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書籍版「建設ITガイド」に掲載した特集記事のバックナンバーです。

下水道施設のライフサイクルにおけるBIM/CIM導入−JS版BIM/CIM−

2016年8月27日

 

地方共同法人 日本下水道事業団 情報システム室
室長 富樫 俊文

 

はじめに

下水道施設は、処理場、ポンプ場、管路などにより構成されています。
それらのストックは、処理場が約2,200カ所、ポンプ場が約3,600カ所、管路が約46万kmと膨大なもので、
適切かつ効率的な運営・管理が喫緊の課題となっています。
 
日本下水道事業団(以下、JS)は、これら課題の解決策の一つとして処理場・ポンプ場へのBIM/CIM導入に取り組んでいます。
 
一般に処理場・ポンプ場では、土木、建築、建築機械設備、建築電気設備、機械設備、電気設備と6工種が必要で、
設計段階における工種間の調整業務は難易度の高いものになります。
また、施工段階においてもほぼ同一時期に同一場所で施工することから工程調整等も煩雑になります。
一方、維持管理では、機械・電気設備の構成割合が高いことから日常の保守・点検等が非常に重要になります。
さらに、機械・電気設備の耐用年数は15〜20年と土木・建築構造物の約1/3であり、
補修や改築・更新をタイムリーに行う必要があります。
 
このような特徴から、下水道施設は、BIM/CIMをライフサイクル全体に導入することで大きな効果が期待できる施設といえます。
 
 

経緯

私がBIMを本格的に意識し始めたのは、BIMとFM連携のデモを見た平成25年7月のことです。
それまでは、BIMだけでなく平成24年度から試行が始まっていたCIMにも全く気付いていませんでした。
 
その後、無料セミナーへの参加等BIM/CIMについての情報収集を進め、
下水道にBIM/CIMを導入すると大きな効果が得られると確信しました。
平成26年6月には、(一財)日本建設情報総合センターの助成研究事業に応募し、
採択となった平成26年8月から、本格的にBIM/CIMについての研究を開始しました。
 
主な研究内容は、下水道施設のプロダクトデータモデル開発と維持管理へのデータハンドオーバーの仕組みの検討であり、
施設を管理する立場に焦点を当てたものです。
 
その後、設計コンサルタント、ゼネコン、メーカー(当初11者、追加3者)と下水道CIM共同研究を平成27年1月から開始しました。
こちらは、施設を造る立場に焦点を当てています(図-1)。
 

図-1 2つのBIM/CIM研究

図-1 2つのBIM/CIM研究


 
 

処理場の構成要素

処理場は、機能的には揚水、水処理、汚泥処理、監視・管理、場内修景、外構等に分類できます。
それらの主な構成要素は、反応タンク、最終沈殿池、管廊、重力濃縮槽、外構等の土木構造物、管理棟、汚泥処理棟等の建築構造物、
空調・換気設備、給排水・衛生設備、照明設備等の建築機械・電気設備、ポンプ、汚泥かき寄せ機、送風機、散気装置、
汚泥脱水機等の機械設備、発電機、コントロールセンタ、現場盤、流量計等の電気設備です。
また、それぞれにダクト・配管・ケーブルラック等が含まれています(図-2)。
 

図-2 設備等の設置状況

図-2 設備等の設置状況


 
 

初期の取り組み

最初に取り組んだのは、市販のBIM/CIMソフトウェア(以下、BIMソフト)を利用し処理場を3次元化することです。
BIM/CIMモデルは3次元形状だけではなく属性データの管理も重要ですが、まずは形状を重視しました。
BIMソフトの選定については、機能や操作性は当然重要ですが、
今回はヒアリング先の紹介や無料講習会の実施等の営業サポート力を重視し、
構造物はグラフィソフト社ARCHICAD、設備はNYKシステムズ社Rebroを利用し3次元化を進めることとしました。
モデル統合・チェック用には、ソリブリ社Solibri Model Checkerを利用することとしました(表-1)。
 

