2016年9月17日
株式会社 大林組 土木本部本部長室情報企画課
課長 杉浦 伸哉
はじめに 施工CIM取り組みの効果は初期段階にあり本来設計段階で、多くの検討がなされた3次元モデルが施工で利用することができるようになれば、 図-1のように複雑な躯体レベルであっても、 3次元モデルが初期の段階からあれば、図面との不整合や施工検討の深度をさらに深めることが可能である。 その意味で当社では、できるだけ初期の段階で3次元モデルを構築し、それを活用することで、関係者全員の意識統一を図ったり、 施工検討時間を短縮し、協力会社との間で徹底的に利用することで、手戻りなどの時間を削減している。 結局、施工段階で便利なものは設計段階でも便利であり、 3次元モデルをまず、設計から受け取ることが施工を効率的、効果的に進めるためには非常に重要であることが分かっている。 土工事への見える化土という不定形な形状の表現の難しさなどから、構造物の3次元対応とは違い、土工の出来形管理への取り組みには高いハードルがある。 さて、この固定翼と回転翼では、その特性から、撮影できるエリアの大きさが違ってくる(図-3)。 ※上記の精度は土工を扱う場合を想定したものであり、写真計測で取得される精度は「UAVの高度ターゲットの設置方法、写真の解像度」によりmmまで高めることは可能である。 これらの特性を生かし、あるいはこれらの特性を混ぜ合わせながら土工計測を実施し、全体を写真撮影し、 その画像から3次元点群を構築している。 UAVで撮影した情報が点群として画像解析され、その後点群としてモデルが生成される。 点群として生成されたあとは、時間軸でその点群データを比較することにより、土量変化を確認することが可能である。 3次元CADにさえなってしまえば、土量差分を出すことも容易にできそうに思われるが、 実はかなり高度な3次元CADを使った操作を行わなければならない。 そのために3次元CAD利用に精通しなければならないが、施工会社の職員が全員、3次元CADの利用に精通しているわけではない。 そこで「誰でも」「迅速に」「簡単に」実施することができるか否かという点で、 市販されているソフトウェアを組み合わせて利用する方法で、着実に差分を出す方法を実施している(図-4)。 非常に効果のある方法で、3次元CADの利用に長けた一部の職員だけが利用するのではなく、 全ての職員が対応できる仕組みを構築することこそ、施工での利用が進むポイントである。 1.計測管理データの見える化ここでは、施工管理として重要な計測管理データの見える化事例を紹介する。 ●調査解析ツールの見える化を活用 トンネルで当社が開発したトンネルナビというツールと当初設計で作成したトンネルモデルの支保パターンを重ねることで、 このような分析も可能である(図-6)。 切羽写真などの情報と合わせて、切羽判定会議の資料として利用することで、 会議実施時間が3分の2まで短縮できたことは非常に効果のある内容であった。 2.施工管理ツールとしての活用PC上部工工事への適用で、仮設足場計画検討、過密配筋の施工順序検討、品質続映の設定、たわみなど デジタルモックアップとしての活用では、 発注者~技術者~技能者間の良好なコミュニケーションで問題点・注意箇所の早期認識・特定や 計測結果のモデル取り込みで品質確保・工程厳守が達成された。 竣工後の不具合の原因特定手段としても利用される予定である。 3.合意形成ツールとしての利用着工前の現地空間データに設計モデルを組み入れることで将来計画全体像を技術者・技能者だけでなく、 図-8は街づくりへの適用例で、 6Dモデルで街造り計画・ステークホルダー間の合意形成・土工計画・維持管理計画などの取り組みを実施している。 街全体のイメージ共有化は、図-8に示す地元説明会では質問に対して3Dモデルでは説明しにくい経時的な質問に迅速に対応でき、 また、関係機関との協議でも合意形成を早めるという効果があった。 4.最新テクノロジーを活用したイメージの共有ツール当社では、これら3次元データを活用した見える化ツールや施工管理ツールとしての取り組みを当社職員だけではなく、 3Dプリンターの進化も見逃せない建築ではとかく華やかな3Dプリンターであるが、土木分野での進化はどうか。 とりあえずトンネルではこんな感じというものしかできずに、感想としては、「まぁ」この程度かという感想が多かった。 図-11も石膏モデルのため、ロックボルトは忠実に再現できず、デフォルメされた形状しか表現できなかった。 土木では3Dプリンターの利用は躯体構造物といった建築的要素が多いものしか効果がないのではないかとも思われていたが、 図-12のように最新3Dプリンターを使うと、透明樹脂の材料が利用できるようになり、ロックボルトは忠実に再現され、 構造物系でなくても、地盤が透明にできるというアイデアを利用することで、さまざまな利用範囲が広がってきた。 