建設ITガイド

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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

設計BIMの今 −BIM活用で受注拡大

2020年5月25日

 

IT製造ベンチャー企業在職中に3DCADを使用したデザインに興味を持ち多数のモデリングソフトのスキルを身につける。その後、父親の経営する株式会社横松建築設計事務所に入社。従来の2D設計に3Dでの設計(BIM)を黎明期(2008年)より取り入れ、新しい設計スタイルを確立する。
現在は東京、栃木を拠点とし国内外で設計活動を行う。本業以外では日経アーキテクチャ、建設ITガイドその他の雑誌での執筆や各地での講演活動や教育活動を展開している。
 



 

分かりやすいこと

僕は最初は他業種の人間だったので、図面を描いたり、読み解くことが得意ではありませんでした。他業種出身の人間だからこそ分かる2Dの図面に対する理解の難しさ、煩雑な調整作業をシンプルにしたい、さまざまな不透明さをを解決するためにBIMを取り入れました。
 
今でこそ、BIMをクライアントの支払う対価を理想通りの建築に変換するためのツールと言っていますが、自分が分かりやすく建築をデザインしたい、これが一番の理由だったのかもしれません。
 
2Dの設計もままならない状態で、四苦八苦しながら建築の仕事を覚え、BIMのワークフローを構築しました。今は実績やスタッフが増え、仕事のエリアも広がりましたが、最初は父親と2人でMacBookにBIMモデルを入れてクライアントを増やすために営業回りをしていました。
 
BIMによる分かりやすさはクライアントの満足度を高め、その結果は僕たちは多くの仕事を獲得することができました。テクノロジーはどんどん進化してできることもどんどん増えています。かつて不得意であったものも得意になり、僕たちを取り巻く環境も変わり続けています。約12年手探りしながら走ってきたことを少し振り返ってみようと思います。
 
 

BIM導入

建築設計の仕事に就いたばかりの2004年頃に思っていたこと。
 
食べ物は試食、服は試着、クルマは試乗とそれぞれ試すことができる。建築は上記の3つと比べて一番高価であるが、試しに作って住んでみることなどできないので一発勝負となる。
 
2Dの図面を見て理解しどのような建物ができるか想像することは非常に難しく、クライアントは完成する建物のイメージがあやふやなまま大量の資金を投じることになる。これはクライアントだけでなく、設計事務所、施工会社、誰にとってもリスキーなことだと思っていました。
 
IT製造ベンチャー企業で経験した、見て分かりやすい3DCADのフローを建築に落とし込み100%は無理だとしてもイメージ共有を10%から70〜80%まで向上させることができれば顧客満足度、変更によるコストの削減、トラブル回避等さまざまな懸念事項が劇的に変わると思い、当時はBIMという名称すらなかった中、ARCHICADを導入、手探りでBIMによる設計手法を模索しました。
 

平面、立面、断面、3Dのどこからでも
編集が可能




ARCHICADでは、全ての図面が正確に整合性を持った設計図書としてシームレスに連動します。図面の変更がリアルタイムで全図面、一覧表に反映され、設計スピード、効率性、正確性を飛躍的に高めます。設計図書の正確性、効率性を維持し、3Dモデルデータから構造図、断面図、立面図、詳細図、建具表、各種リスト、レンダリング、アニメーション、バーチャルリアリティーシーンなど、あらゆる情報を抽出することができます。
 

ARCHICADは、30年以上の間、BIMとして
の機能性、使いやすさ、導入のしやすさを考
えて開発されているソフトウェア




 
2Dと3Dを行き来しながらスピーディにデザインの検討を行う

 
 

設計の初期段階から分かりやすいイメージを
用い積極的にクライアントとのイメージを共有する


 

BIM導入初期の苦闘

導入した2008年当時は市販のマニュアルもなくARCHICADを使用している会社もあまりなかったため、全て手探りの状態でした。当時は今ほど仕事が多くなかったこともあり、ほとんどの時間をARCHICADに費やし、一つ一つコマンドを試しながら3Dモデルから設計図書を切り出す方法やパースの出力、各種解析などを従来の設計フローに落とし込む作業に没頭して、自分なりのBIMの設計手法を確立しました。
 
 

BIM導入による効果

一枚一枚図面やパースを描く従来の2Dワークフローと違い、最初にモデリングをするというワークフローは製造ベンチャー時代の作業に近く、自分の脳内にある建物を具現化して確認できるので猛スピードでデザイン検討を進めていくことが可能になりました。作成したモデルから2Dの図書を切り出していくのでプレゼンの準備も素早くできます、モデルデータからプレゼン用ムービーの作成も容易にできます。
 