表-1 利用ソフト

表-1 利用ソフト


 
また、3次元化と並行して、IFCの検討にも着手しました。
下水道事業は公共事業であり、JSは発注者側の役割を担っています(図-3)。
 
図-3 JSの役割

図-3 JSの役割


 
このような事情から、BIMソフトのネイティブファイルを公式に利用することには多少問題があるので、
事実上の国際標準であるIFCに着目しました。
 
IFC検討に当たっては、IFCオンライン仕様書に目を通しましたが、理解が難しかったため、
現物重視、すなわち、ARCHICADに簡単なモデル(例えば柱1本)を入力後、ifcxml形式で出力し、
それをIFCオンライン仕様書と照らし合わせて確認する、といった方法で検討を進めました。
 
 

3次元モデル化

(1)手順

3次元モデル化は、既設の処理場を対象に汚泥処理、水処理、管理棟、外構の順で実施しました(図-4)。
 

図-4 3次元化の手順

図-4 3次元化の手順


 
設計が平成13〜19年度、工事が平成15〜20年度と比較的新しい処理場であり、
電子納品もきっちりとされていたので3次元モデル化の入力データとしては十分に揃っていました。
 
汚泥処理では、まずARCHICADにより構造物を完成図から3次元モデル化し、
次に、ARCHICADから出力したIFCファイルをRebroで読み込み、そこに設備の3次元モデル(図-5)を追加しました。
 
図-5 設備の3次元モデル

図-5 設備の3次元モデル


 
設備を3次元モデル化する過程で構造物3次元モデルの不備も散見されたので、
途中何回かデータを交換しモデルの精度を高めることが必要でした。
最終的には、ARCHICADに統合(ホットリンク)し、汚泥処理の最終3次元モデルとしました。
これと同様の手順を残りの施設についても行い、施設ごとの最終3次元モデルを作成しました。
 
全体統合モデルについては、最初はARCHICADのホットリンクを利用することを試しましたが、
各施設の階高が違うので統合に手間がかかる、コンピュータ上でスムーズに動かない等の問題が生じました。
そこで全体統合にはSolibri Model Checkerを利用しました。
合計8個のIFCファイルを読み込んだことになりますが操作性は良好なものでした(図-6)。
 
図-6 全体統合3次元モデル

図-6 全体統合3次元モデル


 

(2)分かったこと

この最初の3次元モデル化から分かったことは以下の通りです。
 
●BIMソフトによる3次元モデル化は可能
●構造物と設備とで利用ソフトを使い分けることが必要
●IFCによるデータ交換は可能
●既存の完成図書があれば3次元モデル化は可能
 
また、今後検討が必要なことは以下の通りです。
 
●ダクタイル鋳鉄管等の下水道でよく使われる配管の部材登録
● 汚泥かき寄せ機等の下水道特有の機器の部品化方針
●発注や維持管理で必要なデータのプロパティセット化
●モデル形状の詳細度等のルール化
 
 

マネジメントとBIM/CIMの統合・一体化

(1)プロジェクトマネジメント

下水道施設はライフサイクル中に数多くのプロジェクト、例えば、新設、増設、改築・更新等のプロジェクトが下水道整備の進展、
高度処理等の社会的要請、施設・設備の劣化状況等により企画・遂行され、
事業主体・発注者はこれらプロジェクトを首尾一貫した方法でマネジメントすることが求められています。
 
JSは、それらのマネジメントシステムとして
PURE(Project management system for Upgrading and Realizing Earned value concept)を
開発・運用(平成11年10月から)しており、現時点までで約3,600 のプロジェクト(累計)をマネジメントしています。
 
PUREのメインとなるツールがJS標準WBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)です。
JS標準WBSは、施設あるいは機能としての視点で分類した施設WBS(表-2)と
役務あるいは工種の視点で分類した作業WBS(表-3)の2種類で構成しています。
 