図-13のように地山に透明樹脂を利用することにより、 トンネルの様子が透けて見えるモデルも作成することができるようになったことから、土木分野でも多くの活用が見込まれる。 ●MMSの活用事例 点群を効率的に活用した事例を紹介したい。 現状構造物の図面がない場合の手段として、点群を取得することの意義は大きい。 点群が今の状況を忠実に表現し、スケールも合わせて3次元上で仮想的な空間を構築することが、 まさに施工検討を行う場合に非常に有益な手段となっている。 図-14を見ていただきたい。 2kmにわたり現状を取得した点群である。 点群を取得する際には、点群を利用する目的を明確にし、どこの範囲をどこまで取得し、 何を入れて何を入れなくてもよいかという事前の確認が重要である。 今回の例では、現状構造物の図面がなく、図面を再構築するために測量を実施しているところであるが、 それと合わせて短時間で取得することができる点群を活用することで、施工検討を平行して進めることが可能となった。 従来であれば、各自のイメージと平面を駆使した打合せを行っているところであるが、この点群を利用することにより、 形状確認や離隔の確認、最終構造物を重ねることで、施工手順を忠実に検討することが可能となっている。 このような使い方は施工ならではの使い方といえるのではないだろうか。 ●ROIによる評価 当社では3年にわたり、3次元モデルの活用を施工で利用してきたが、同時に費用対効果もずっと継続して検討してきた。 例えば、UAVを使った場合の費用対効果を図-15にまとめてみた。 実際の測量を行った場合の出来形確認にかかる労務人工とUAV等のツールを使った場合の労務人工を比べた例である。 UAV等のツールを使った方が労務人工は必ず少なくなることは分かっているが、 定量的な数値として検討したところ、約74%も省力化されていることが分かる。 もちろん前提条件などの諸条件があるため、この74%という数値が全ての案件で適用できるということはあり得ないが、 他案件の状況を見ても、効果があることは明らかである。 このような数値をバックデータとして確認しながら、施工CIMを進めていくことは、 全員がその効果を感じながら進められるために重要である。 おわりに2014年に土木学会の米国CIM視察調査団として参加した際、イリノイ大学のNora博士が 【出典】 建設ITガイド 2016 特集1「本格化するCIM」 |
2016年9月11日
エーアンドエー株式会社
2D図形から部屋を作成2D CADの機能を使ってエスキスを行うことができる。四角形や多角形などで間取りを検討したら、そこからBIMの部屋オブジェクト(スペース)に変換することが可能。使い慣れた環境からBIMへの移行をサポートする。 部屋図形から壁を作成部屋を作成したら外壁・間仕切り部分に一気に壁を作成。壁ツールで一つ一つ作成することも可能だが、部屋図形を活用することで手間を省き、モデル作成を簡略化することができる。 ダブルラインの壁を置き換える設計初期の段階では壁の仕様が決まっておらず、ダブルラインの壁で作成することが多い。仕様が決まった段階で、ダブルラインの壁から各材料の厚みが設定されたもの(壁スタイル)に置き換えることができる。 フロアの高さと仕上げレベルフロアの設定(ストーリ)をGLからの高さで明示的に指定できる。これはどのBIMツールでも当たり前にできることだが、Vectorworksはフロア内部にあるさまざまな仕上げ高さも設定することができる。 壁の材料の高さ設定壁の設定(壁スタイル)では、各種材料の厚みや順序を指定することができるが、実際の建物では、材料ごとに高さが異なってくる。石膏ボードは床仕上げから天井仕上げ、躯体コンクリートはスラブ仕上げから上階のスラブ仕上げなど、材料ごとに変えられるため、設計に応じて柔軟にモデリングができる。 壁とスラブ、屋根との取り合い材料の構成が設定されるのは壁だけではない。スラブや屋根にも材料の厚みを設定することができる。 2D図形から建築部材への変換2D図形から変換できるのはスペースだけではない。手摺やスラブ、道路などに変換することができる。 地形モデルの作成と編集BIMツールとして建物のモデリングは当たり前だが、Vectorworksでは地形モデルも作成することができる。しかも等高線や測量データをもとに作成するため、再現性が非常に高い。 部材へのカスタム情報追加建築部材は多くの情報を標準で持っている。しかし、さらに情報を追加したいケースも出てくる。Vectorworksでは、レコードと呼ばれる任意情報を作成し、部材に割り当てることができる。 IFC 取り込みのフィルタリングOpenBIMではIFCデータの授受が重要となる。VectorworksではIFCデータの取り出し、取り込みに対応しているが、設備や構造のデータはファイルサイズが大きい場合が多い。そのような時は、取り込み時にフロアや部材の種類などでフィルタリングして取り込むことができる。 建設ITガイド 2016 特集2「海外のBIM動向&BIM実践」 |