その結果、建築のプロでないクライアントに視覚的に3Dモデルを見てもらうことで、2D図面だけでは得られないイメージの共有が可能となりました。
 
また、BIMxを活用することによってiphoneやipadなどの端末で3Dモデルを見ることが可能になり空間データのやりとりが容易にできるようになりました。
 
クライアントは僕たちが提案した3Dモデルの内部をくまなく歩き回りコメントをすることができます。僕たちはいただいたコメントを3Dモデルにフィードバックします。これを繰り返すことにより設計をクライアントの理想に近付けることができます。
 
3Dを活用し設計の段階で検討事項を共有し、BIMモデルに忠実にクライアントの要望を再現することで高い顧客満足度を実現させ、競合他社との差別化をし受注を増やすことに成功しました。現状での受注は、リピーターとWEBからの問い合わせが8割を超えています。
 

 

BIMxによる空間データを携帯端末
で共有し設計内容を共有する。操作
は簡単で誰でも設計内容に入り込む
ことができる




 

採用、教育

WEB上や講演会等でBIMの活用を発信していると、学生や若い転職希望者がBIMで設計をすることに非常に興味を持っていると感じます。
 
明確に『BIMをやりたい』という気持ちを持って入社してくるスタッフも増えています。従来のワークフローに比べてBIMのワークフローはクリエイティブで楽しそうに思えるからだと思います。また、BIMを導入したことにより社内での教育や仕事の割り振りについても影響が出ました。
 
新人スタッフには、図面が現実にどのようなものになるか理解することは難しいのですが、BIMで設計することによって『目的が可視化』され、社内の設計の流れに乗りやすくなり、従来の2Dベースの作業スタイルより成長のスピードが速くなっていると感じます。ソフトの習得についても、社内の8 割がARCHICADユーザーなので、分からないことも各自教え合ってスキルアップしています。モデリングだけであれば3カ月もすれば立派な戦力になります。
 
BIMの操作が得意でないベテランのスタッフには指示、チェック側に回ってもらい、モデリングの得意な若手スタッフとコンビを組んで設計を進めていきます。ARCHICADによって2Dが3Dに置き換わるだけでなく、新人、ベテランによるチームワークが活性化されました。
 



 

社内チームワーク

(2拠点によるチームワーク)
スタッフは現在14人で東京、栃木の2拠点で設計活動を行っています。2拠点間は常時テレビ電話でつないでいてお互いの顔が見え、声が聞こえる状態です。
 
業務範囲も事務所のある関東以外にも中京、東北と拡大していて、去年から海外案件も手がけています。移動が多くなる中でもスタッフと綿密なコミュニケーションをとる必要がありますがここでもBIMが大活躍します。
 
チャットワークやBIM cloudを用いモデルやパースのやりとりをします。形状ベースで会話ができるので離れていてもスタッフとイメージを共有した上で、細かい指示を出すことが可能になります。
 
移動先でもスタッフがモデリングしたデータを使用してクライアントとの打ち合わせをしています。BIMとクラウドはすこぶる相性が良くて、僕が打ち合わせ中に編集したモデルをスタッフに送って調整してもらうこともよくあります。
 

iPad上でBIMxモデルにアクセスし打
ち合わせやチェックを行い、キャプ
チャ画像に書き込み即座に共有が可能




また、新人のスタッフもARCHICADのチームワーク機能で先輩スタッフのモデリングに参加させることによって初期から設計のメインストリームに触れて理解を深めていけるような環境を作っています。
 


サーバー上のモデルを複数の人数で
編集することが可能なので遠隔地の
人間同士でも同時に作業することが
可能


 
 

 


 

社外チームワークからさらなる広がりについて

(他エリアの会社とのコラボレーションネットワーク)
業務量やエリアにさらなる広がりを得るためにBIMのスペシャリストによるユニット『syncs』を結成しました。メンバーは東京、栃木、大阪、広島、福岡、熊本、鹿児島と離れたエリアの設計事務所ですが、BIM cloudを活用し協業、それぞれの近隣エリアで監理をするというスタイルです。これによってメンバーが自社スタッフの人数やエリアによって縛られることなく仕事を受注していける仕組みづくりをしています。協業するための技術の共有やテンプレート作成などを進めています。
 