表-2 JS標準施設WBS

表-2 JS標準施設WBS


 
表-3 JS標準作業WBS

表-3 JS標準作業WBS


 
プロジェクトマネジメントでは、まず、プロジェクトの対象である施設や機能を施設WBSで特定(ワークフレーミング)し、
次に、施設WBSに対して必要な工種を作業WBSとして組み合わせます。
この組み合わせたものをワークパッケージ(WP)と呼び、プロジェクトの管理単位とします。
これらは、プロジェクトマネジメントの中のスコープマネジメントに相当します。
 
図-7 マスタースケジュール

図-7 マスタースケジュール


 
WPがほぼ確定すれば、これらと工事発注計画との関係を検討し、マスタースケジュール(図-7)を作成します。
PMR(プロジェクトマネージャー)は、マスタースケジュールをベースに、予算要望、設計、積算・発注等プロジェクトを遂行し、
実績を逐次マスタースケジュールに反映することで、プロジェクトをコントロールします。
 

(2)アセット/ストックマネジメント

設備台帳は、設置、点検、修繕・故障履歴等を記録・整備することを目的として作成・利用するもので、
維持管理では必須のツールです。
 
小規模で機器点数が少ない場合は表計算ソフトで作成されることもありますが、
一般にはリレーショナルデータベース(RDB)を利用しており、JSでは「AMDB」と名付けたシステムを開発・運用しています。
 
ストックマネジメントは、設備台帳を基本データとしてサービス水準の目標設定、改築費用の把握、
優先順位を踏まえた保全計画の策定・実施等の施設管理活動を実施するモノのマネジメントになり、
アセットマネジメントは、モノのマネジメントにヒトとカネのマネジメントを追加したものになります。
 

(3)統合・一体化

BIM/CIMのMにはModelingだけではなく、Managementの意味も込められていることから、
プロジェクトマネジメントやアセット/ストックマネジメントのツールとして利用する、
あるいは、統合・一体化することができれば非常に有効です。
 
JSではIFCがプロジェクト情報、空間構造、建築要素、設備要素とそれらの関連を定義していることが
JS標準WBSによるプロジェクトマネジメントの考え方に似ていることに着目し、
BIM/CIMとマネジメントとの統合・一体化を検討しました。
 

表-4 ifcxml形式ファイルの例

表-4 ifcxml形式ファイルの例


 
まず、IDEF1Xというデータモデリング手法によりIFCの各エンティティのデータ構造を分析しました。
ifcxml形式のファイル(表-4)は、一部入れ子構造になっているものの、データにタグが付けられている、
ファイル内で一意となる識別番号(id)がエンティティごとに振られている等、
RDBと似通ったデータ構造であることが分かりました(図-8)。
 
図-8 ER図の例

図-8 ER図の例


 
これは、維持管理へのデータハンドオーバーを検討する上で非常に大きな発見でした。
 
並行して、IDEF0というプロセスモデリング手法により建設プロジェクトのプロセスの分析を行いました。
IDEF0は、プロセス、各プロセスのつながり、プロセスに関する情報等を、アクティビティ(作業・処理)を表す箱と、
入力、コントロール、メカニズム、出力を表す4つの矢印で可視化するものです(図-9、10)。
 
図-9 IDEF0の概要

図-9 IDEF0の概要


 
図-10 プロジェクトの分析例

図-10 プロジェクトの分析例


 
例えば「WPを作成する」というアクティビティは、空間とその空間に建築要素、設備要素が配置され、
さらに属性データも登録されたBIMモデル(図-11)を参照(コントロールに相当)することで、
2次元図面と設計図書による従来の方法よりも、作業の効率化と質の向上が期待できます(図-12)。
 
図-11 BIMモデルの例

図-11 BIMモデルの例


 
図-12 WP作成の分析例

図-12 WP作成の分析例


 
 

下水道用BIM/CIM部品・部材

下水道用のBIM/CIM部品・部材はまだ十分には揃っていないので、
部品・部材整備のための基礎資料として、概念モデルを作成しました(図-13、14)。
 

図-13 概念モデル(全体および土木)

図-13 概念モデル(全体および土木)


 
図-14 概念モデル(機械および電気)