2016年9月10日
株式会社 シェルパ 平川 史明、藤井 健男、丸山 順一
特定天井を検討する特定天井は、建築の天井補強材が密集して設備部材との干渉が多数発生する。この事例は、モデルのやり取りだけで建築部材と設備部材との干渉確認を行った、というものである。 材料倉庫、スタートモデルシェルパでは、モデリング効率化のために「材料倉庫」と社内で呼ばれているテンプレートを用意している。 モルフツールでモデリング掘削法面のモデルを作成する場合、1カ所程度であれば、メッシュにポイントを作成し、ポイントのレベルを1 カ所ずつ変えていく作業をするであろう。しかし、ある程度の規模の建物になるとこの方法では気が遠くなるほど手間がかかる。 条件セットの活用No.2 で紹介した「材料倉庫」や「スタートモデル」のテンプレートファイルに、「検索と条件」で条件セットを作成しておくとモデルチェックが楽にできる。 天井インサート割付図を書くこの事例は、ARCHICADから2D施工図の切り出しを行った事例である。ポイントは2D施工図を切出していることもさることながら、作図された図面を用いて設備配管等との調整を行ったのではなく、調整された建築と設備の統合モデルから、成果物として図面を切出しているところである。 リンクオブジェクト(情報オブジェクト)シェルパでは、GDL オブジェクトで、ファイルやフォルダ、URL へリンクする部品(変更BOX)を作成した。いわゆる、ハイパーリンク機能である。他のソフトではこの機能が付いたものもあるが、ARCHICADでもGDL オブジェクトでこの機能をツールとすることが出来る。作成手順は以下の通りである。 建設ITガイド 2016 特集2「海外のBIM動向&BIM実践」 |
2016年9月2日
一般社団法人 IAI日本 IFC検定委員会委員長
足達 嘉信
はじめに2015年10月中旬、シンガポールにおいてbuildingSMARTサミットが開催された。 buildingSMART International(旧表記はIAI, International Alliance for Interoperability)は、 建設業界におけるデータの共有化および相互運用(Interoperability)を目的として、 BIMの要となる3次元建物情報モデルIFC(Industry FoundationClasses)、 BIMデータ連携仕様を記述するためのIDM(Information Delivery Manual)、 MVD(Model View Definition)、分類コード体系を情報化するためのIFD(International Framework for Dictionaries)を標準化し、 その普及を目指している国際的な団体である。 buildingSMARTでは毎年春と秋の2回、BIMの国際的な普及展開に関わる技術的、実務的な課題の解決を進めるため、 サミットと呼ばれる国際会議を開催している。 今回のシンガポールサミットは、同じ会場で開催されたISO TC59会議、 およびシンガポールExpo会議場で開催されたGovernment BIM Symposiumとの合同開催となっていた。 2013年にBIMの3次元建物情報モデルIFCの国際標準化(ISO 16739:2013)が完了してから、 buildingSMARTの活動は、BIMデータ連携シナリオや、IFCに基づいたBIMデータ連携仕様、エンドユーザー向けBIMガイドラインなど、 BIMが活用されるために必要な国際的な仕組みの標準を策定する作業へ移行してきている。 また、道路、橋梁、トンネル、鉄道などのインフラストラクチャー分野へのIFC拡張も活発な作業となってきている。 これらの標準化作業は、下記の5つのRoomと呼ばれる委員会で行われている。 ●Building Room:BIMガイドライン、BIM教育、IDM、MVDなど建築分野のBIM活用に必要な標準、ドキュメント、 技術仕様などの作成を行う ●Infrastructure Room:道路、橋梁、トンネル、鉄道分野へのIFC拡張を行う ●Product Room:IFD、分類体系コードなどの標準をBIMライブラリへ活用する手法の開発 ●Regulatory Room:建築申請分野へのBIM活用ガイドライン策定や、自動チェックシステムの研究など ●Technical Room:IFC拡張、メンテナンスおよびセマンティックWebへのIFC活用手法の研究など 本稿では、buildingSMARTシンガポールサミットの各委員会(Room)において共有されたBIMガイドライン、BIM教育プログラム、 BIMライブラリ、インフラ分野へのBIM活用などの各国のBIM関連の動向について以下に紹介する。 BIMガイドラインBIMガイドラインデータベース Building Roomに設置されたBIMガイドラインプロジェクトは、 世界各国で発行されたさまざまなBIMガイドラインを収集し、データベースとして整理をした。 現在、BIMガイドラインデータベースには、77のBIMガイドラインについて、 名称、作成者、ガイドラインの種別、概要、目次などの情報がデータ化されている。 図-2に示しているのは、BIMガイドラインデータベースから、作成場所が世界地図として表示している様子である。 シンガポールのBIMガイドラインアジア地域でもBIMの普及が急速に進展しているが、 シンガポールではこのBIM e-SubmissionによりBIM活用度を高めることを目指しており、 必要なBIMガイドラインの策定、教育プログラムやBIMを採用したプロジェクトへの助成金など、 BIMを根付かせるためのさまざまな仕組み作りに取り組んできている。 シンガポールでは、BIM e-Submission向けのBIMガイドラインの他に、BIM基本ガイドライン(BIM Essential Guide)と呼ばれる、 下記のような各職能向けのドキュメントが公開されている。 ●BIM Essential Guide For Architectural Consultants:意匠設計編 ●BIM Essential Guide For BIM Adoption in an Organization:BIM採用組織編 ●BIM Essential Guide For BIM Execution Plan:BIM実行計画編 ●BIM Essential Guide For Civil&Structure Consultants:土木・構造編 ●BIM Essential Guide For Contractors:施工者編 ●BIM Essential Guide For MEP Consultants:設備設計編 フィンランドのBIMガイドライン2007年、フィンランドにおいて公共建築の発注・維持管理を行っているSenate Properties社が 原文はフィンランド語であるが、英文のドキュメントも公開されている。 2014 年には建築確認分野の14編目のフィンランド語のドキュメントが公開された。 ●Series 1:General part:概要編 ●Series 2:Modeling of the starting situation:モデル初期設定編 ●Series 3:Architectural design:意匠設計編 ●Series 4:MEP design:設備設計編 ●Series 5:Structural design:構造設計性 ●Series 6:Quality assurance:品質保証(モデルチェック)編 ●Series 7:Quantity take-off:数量積算編 ●Series 8:Use of models for visualization:ビジュアライゼーション編 ●Series 9:Use of models in MEP analyses:設備分析編 ●Series 10:Energy analysis:エネルギー分析編 ●Series 11:Management of a BIM project:BIMプロジェクトマネージメント編 ●Series 12:Use of models in facility management:FM編 ●Series 13:Use of models in construction:施工編 今回のサミットでは、building-SMARTスペイン支部から、 このフィンランドCOBIMガイドラインのスペイン語版の翻訳が完成したとの報告があった(図-5参照)。 フィンランドのCOBIMは、エストニア、ポーランドにおいても翻訳がされているとのことである。 また、IAI日本支部BIMガイドライン分科会においても、2012年から2013年にかけてCOBIMの内容に関する分析を行っているが、 COBIMは各国のBIMガイドライン策定にさまざまな形で貢献し、影響を与えているといえる。 