地:東京都新宿区
創業:1873年10月
資本金:1,227億4,215万円
従業員数:8,501名(2018年3月31日現在)
主な事業内容:建築工事、土木工事を含む建設業全般
https://www.taisei.co.jp/
  
 
   
   
   
   
   
   
大成建設株式会社では2009年より構造設計分野においてBIMツールを導入した。同社では、BIM導入で躯体数量算出が効率化できるとの期待があったが、国内独自の積算基準や、配筋モデルの入力に時間を要するなど、数量算出のための環境の不足から、BIM導入以前の手法で躯体数量算出を行わざるを得なかった。しかし、BIMツールとの連携を特長とするNCS/HELIOSの導入により、BIMツールのデータを活用した数量算出が可能となった。
 
 

BIM以前

 
大成建設では、設計用2次元CAD・積算用(RC)躯体数量算出システムをそれぞれ自社開発し、これらのシステム同士を変換ツールにより連携させることで、躯体数量算出を過去に行っていた。これにより実施設計段階で、躯体の概算数量を短時間のうちに算出し(速算)、構造設計者にフィードバックする仕組みを構築していた。当然ながら、これに必要な情報を加味することにより、精算数量としても利用していた。
 
後にこの仕組みは使用されなくなり、しばらくの間、実施設計時の速算数量は、一貫構造計算ソフトから算出される概算数量に頼ることとなった。
 
 

BIM導入

 
当社では2005年頃より、まずは意匠設計分野でAutodesk社のRevitを導入し、2009年より構造設計分野でもRevitを導入することとなった。当初からBIMに対する期待度は大きく、2005年の耐震偽装後に着目されるようになった図面間の不整合の回避だけでなく、躯体数量算出もすぐに可能になるだろうとの期待感があった。
 
ところが、国内独自の積算基準や、配筋モデルの入力に時間がかかるなど、数量算出のための環境が不足しており、従来通りの手法により、これまで躯体数量算出を行ってきた。
 
 

構造計算とRevit

 
構造設計では、主に一貫構造計算ソフトによりモデル化された主架構の解析を行い、床や小梁、基礎や杭といったものは、それ以外のツールにより安全性を確かめることが多い。
 
2009年当時は、この一貫構造計算ソフトとRevitの連携ができず、Revitにはこれまでの2次元CADと同様に、一から建物モデルを入力する必要があったため、2次元CADよりも多くの入力手間を必要とし、非効率であった。
 
その後Revit2014から(現在の最新版はRevit2019)、当時社内で最も多く使用されていた、ユニオンシステムの一貫構造計算ソフトSS3と、Revitとを連携させるSS3LinkがAutodesk社よりリリースされることにより、一貫構造計算ソフトとRevitとの連携が可能になり、その後も他の一貫構造計算ソフトとの連携が可能になった。これにより、Revitの入力手間は大幅に改善され、今日構造設計分野でRevitが利用されるきっかけとなった。
 
 
 

Revitと数量算出

 
一貫構造計算ソフトとの連携が実現したことにより、計算モデルからRevitでより詳細な建物モデルへの補正や図面化が可能になったことで、精度の高い数量算出への期待が高まった。残念ながら前述のように、Revit単体では数量算出が難しいことから、NCS/HELIOSなどの積算ソフトとの連携に期待を寄せた。当時の積算ソフトは紙図面からの入力を前提としており、Revitに存在する情報を生かせる環境にはなかった。
 
その後NCS/HELIOSは先進的な取り組みにより、当時よりBIMの中間ファイルとして日本で認知されていた、IFC(buildingSMART In ternationalによって策定・現在ではISO化)への対応を行い、2013年にRevitデータをインポートすることが可能になったことで、柱・梁といった建物形状のデータ連携が可能になった(図- 1, 2)。
 
ところが、一貫構造計算ソフトでは配筋情報をオブジェクトではなく本数やピッチなどとして表現していることから、主にオブジェクト情報を定義するIFCでは配筋情報の定義が難しく、配筋情報をインポートすることができなかった。このため、構造設計での速算利用という面では、残念ながら十分な連携効果は得られなかった。つまり、当時の連携機能を用いて速算を行う場合は、NCS/HELIOSにあらためて配筋情報を入力する必要があり、なお課題が残った。
 

図-1 Revit 3Dデータ

図-2 Helios 3Dデータ

 
 

ST-Bridgeと数量算出

 
buildingSMART Japan(bSJ)では、IFCで規定されたフォーマットではどうしても表現が難しい、計算モデルを異なるソフトウェア間で連携可能にするために、ST-Bridgeと呼ばれるフォーマットを策定し、連携環境を構築した(現在の最新版はST-Bridge 2.0として2018年7月よりbSJ会員外にも一般公開)。
 
NCS/HELIOSはIFC連携に続き、先駆的にこれに対応することで、より正確性の高い連携を目指した。当初のSTBridge連携では、IFCによる連携と同様、配筋情報の連携ができなかったが、2018年のリリースよりこれに対応、現在では構造図に表現されるRC躯体に関する型枠・鉄筋・コンクリートの変換が全て可能になったことで、構造設計時の躯体数量算出が可能になった(図-3,4)。
 

図-3 Revitの断面リスト作成機能による断面リスト

 

図-4 HELIOSのリスト表印刷機能

 

図-5 Revit伏図

 
 
 

BIM数量算出

 
ST-Bridgeファイルを変換し、Revitからの躯体情報を基に数量算出が可能になったことにより、NCS/HELIOSから算出される躯体数量を基に、現在では設計者へのフィードバックが行えるようになった。もちろんこの数量は速算数量であることから、現在の利用は構造設計内に留まる。
 
また、構造設計で必要となる情報のみがRevit建物モデルとして表現されていることから、精算数量に必要となる、建物モデルに表現しきれないものはNCS/HELIOSに追加入力しておらず、構造設計者に対する参考数量として利用している。
 
しかしながら、計算モデルに寄りやレベルなどの補正を加えたり、床や壁、小梁などの情報が作り込まれた建物モデルから算出された数量は、これまでの一貫構造計算ソフトから算出された数量に比べはるかに精度が高く、構造設計者がより正確な数量を把握するための材料となることは想像に難しくない。
 
今後は早期に積算へのデータ連携を含め、利用の幅を広げていく必要がある。
 
 

今後への期待

 
RevitからNCS/HELIOSへのデータ変換による数量算出は可能になったが、BIMというデータベースを活用した建設プロセスの効率化という面では、データインポートのみではデータの一元性を担保できないと考える。
 
また、設計者がより効率的に数量把握を行うためには、複数のソフトウェアを使用するのではなく、Revitのアドイン機能として数量算出が行えることが望ましい。
 
さらに、数量算出精度を高めるためには、現在の精算数量算出機能のみならず、概算数量算出機能の開発が望まれる。
 
こうしたことを踏まえ、今後は中間ファイルによる変換を必要とせず、よりインタラクティブに概算数量算出が可能になることを期待したいし、これまでの先駆的な取り組みからも、実現してくれることを願っている。
 
 


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