図-14 概念モデル(機械および電気)


 
下水道施設で必要な6工種のうち、建築、建築機械設備、建築電気設備はBIMそのものなので、
土木、機械設備、電気設備についてのみ、詳細な概念モデルが必要となります。
 
例えば、下水道施設の土木施設は、一般土木や建築と大きな相違点はないのですが、
防食塗装、越流堰版、流出水路の銅版張り、開口部の蓋、安全対策としての柵等の多種多様の付帯施設が設置されています。
 
機械設備は、機器といくつかの部品類で構成されていますが、
マネジメントの観点では、部品までをBIMモデル化する意味はほとんどないので、
機器レベルを概念モデルの最下位レベルとしました。
このレベルは、工事設計書の機器費として記載されるレベルと同じレベルでもあります。
 
属性データについては、下水道用のプロパティセットの作成を検討しています(表-5)。
 
表-5 汚泥かき寄せ機のプロパティセット案

表-5 汚泥かき寄せ機のプロパティセット案


 
 

データの有効活用

(1)概要

BIM/CIMは、形状だけでなく属性データを入力できる点が大きな特徴ですので、
建設プロジェクトから維持管理へのデータハンドオーバーによるデータの有効活用に着目しました。
 
プロジェクトではさまざまなデータが発生(表-6)していますが、
そのうち、BIMソフトに入力しているデータだけでも設備台帳にハンドオーバーできれば、
初期データの登録が相当効率的になります。
 

表-6 プロジェクト発生データ

表-6 プロジェクト発生データ


 
図-15 BIMデータ活用の手順

図-15 BIMデータ活用の手順


 
その手順(図-15)ですが、まずBIMソフトから維持管理に必要なデータをifcxmlファイル形式で出力します。
設備台帳には形状等は不要なので、必要なデータのみを抽出できる機能のBIMソフトへの実装が望まれます。
 
次に、変換システムを起動し、ifcxmlファイルを読み込み、中間RDBへのデータ変換・登録、設備台帳RDB用のデータ出力を行います。
事前に、マスターコード設定、設備台帳RDBと中間RDBとのデータマッピング等の準備は行っておきます。
 
最後に、設備台帳のデータ読み込み機能でデータを登録し、不足しているデータは追加入力します。
 
中間RDBを設けるのは、設備台帳RDBは多種多様なのでBIMソフトから設備台帳RDB用のデータ出力を行うことは現実的ではないこと、
データは一度変換すれば終わりではなく追加・修正・削除等が発生するので拡張性・柔軟性を確保することがその理由です。
IFCは構造化されていますが入れ子構造になっているので、
第3正規形まで正規化し、必要なマスターテーブル等を追加して実装する予定です。
 

(2)変換例

ifcxmlファイルから設備台帳「AMDB」へは、
空間構造としては、IfcSite(場所)、IfcBuilding(建物)、IfcBuildingStorey(建物階)、IfcSpace(ゾーン)、
設備要素としては、例えばIfcFlowMovingDevice(ポンプ等)のデータを変換します(表-7、8)。
 

表-7 空間構造のデータ変換例

表-7 空間構造のデータ変換例


 
表-8 設備要素のデータ変換例

表-8 設備要素のデータ変換例


 
プログラムの処理としては、まず、中間RDB(図-8)のIfcRelDefines-ByPropertiesから
その設備要素と関連付けられたIfcPropertySetを探し、
さらにそのプロパティセットに関連付けられたIfcPropertySingleValueをHas-PropertiesLinesから探し出します。
 
次に、IfcPropertySingleValueのNameと「AMDB」のデータ項目とのマッチングを行い、
マッチングルールに応じてNominalValueを「AMDB」のデータとして登録することになると想定しています。
 
 

今後の取り組み

JSのBIM/CIMへの取り組みはまだ始まったばかりで、まだ検討の域を出ていませんが、一定の方向性は示せたと感じています。
今後は、変換システムの実装や実プロジェクトでの試行等実務レベルでの検証を進めていくとともに、
下水道BIM/CIMガイドラインの策定など、BIM/CIMが機能するような仕組みづくりに取り組んでいく予定です。
 