フィンランドのインフラ分野のBIMガイドラインフィンランドではインフラ分野へのBIM活用を進めるためInfraBIMプロジェクトを推進している。 ガイドラインは12章から構成されており、原文はフィンランド語である。 現時点で12章の内4章が英文に翻訳されている。 BIM教育プログラムBIMが要求されるプロジェクトが増加するにつれ、 ノルウェーのBIM教育ノルウェーでは、BIM人材の教育カリキュラムを、 シンガポールのBIM教育シンガポールにおけるBIM教育は、建築建設局BCAの教育機関であるBCA Academyが中心なって進められている。 ●BIMモデリング認証コース(意匠) ●BIMモデリング認証コース(設備) ●BIMモデリング認証コース(意匠) ●BIMマネジメント認証コース 例えば、BIMモデリング認証コースでは、 BIMの基本、BIMツールユーザインターフェース、モデリング演習(マスモデル、敷地モデル、ビジュアライゼーションなど)、 電子申請(e-Submission)演習、BIMライブラリ作成などがコースの概要である。 受講料は1600シンガポールドル(約15万円弱)であるが、助成金を適用すると553ドル(約5万円)となる。 BIM職能について今回のサミットでは、BIMに関わる職能、職務(Role)に関して用語を整理する検討会が立ち上がった。 図-8に示すのは、buildingSMARTスペイン支部が作成したBIM職能の検討資料で、 BIM Coordinator,BIM Specialist,BIM Expert Master,BIM Managerなど4つ職能に分かれており、 それぞれ複数のBIM能力単位から構成されている。 今後、国際的に共通なBIM職能定義を検討することになる。 BIMライブラリbuildingSMARTのサミットでは、ここ数年BIMライブラリに関する報告や検討テーマが増加してきている。 ISO 16757:設備機器BIMライブラリISO 16757(Datastructures for electronic product catalogues for building services)として NBS National BIM Library王立英国建築家協会RIBAの下部組織であるNBS(National Building Specification)が進めている 分類コード体系標準BIMライブラリを整備する際、建設ライフサイクル全体を対象とした分類コード体系の活用が重要な要素となる。 図-10は、IFC,IFD(building-SMART Data Dictionary)と分類コード体系に関連する標準の関係を示している。 ●ISO/IEC/EN 81346-1:2009:Industrial systems,installations and equipment and industrial products — Structuring principles and reference designations — Part1:Basic rules ●ISO/IEC/EN 81346-2:2016:Industrial systems,installations and equipment and industrial products — Structuring principles and reference designations — Part2:Classification of objects and codes for classes ●ISO 81346-12:2016:Industrial systems,installations and equipment and industrial products — Structuring principles and reference designations — Part12:Construction works and building services ●ISO 12006-2:2015:Building construction — Organization of information about construction works — Part 2:Framework for classification ●ISO 704:2009:Terminology work — Principles and methods ●ISO 22274:2013:Systems to manage terminology,knowledge and content — Concept – related aspects for developing and internationalizing classification systems シンガポールサミットからみるBIMの展望BIM関連の認証今回のbuildingSMARTシンガポールサミットでは、BIMの展開に必要な仕組みとして、 インフラ分野のBIMこれまで道路中心線形を中心にインフラ分野のBIMを議論してきていたが、 また、会議全体の議論の内容を見ると、単体の建物モデルだけではなく、 街区レベル、都市レベルのBIMモデルが集積された場合のアプリケーション、サービスの内容へも広がってきている。 