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2025年7月7日
はじめにSociety5.0の社会へデジタル技術がもたらす社会像として「Society 5.0」が あります。 i-Constructionの推進わが国は、現在、人口減少社会における働き手の減少への対応や潜在的な成長力の向上、産業の担い手の確保・育成などに向けた働き方改革の推進などの観点から、生産性の向上が求められています。 建築BIM推進会議の設置と取り組み状況建築BIM推進会議の設置(令和元年6月)国土交通省では、前述の「成長戦略フォローアップ」に基づき、建築物のライフサイクルにおいて、BIMを通じデジタル情報が一貫して活用される仕組みの構築を図 「建築BIMの将来像と工程表」の策定令和元年6月に第1回推進会議が開催され、同年9月の第3回の推進会議において、「建築BIMの将来像と工程表」が了承されました。
ガイドライン(第1版)の策定(令和2年3月)①の検討を行う「建築BIM環境整備部会」(以下、環境整備部会)は、志手一哉芝浦工業大学建築学部建築学科教授を部会長とし、推進会議と同様に幅広い関係団体などにより構成されています。 モデル事業の実施・ガイドラインの改訂令和2年度から、第1版であるガイドラインの実証などを行うため、ガイドラインに沿って試行的にBIMを導入し、コスト削減・生産性向上などのメリットの定量的把握・検証や、運用上の課題抽出を行う、「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」を実施しました。 将来像と工程表の改定令和4年6月に閣議決定された新しい資本主義実行計画グランドデザイン・フォローアップ(令和4年6月7日閣議決定)において、「ガイドライン(第2版)に基づき官民が発注する建築設計・工事などにBIMを試行的に導入するとともに、建築物のライフサイクルを通じたBIMデータの利用拡大に向けて、2022年度中にロードマップを取りまとめる」とされたことを踏まえ、「建築BIMの将来像と工程表」の改定について、環境整備部会で検討しました。
建築BIM加速化事業の実施「建築分野のBIMの活用・普及状況の実態調査」(令和3年1月国土交通省調べ)によると、1,000人以上の企業におけるBIM導入率は7割以上である一方、10人以下の企業では3割以下となっており、特に中小事業者にとっては、導入・運用に係る初期投資や習熟人材の不足といった課題がBIM導入の障壁として挙げられます。 今後の展開・展望建築BIMの推進においては、官民一体となって個別課題に対する検討などを進めるとともに、共通する課題に横断的に取り組むことが重要となります。 国土交通省 住宅局 建築指導課 係長
平牧 奈穂
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BIM概算ガイドブック建設業界において、BIMを活用した積算は、もはや必須のスキルとなりつつあります。 はじめにデジタル化の波が押し寄せる建設業界において、BIMは、設計・施工だけでなく、コストマネジメントの領域にも変革をもたらしています。
※1 志手一哉(芝浦工業大学教授) ガイドブックの構成BIMは、建築物の多様な属性情報を統合的に管理できる情報モデルであり、建築ライフサイクル全体で活用されるデータ基盤として、建築確認申請の効率化や生産性向上に貢献するツールです。
第1章:分類体系第1章では、建設プロジェクトにおける情報管理の効率化に不可欠な「分類体系」の基礎知識と重要性を解説しています。 第2章:従来の概算手法の振り返り第2章では、従来の概算積算手法を改めて整理し、その基準を示しています。
第3章:BIMを用いた概算手法第3章では、BIMデータの活用が設計プロセス、特にコストマネジメントにもたらす変革と、その具体的な手法を考えます。 第4章:実例(建築-設備)第4章では、具体的な事例を通して、 BIMデータを用いた概算積算の実践方法を解説しています。 本ガイドブックの活用方法この「BIM概算ガイドブックI」は、BIMを活用したコストマネジメントという建設業界の喫緊の課題に取り組むための実践的な指針を示したものです。
公益社団法人日本建築積算協会 副会長
森谷 靖彦
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2025年7月3日