また、それ以外にもARCHICADの操作ができるリモートワーカーに業務をアウトソーシングしています、育児その他の理由で会社に通えない方や副業の方と協業するにもBIM cloudはとても相性が良く、スタートアップのための教育も検討しています。
 
BIMはクライアントへのサービスや、自分たちの働き方だけでなく、リモートワークやユニットなど新しいスタイルの雇用や協業の形等、さまざまな変化を僕たちに与えてくれます。
 
これからもBIMの進化とともにデザインを楽しんでいきたいと思っています。
 

BIM cloudを活用した建築家集団『syncs』BIMのネットワークにより
エリアを問わず活動している




 

そして今後の展開

約12年間BIMを使ってきて、活用法にはある程度の自信はありましたが、世の中に広がっていくBIMをより効率的に活用していくために、GRAPHISOFT社のBIMマネージャー用のトレーニング「BIMCLASSES」を受講し英国での先進的なBIMを用いたEIR(発注者情報用件)やBEP(BIM実行計画書)その他、属性や分類を利用したさまざまな効率的な方法を学びました。
 
これまでの自分たち独自のやり方でガラパゴス化していくよりは海外などでの仕事の広がりを見据え、現在はその内容を自社に落とし込む作業を進めています。
 



また、建築士会連合会BIMタスクフォースを通じて国土交通省『BIM環境整備部会』等の活動に参加したり、BIMをまだ始めていない方向けの動画「ARCHICAD on Air」への出演など、本業である建築設計以外にもさまざまな活動をしています。
 

 




 
 

株式会社 横松建築設計事務所 専務取締役 横松 邦明

 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集2「建築BIMの”今”と”将来像”」



 
 
 



i-Constructionによる建設現場の生産性革命

2020年5月22日

 

はじめに

わが国は、現在、人口減少社会を迎えていますが、潜在的な成長力を高めるとともに、新たな需要を掘り起こしていくため、働き手の減少を上回る生産性の向上等が求められています。また、産業の中長期的な担い手の確保・育成等に向けて、働き方改革を進めることも重要であり、この点からも生産性の向上が求められています。
 
こうした観点から、国土交通省では、2016年より、建設現場においてICTの活用や施工時期の平準化等を進める「i-Construction」を推進しております(図-1)。
 
さらに本年度通常国会において、新・担い手三法が改正され、生産性向上への取り組みや働き方改革の推進が位置付けられました(図-2)。i-Constructionの取り組みの一層の加速が求められています。
 
本稿では、これまでの取組状況と課題を整理するとともに、今後の推進方策について紹介させていただきます。
 


  • 図-1 i-Construction 〜建設現場の生産性向上〜


  • 図-2 品確法と建設業法・入契法(新担い手3法)



 
 

これまでの取り組みと今後の方向性について

これまで国土交通省が取り組んできたi-Constructionの取り組みについて、「ICTの全面的な活用」、「全体最適の導入」、「施工時期の平準化」、「3次元データの利活用」の 項目に分類してこれまでの成果ならびに今後の方向性について紹介します。また、推進体制である「i-Construction推進コンソーシアム」について紹介します。
 
 
(1) ICTの全面的な活用
調査・測量、設計、施工、検査等のあらゆる建設生産プロセスにおいてICTを全面的に活用する取り組みであり、必要な積算や技術基準等の整備を進めてきました。本年も、ICT活用工種を、地盤改良工、法面工、付帯構造物設置工へ拡大するため新たな基準類を策定するとともに、小規模土工(掘削)において、現行の施工土量50,000㎥、10,000㎥ による区分に加え、新たに5,000㎥ 未満の積算区分を設定しました。
 
 
ICT施工を行った結果、起工測量から電子納品までの延べ作業時間について、土工では約3割の縮減効果が出ております。
 
これまでの取り組みの結果、平成30年度は、直轄工事におけるICT活用工事の公告件数1,948件のうち57%に当たる1,105件で実施しております。一方、都道府県・政令市における平成30年度のICT土工は公告件数2,428件のうち523件と、22%にとどまっております。
 
一方、工事単位に着目すると、直轄土木工事区分の約7割で生産性向上の取り組みに着手しておりますが、維持修繕分野については点検業務へのドローン等の活用は進んでいる一方、工事におけるICT活用は進んでいません。
 
 
こうした結果を踏まえ、今後は地方公共団体の取組拡大を図るとともに、小規模な工事の多い維持修繕系工事への適用拡大を図っていきます。
 
 