新しい都市建設におけるSmart City化、既存の都市インフラ機能の向上や効率の良い維持管理などへ、 BIM、GISやインフラ関係のモデルも連携して活用していくという流れが生まれてきているといえる。 参考文献●buildingSMART BIMガイドラインプロジェクト, BIMガイドラインデータベース:http://bimguides.vtreem.com/bin/view/BIMGuides/Guidelinesk 建設ITガイド 2016 特集2「海外のBIM動向&BIM実践」 |
2016年8月27日
地方共同法人 日本下水道事業団 情報システム室
室長 富樫 俊文
はじめに下水道施設は、処理場、ポンプ場、管路などにより構成されています。 経緯私がBIMを本格的に意識し始めたのは、BIMとFM連携のデモを見た平成25年7月のことです。 処理場の構成要素処理場は、機能的には揚水、水処理、汚泥処理、監視・管理、場内修景、外構等に分類できます。 初期の取り組み最初に取り組んだのは、市販のBIM/CIMソフトウェア(以下、BIMソフト)を利用し処理場を3次元化することです。 また、3次元化と並行して、IFCの検討にも着手しました。 下水道事業は公共事業であり、JSは発注者側の役割を担っています(図-3)。 このような事情から、BIMソフトのネイティブファイルを公式に利用することには多少問題があるので、 事実上の国際標準であるIFCに着目しました。 IFC検討に当たっては、IFCオンライン仕様書に目を通しましたが、理解が難しかったため、 現物重視、すなわち、ARCHICADに簡単なモデル(例えば柱1本)を入力後、ifcxml形式で出力し、 それをIFCオンライン仕様書と照らし合わせて確認する、といった方法で検討を進めました。 3次元モデル化(1)手順3次元モデル化は、既設の処理場を対象に汚泥処理、水処理、管理棟、外構の順で実施しました(図-4)。 設計が平成13~19年度、工事が平成15~20年度と比較的新しい処理場であり、 電子納品もきっちりとされていたので3次元モデル化の入力データとしては十分に揃っていました。 汚泥処理では、まずARCHICADにより構造物を完成図から3次元モデル化し、 次に、ARCHICADから出力したIFCファイルをRebroで読み込み、そこに設備の3次元モデル(図-5)を追加しました。 設備を3次元モデル化する過程で構造物3次元モデルの不備も散見されたので、 途中何回かデータを交換しモデルの精度を高めることが必要でした。 最終的には、ARCHICADに統合(ホットリンク)し、汚泥処理の最終3次元モデルとしました。 これと同様の手順を残りの施設についても行い、施設ごとの最終3次元モデルを作成しました。 全体統合モデルについては、最初はARCHICADのホットリンクを利用することを試しましたが、 各施設の階高が違うので統合に手間がかかる、コンピュータ上でスムーズに動かない等の問題が生じました。 そこで全体統合にはSolibri Model Checkerを利用しました。 合計8個のIFCファイルを読み込んだことになりますが操作性は良好なものでした(図-6)。 (2)分かったことこの最初の3次元モデル化から分かったことは以下の通りです。 マネジメントとBIM/CIMの統合・一体化(1)プロジェクトマネジメント下水道施設はライフサイクル中に数多くのプロジェクト、例えば、新設、増設、改築・更新等のプロジェクトが下水道整備の進展、 プロジェクトマネジメントでは、まず、プロジェクトの対象である施設や機能を施設WBSで特定(ワークフレーミング)し、 次に、施設WBSに対して必要な工種を作業WBSとして組み合わせます。 この組み合わせたものをワークパッケージ(WP)と呼び、プロジェクトの管理単位とします。 これらは、プロジェクトマネジメントの中のスコープマネジメントに相当します。 WPがほぼ確定すれば、これらと工事発注計画との関係を検討し、マスタースケジュール(図-7)を作成します。 