そのためにもIAI日本やBIMライブラリーコンソーシアムの活動に参加し
将来のIFCへの反映や下水道ライブラリーの構築を図っていきたいと思います。
 
最後になりますが、これからも大学や企業の研究者・実務者の方々の助言がますます必要ですので、
JSの取り組みに興味を持たれましたら、ぜひご連絡をお願いします。
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集2「海外のBIM動向&BIM実践」
建設ITガイド 2016
 
 



国際的BIM調査「BIM SURVEY2015」に見る国際的なBIMの潮流

 

一般社団法人 建築・住宅国際機構
加藤 秀弥

 

はじめに

日本国内の建設業界でも「BIM」を耳にする機会が増えてきました。
本稿では海外におけるBIMに関連する話題の中でもイギリスRIBA Enterprise社が主催する
NBS International BIM Survey(BIM国際調査)の概要をご紹介します。
 
 

NBS International BIM Survey国際調査のこれまで

まずイギリスNBSについて紹介いたします。
NBSとは、National Building Specifi cation(国家建設仕様 http://www.thenbs.com)という仕様書の略称です。
その運営管理はイギリスRIBA(Royal Institute of British Architect:英国王立建築家協会 http://www.architecture.com)の子会社、
RIBA Enterprise社(http://www.ribaenterprises.com)が担当しています。
 
欧米における仕様書は、日本と異なり、契約文書の一部を構成する文書として位置付けられ、
プロジェクトごとに発注者・設計者が施工者に提示する重要な書類になっています。
その内容は、使用材料および施工方法(工法)の記述ですが、
コード体系化された工種分類や他の規格との連携が可能なシステムになっています。
設計内容に応じて、設計者が適切に書き換えが可能で、統一された書式、工種や工法のコード番号を用いることにより、
積算、施工計画、発注、施工管理など、建設業界全体で効率化が図られています。
 
こうした欧米各国における仕様書のシステムは古くから体系化され、運用されており、これらの国際標準化を目的として、
ICIS(International Construction Information Society:国際建設情報協会, http://www.icis.org)が
1990年代前半に設立されました。
日本からはIIBH
(Institute of International harmonization for Building and Housing:一般社団法人建築・住宅国際機構  http://www.iibh.org
にICIS対応国内委員会を設置し、会員として活動に参加しております。
BIMでモデルを作成する上で、工事仕様書は各要素の属性と密接な関係があるため、
BIMの動向はICISの重大な関心事になっております。
 

ICIS ロゴ

ICIS ロゴ


 
RIBA Enterprise社は“NBS”を登録商標とし、”NBS”をいわばブランド名として、
工事仕様書の整備に留まらず、BIMライブラリの提供や建設一般に関するセミナーの開催、出版、
テレビ局運営による建築関連教育の実施や行政情報の提供を行っています。
 
イギリス政府は2011年5月に「2016年から政府発注の工事にBIMの利用を要求」する計画を発表しました。
その発表に先駆けて、同年初めに第1回のNBS National BIM Surveyと称するアンケート形式の国内調査を実施しました。
その後、国内調査は毎年実施されております。
 
NBS International BIM Surveyと呼ばれるNBS BIM国際調査は、
国内調査と同様にアンケート形式で、2013年に初めて実施されました。
この調査は、NBSからICISに参加している国へ呼びかけられ、
イギリス、カナダ、フィンランド、ニュージーランドの4カ国が参加しました。
 
第2回目となる今回は、2015年にNBSから再びICISの参加国へ国際調査の呼びかけがあり、
今回は日本もIIBHを通じて参加しました。
日本ではICIS国内対応委員会を通じて回答者を募り、244名からの回答が得られました。
 