(2)全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)
設計、発注、調達、加工、組立等の一連の生産工程や、維持管理を含めたプロセス全体の最適化が図られるよう、流動性を高めたコンクリートやプレキャスト製品の活用、プレハブ鉄筋などの工場製作化を進めるため、必要なガイドライン等の策定に取り組んできました。
 
これまでの取り組みの結果、プレキャスト製品は、現場打ちに比べ2〜5倍の効率性があることが判明しております。しかしながら、セメント量のうちプレキャストに使われたセメント量は平成30年度で全販売量の約14%にとどまり、これまでのほぼ横ばいの傾向となっています。
 
生産性向上につなげるため、今後はプレキャスト(ハーフ・サイト・大型化)の進化を目指していきます。
 
 
(3)施工時期の平準化
公共工事においては第1四半期(4〜6月)に工事量が少なく、工事稼働時期の偏りが激しかったため、人材・資機材の効率的な配置や、休暇の確保、収入の安定などが図られてきませんでした。この点を踏まえ、国庫債務負担行為の積極的な活用や地域単位での発注見通しの統合・公表の拡大、地方公共団体への取組要請を行ってきた結果、施工時期の平準化の取り組みは浸透しつつあります。
 
他方、平成30年度の平準化率(年度の平均と4〜6月期の工事の平均の稼働状況の比率)は、国が0.85であることに対し、市町村は0.55にとどまっています。
 
こうした状況を踏まえ、地域発注者協議会を通じて平準化率の目標を設定し地方公共団体に働きかけるなど、地方公共団体の平準化率向上を目指し取り組みを進めることとしています。
 
 

(4)3次元データ等の利活用
3次元設計(BIM/CIM)を導入することで、建設生産・管理システム全体を見通した施工計画、管理などのコンカレントエンジニアリング、フロントローディングの考え方を実施していくことが可能となります。
 
平成24年度から橋梁やダム等を対象に導入し、昨年度からは、原則大規模構造物における詳細設計について、BIM/CIMの活用を導入することとしています。
 
実施件数は着実に伸びており、平成30年度は業務147件、工事65件で適用していますが、今年度は400件への拡大を目指すなど、引き続きBIM/CIM等の活用拡大を図っていきます。
 
 
(5)i-Construction推進に向けた取り組み
i-Constructionの推進に向け、非建設分野の関連企業を含むさまざまな分野の産学官が連携して、IoTやAI等の革新的技術の現場導入や3次元データの活用などを進めるため、「i-Construction推進コンソーシアム」を平成29年1月30日に設置しました。
 
現在は1000者を超える会員が参加していただいており、新技術の開発・導入に向けた現場ニーズと技術シーズのマッチングイベントの実施や、3次元データ利活用に向けた意見交換等を行っております(図-3)。
 

図-3 i-Construction推進コンソーシアム



 

今後の推進に向けて

建設現場の生産性向上に向け、今後は前章(これまでの取り組みと今後の方向性について)で述べたそれぞれの取り組みを引き続き推進していく(図-4)とともに、中小企業や地方公共団体等へのさらなる普及や、BIM/CIM等三次元データや新技術の活用促進、またデータ連携を促進するための基盤整備を進めていく必要があります。
 

図-4 生産性向上に向けた取組の現状と方向性




 

(1)中小企業や地方公共団体への普及展開
i-Constructionのさらなる普及展開に向けては、中小企業等が取り組みやすい環境を整えるとともに、先進事例を横展開し、今後は中小企業や地方公共団体等にその効果を体感してもらうことが重要です。
 
このため、前章で述べた積算基準の見直しとともに、今年度より全国53の河川国道事務所等を「i-Constructionサポート事務所」と設定し、中小企業、地方公共団体等のサポートを実施しております。また、中国地方整備局において、ICT施工の要件を緩和した「中国Light ICT」を試行的に導入する等、ICT施工に取り組みやすい環境整備に努めます。
 
加えて、地域ごとに「トップランナーの取り組みを周知する場」を設置し、ICT活用経験の少ない企業に先進的取組を周知しICT活用のメリットを訴求する取り組みを進めます(図-5)。
 
さらに、今年度のi-Construction大賞においては、先進的な取り組みを行っている地方公共団体自身を表彰できるよう制度を見直しました(図-6)。
 
こうした普及促進の取り組みを通じ、i-Constructionの裾野拡大に取り組んでまいります。
 


  • 図-5 ICT活用のトップランナーの取組に関する情報共有


  • 図-6 令和元年度i-Construction大賞



 