PMR(プロジェクトマネージャー)は、マスタースケジュールをベースに、予算要望、設計、積算・発注等プロジェクトを遂行し、 実績を逐次マスタースケジュールに反映することで、プロジェクトをコントロールします。 (2)アセット/ストックマネジメント設備台帳は、設置、点検、修繕・故障履歴等を記録・整備することを目的として作成・利用するもので、 (3)統合・一体化BIM/CIMのMにはModelingだけではなく、Managementの意味も込められていることから、 まず、IDEF1Xというデータモデリング手法によりIFCの各エンティティのデータ構造を分析しました。 ifcxml形式のファイル(表-4)は、一部入れ子構造になっているものの、データにタグが付けられている、 ファイル内で一意となる識別番号(id)がエンティティごとに振られている等、 RDBと似通ったデータ構造であることが分かりました(図-8)。 これは、維持管理へのデータハンドオーバーを検討する上で非常に大きな発見でした。 並行して、IDEF0というプロセスモデリング手法により建設プロジェクトのプロセスの分析を行いました。 IDEF0は、プロセス、各プロセスのつながり、プロセスに関する情報等を、アクティビティ(作業・処理)を表す箱と、 入力、コントロール、メカニズム、出力を表す4つの矢印で可視化するものです(図-9、10)。 例えば「WPを作成する」というアクティビティは、空間とその空間に建築要素、設備要素が配置され、 さらに属性データも登録されたBIMモデル(図-11)を参照(コントロールに相当)することで、 2次元図面と設計図書による従来の方法よりも、作業の効率化と質の向上が期待できます(図-12)。 下水道用BIM/CIM部品・部材下水道用のBIM/CIM部品・部材はまだ十分には揃っていないので、 下水道施設で必要な6工種のうち、建築、建築機械設備、建築電気設備はBIMそのものなので、 土木、機械設備、電気設備についてのみ、詳細な概念モデルが必要となります。 例えば、下水道施設の土木施設は、一般土木や建築と大きな相違点はないのですが、 防食塗装、越流堰版、流出水路の銅版張り、開口部の蓋、安全対策としての柵等の多種多様の付帯施設が設置されています。 機械設備は、機器といくつかの部品類で構成されていますが、 マネジメントの観点では、部品までをBIMモデル化する意味はほとんどないので、 機器レベルを概念モデルの最下位レベルとしました。 このレベルは、工事設計書の機器費として記載されるレベルと同じレベルでもあります。 属性データについては、下水道用のプロパティセットの作成を検討しています(表-5)。 データの有効活用(1)概要BIM/CIMは、形状だけでなく属性データを入力できる点が大きな特徴ですので、 その手順(図-15)ですが、まずBIMソフトから維持管理に必要なデータをifcxmlファイル形式で出力します。 設備台帳には形状等は不要なので、必要なデータのみを抽出できる機能のBIMソフトへの実装が望まれます。 次に、変換システムを起動し、ifcxmlファイルを読み込み、中間RDBへのデータ変換・登録、設備台帳RDB用のデータ出力を行います。 事前に、マスターコード設定、設備台帳RDBと中間RDBとのデータマッピング等の準備は行っておきます。 最後に、設備台帳のデータ読み込み機能でデータを登録し、不足しているデータは追加入力します。 中間RDBを設けるのは、設備台帳RDBは多種多様なのでBIMソフトから設備台帳RDB用のデータ出力を行うことは現実的ではないこと、 データは一度変換すれば終わりではなく追加・修正・削除等が発生するので拡張性・柔軟性を確保することがその理由です。 IFCは構造化されていますが入れ子構造になっているので、 第3正規形まで正規化し、必要なマスターテーブル等を追加して実装する予定です。 (2)変換例ifcxmlファイルから設備台帳「AMDB」へは、 プログラムの処理としては、まず、中間RDB(図-8)のIfcRelDefines-ByPropertiesから その設備要素と関連付けられたIfcPropertySetを探し、 さらにそのプロパティセットに関連付けられたIfcPropertySingleValueをHas-PropertiesLinesから探し出します。 次に、IfcPropertySingleValueのNameと「AMDB」のデータ項目とのマッチングを行い、 マッチングルールに応じてNominalValueを「AMDB」のデータとして登録することになると想定しています。 今後の取り組みJSのBIM/CIMへの取り組みはまだ始まったばかりで、まだ検討の域を出ていませんが、一定の方向性は示せたと感じています。 建設ITガイド 2016 特集2「海外のBIM動向&BIM実践」 |