2011年のイギリス国内調査では、建設産業に従事する回答者のうち40%は「BIM」という言葉すら、認知されていませんでした。
その後、状況は年々改善され、2015年の国内調査時にはBIMを知らない人はわずか6%、
またBIMを経験したことがある人は39%に達しました。
ほとんどの人が今後5年以内に業務においてBIMに関与することになると予想しています。
イギリスでは2016年の政府調達案件での実用化に向けて、急速にBIMが普及してきたことが分かります。
 
 

2015年NBS BIM国際調査の参加国の概要

2015年のNBS BIM国際調査には、イギリス、カナダ、デンマーク、チェコ、日本の5カ国が参加しました。
前回参加したニュージーランドとフィンランドは、参加していません。
 
参加した5カ国のうち、政府調達案件に対しBIMを必須とする制度があるのはデンマークおよびイギリスで、
日本、カナダ、チェコではBIMの導入を促す制度は施行されていません。
 
以下に、参加5カ国のうち、日本と前述のイギリスを除いた3カ国について、
BIMに関連する概要を、調査報告書の記述を基に紹介します。
 

(1)カナダ

カナダでは、IBC(The Institute for BIM in Canada:カナダBIM協会, https://www.ibc-bim.ca) と
Digicon Information社(http://www.digicon.ab.ca)の協働で今回のNBS BIM国際調査に参加しました。
参加5カ国の中で、カナダだけが、前回からの継続参加になりましたが、
前回と比較すると、BIMの普及が緩やかであることが判明しています。
前述のように、政府の積極的な誘導でBIMに取り組むイギリスが急速に普及が進んだことと対照的といえます。
 
ヨーロッパで一般的に利用されているBIMソフトで数量調書を生成する機能は、カナダでは利用されていないとのことです。
 
IFCの利用率が低いのも、カナダの特徴で、これはAutodesk社のシステムの利用者が多く、
IFCを介したデータ交換の必要性が低いことが理由として挙げられると報告されています。
 
BIM普及の阻害要因として、設計事務所におけるインハウスのBIMソフトオペレーターの不足、
顧客からのBIM利用への強い要望の欠如が挙げられています。
 
カナダでのBIMの普及に対し、政府の明確な導入戦略や環境整備への関与が望まれることが報告されています。
 

(2)デンマーク

デンマークでは、bips(http://bips.dk)が調査を実施しました。
bipsは建設関連の非営利の業界団体で、建設業界の発展を目的として、各種標準類やツールを開発しています。
5年ごとに行動指針を策定しており、2011年から2015年の行動指針では建設の電子化の促進を掲げています。
 
デンマークでは2007年から公共プロジェクトに対して、建設のデジタル化の要求が法制化され、
これまで着実に電子化が進んできました。
2008年に独自に行なった国内調査の結果と今回の調査を比較しても、BIMは確実に普及が進んでいるとのことです。
 
普及が進むにつれ、経験や実務からのフィードバックを反映して、法令等の環境の整備も促進されています。
単純な建物で試行する段階から大型案件で実施する事例が増えており、
新しい手法やプロジェクトチームの標準的な編成の改善も進んでいます。
 
4つの国際標準からなるBIM用CCS分類システムもクネコ(Cuneco,http://cuneco.dk)プロジェクトで開発されました。
4つの国際標準とは、不動産情報の取扱い規則、BIMオブジェクトライブラリ開発の標準、
BIM情報レベルの定義や計測標準、そして、電子入札の標準です。
 

(3)チェコ

チェコは、BIMの認知は増えつつあるとはいえ、まだBIMが浸透していない国といえます。
BIMソフトが高価なために中小企業からは敬遠されていることも多く、大企業での利用が増えているとのことです。
そういう意味からも、BIMの普及のためには法令等による誘導が必要としています。
 
BIM利用経験者の多数で、利用後の感想が良好であり、
また、顧客や施工者からのBIM利用の要望が増えるものと予想している回答者が多いようです。
 
 

2015年NBS BIM国際調査の概要

ここでは、NBS BIM国際調査の内容をデータとともに紹介していきます。
 

(1)BIMの認知度

 