(2)新技術の活用促進
公共工事において、生産性を向上させる新技術の現場実装が促進されるよう、i-Construction推進コンソーシアムを活用し、新技術の発掘や企業間連携を促進するとともに、新技術の導入を促進する発注等に取り組んでおります。
 
さらに、建設現場からデジタルデータをリアルタイムに取得し、これを活用したIoT・AIをはじめとする新技術を試行することで、建設現場の生産性を向上するプロジェクトの公募を平成30年度より行っております。「データを活用して施工の労働生産性の向上を図る技術」と「データを活用して品質管理の高度化等を図る技術」について、本年度は計25件選定しており、例えば、ステレオカメラ撮影画像を活用した配筋測定の開発により現行の手作業による複数人で測定を省力化・省人化するなどの取り組みが行われております(図7〜9)。
 
こうした取り組みを通じて、新技術の現場実装を阻害する規制等が存在する場合は、その見直しも含め新技術の積極活用に取り組んで参ります。
 

図-7 建設現場の生産性を飛躍的に向上するための
   革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(PRISM)


 


  • 図-8 建設現場の生産性を飛躍的に向上するための
      革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト


  • 図-9 ステレオカメラ等の画像を用いた配筋測定技術の例



 

(3)データ連携による生産性の更なる向上
さらに現在、国土交通省において、地盤や構造物等の国土に関するデータに、経済活動や気象等の自然現象に関するデータを連携させた統合的なプラットフォーム(国土交通データプラットフォーム(仮称))構築に取り組んでおります。
 
具体的には、BIM/CIMやICT施工により作成される3次元データをはじめとしたi-Constructionの取り組みにより得られるデータや、地盤情報、民間建築物等の国土に関する情報をサイバー空間上に再現するインフラ・データプラットフォームの構築を進めております。また将来的には、官民が保有する公共交通や物流・商流等の経済活動に関するデータや気象等の自然現象に関するデータを連携させ、国土交通データプラットフォーム(仮称)の構築を目指します(図-10)。
 
これらのデータを用いてサイバー空間上でシミュレーションを実施することで、例えば災害時の避難シミュレーションや、都市における最適なヒートアイランド対策の実現が可能になるなど、さまざまな課題解決に活用することが期待できますが、プラットフォームの利活用を促進し施策の高度化やイノベーションの創出につなげていくためには、構築の段階から産学官の連携が重要です。
 
このため、令和元年10月31日に「国土交通データ協議会」を設置し、プラットフォームの利活用やデータ提供等の活動をしていただける方々の公募を開始しました。加えて、国土交通データプラットフォームのプロトタイプ版を構築し、国土交通データ協議会の会員の方々に公開することで、プラットフォームの改善提案についても意見を求めているところです(図-11、12)。さらに、データ連携に関する課題解決に資する研究成果を実装するため、研究機関とも連携を図ります(図-13)。
 
今後も、国土交通データ協議会会員との意見交換や、研究機関等との連携を図ることで、課題の解決を図り、国土交通データプラットフォームの構築に取り組みます。
 


  • 図-10 i-Constructionの推進と
        国土交通データプラットフォームの構築


  • 図-11 産学官の連携強化に向けた協議会の設置


  • 図-12 国土交通データプラットフォーム・プロトタイプ版の公開


  • 図-13 研究機関等との連携を加速



 

おわりに

近年、全国各地で災害が発生しています。i-Constructionは、建設現場の生産性向上を目指して取り組みを進めてきましたが、今年の台風災害でも、ドローンを活用して被災状況を効率的に把握する取り組みや、急傾斜地での無人化施工を行い作業員の安全確保に寄与する等、i-Constructionは防災・減災面でも効果があることが確認されています。安全・安心という観点からも、i-Constructionを推進していく必要があります。
 
また、i-Constructionの活用により、建設現場に必要な技術の習得に要する時間の短縮が期待されています。そして、生産性向上により安定した休暇の取得が可能になることで、建設現場において若者や女性などの多様な方々の活躍が期待されています。
 
こうした取り組みにより魅力ある建設現場を作り出すことで、「きつい、危険、給料が安い、休暇が取れない」と表現されることもある現状を改善し、新たな「給与が良い、休暇がとれる、希望がもてる」建設現場の実現を目指していきます。

 
 
 

国土交通省 大臣官房 技術調査課 課長補佐 中西 健一郎

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集1「i-Construction×BIM/CIM」



 



 

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