はじめにBIM/CIM原則適用化が令和5年度にスタートして、まもなく2年が経とうとしています。 柔軟なツール選定と運用2000年初頭の手書きからCAD化への変革の時代(2次元図面だけの時代)では、どのソフトを選定すれば自社にとって費用対効果があるかを考えればよく、一つのCADソフトウエアを選定すればよいという時代がありました。 現実的な視点と段階的な導入セミナーなどでBIM/CIMの概要や事例を聞くと、BIM/CIMは3次元モデルを作成することにより今まで見えてこなかったものが見えてきたり、効率化や効果があったりすることが頭の中でイメージはつかめます。 経営層の理解とサポート部署を作って取り組んでいるけど、うまくいかない会社の例として、「上司が指示できないにもかかわらず、3次元CADのオペレーションを誰かに押し付けようとしたり、派遣会社に3次元ができるオペレーターを紹介してもらい、オペレーターさえいればできると思ったりしている」ということが挙げられます。 ソフトウエア利用の勘違い上記のメリットを実現する際に勘違いしてはいけないのは、ソフトウエアさえ導入すればよいという感覚です。 3次元は目的で使い分けるBIM/CIMがうまくいっていそうでも、実際はそうでない事例もあります。 積算と2次元図面抽出問題もう一つの事例としては、3次元モデルに属性を入れれば今までと同様の積算ができ、2次元図面も切り出せるという理屈を前面にしてBIM/CIMを推進しようとしている場合です。 まとめ以上の通り、BIM/CIMにおける3次元モデルに関しては、さまざまな課題が多く残っています。 株式会社デバイスワークス 代表取締役
加賀屋 太郎
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2025年6月30日
はじめに四国地方整備局ではデータとデジタル技術を活用し、社会資本整備や公共サービスの改革を推進するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、働き方を改革し、建設業の生産性の向上を図りつつ、インフラへの住民理解を促進し安全・安心で豊かな生活を実現するため、「四国地方整備局インフラDX推進本部会議」を設置し(図-1)、「四国地方整備局インフラDX推進ロードマップ」に基づき(図-2)、各部局が横断的に連携してインフラ分野のDX推進に取り組んでいる。 BIM/CIM取り組み状況2023年度からのBIM/CIM原則適用により、四国地方整備局直轄事業における同年度のBIM/CIM活用件数は業務89件、工事110件と、前年度実績の約3倍へと急増している(図-3)。 BIM/CIM活用事例四国地方整備局の直轄工事におけるBIM/CIM活用事例を紹介する。 人材育成BIM/CIM原則適用を効果的に進めるためには、それぞれの役割を担っている発注者、コンサルタント、建設会社が一体となって取り組む必要がある。 i-Constructionモデル事務所の取り組み四国地方整備局のi-Constructionモデル事務所である松山河川国道事務所においては事業情報プラットフォームを活用し事業監理の効率化を図っている(図-4)。 おわりにBIM/CIMの活用を加速させるには、受発注者共にその有用性を理解し、活用していくことが重要である。 四国地方整備局 企画部 技術管理課 技術検査官
木村 崇
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はじめに東北地方は少子高齢化が進む中、近年各地で甚大な自然災害が相次ぎ、災害時の迅速な対応や国土強靱化対策の加速が急務となっています。 DX推進の取り組み(1) インフラDXの推進体制2021年度に、整備局全体が一体となって取り組む「東北地方整備局インフラDX推進本部」を設置しました。 (2) BIM/CIM原則適用BIM/CIMの取り組みは2012年度からスタートし、橋梁や水門、トンネルなどを中心に積極的に進め、2023年度から原則適用となり、整備局独自の取り組みとして、詳細設計や工事に加えて、大規模構造物の予備設計も対象としています。 (3) 3次元情報活用モデル事業i-Constructionモデル事務所である鳴瀬川総合開発工事事務所では、3次元情報活用モデル事業「鳴瀬川総合開発事業(宮城県加美郡加美町)」において、大規模かつ長期にわたるダム事業の特性を踏まえ、調査・設計段階からBIM/CIMモデルを活用した事業監理に取り組んでいます。
(4) 東北インフラDX人材育成センター発注者(自治体含む)および受注者に対する3次元データ・デジタル技術の知識習得(研修・実習など)を目的に2022年度末に「東北インフラDX人材育成センター」を開所しました。
(5) 官民連携した取り組み整備局や東北6県、仙台市、建設業者団体、学識者で構成する「東北みらいDX・ i-Construction連絡調整会議」を2016年度から開催しています。 おわりにインフラ分野のDXを推進し、受発注者双方の働き方を変革してデジタル技術を普段使いし、インフラまわりをスマートにしていくことで、いかなるときも地域住民の生活、社会活動、経済活動を支えるための環境を、インフラを通じて継続的に社会へ提供していくことが重要だと考えています。 国土交通省 東北地方整備局 企画部
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