図-1 ”BIM”を知っている

図-1 ”BIM”を知っている


 
図-1に示されているように、BIMを知っていると回答した人の割合を見ると、チェコでは回答者の半数程度にとどまっているのに対し、
他の参加国では90%以上で、BIMが広く認知されていることが分かります。
 
なお、各国とも主催者に近い団体から回答者を募っているという点では日本と共通しており、
他の設問を含む本調査全般において、調査結果が社会一般や建設業界全体を反映していると考えることはできませんが、
日本でも一定の認知度の広がりがあることが確認できます。
 
次にBIMを知っていると答えた人のうちで、現在BIMを使用していると回答した人の割合が図-2になります。
 
図-2 ”BIM”を現在利用している

図-2 ”BIM”を現在利用している


 
この図を見ると、調査時点で既にBIM利用が制度として求められ、
また建設の電子化に積極的なデンマークの利用者が高いのが数字に表れています。
一方、BIM必須が目前のイギリスが制度的な制約のないカナダより低いことや日本と同等であるのは目を引きます。
BIMを利用する制度環境と機運、社会的な経済力の3点が揃っているのがデンマーク、機運に欠けるのがイギリス、
制度環境が未整備なのが日本とカナダ、機運だけが備わっているのがチェコと読んでは早合点でしょうか。
 
この調査ではBIMとは何かという定義を明確に示していないため、回答者あるいは国によってBIMの意味が異なる可能性もあります。
例えばBIMは建設工事に必要な設計図や仕様書を統合したものという理解もありますが、
さらに広範に建物のさまざまな性能や履歴などを含めた情報を含む理解もあります。
 
図-3 業界として”BIM”とは何かが不明確である

図-3 業界として”BIM”とは何かが不明確である


 
回答者が感じるBIMの位置付けに対する不明確さを反映するのが、図-3の回答です。
いずれの国でも半数以上が、BIMの定義が不明確という回答を寄せていることが分かります。
もっとも、制度等の環境が整備されているデンマークで不明確と感じている回答も多く、
むしろ国民気質の生真面目さを表す結果とも読めそうです。
 

(2)BIMの理解

 

図-4 BIMの用途

図-4 BIMの用途


 
図-4の回答からBIM利用者がBIMで活用している機能は何かが分かります。
いずれの国でも立体的な可視化映像の利用がほぼ90%を超えています。
続いて、干渉チェック、技術的解析としての利用が多いことが分かります。
イギリスだけ技術的解析の利用率が50%を割っており、他国と差があるのが特徴的です。
 
図-5 ”BIM”とは

図-5 ”BIM”とは


 
図-5はBIMとは何かをどう捉えているかを示す回答です。
「BIMとはコンピューターソフトの一つである」という回答も、「BIMとは3次元CADである」という回答も、
約25%以下の少ない回答になっています。
BIMの活用によって、さまざまな立場から建物に関係する人々の相互の情報共有や協力関係の構築が容易になることや、
竣工後の建物管理での活用が可能となるなど、建設に留まらない技術であるため、
これらの回答が少数にとどまっているのは、BIMの特長が理解されていないと捉えることができます。
 

(3)IFCおよびCOBie

NBSの報告書では、BIM利用のメリットを最大限に活用するためには、IFCの利用が不可欠としています。
IFCの活用により、異なるソフト、
すなわち建設時の多様な業者のみならず関連行政庁や建物管理者に至るさまざまな業種や国をまたいで、
建物の情報を管理することが可能になるからです。
 

図-6 IFCを利用していますか

図-6 IFCを利用していますか


 
BIM利用経験者に対し、IFCの利用状況を問うた回答が図-6です。
デンマークではIFCが活用されていることが分かります。
デンマーク以外の国では、日本でIFCを利用している回答者が多いのが目を引きます。
 
一方、特にイギリス、カナダ、日本では利用しているファイル形式がIFCかどうかを認識していない回答が20%程度と少なからずあり、
IFCの重要性が十分に認識されていないことを示していると思われます。
 
COBieとは、建物竣工時に建物管理者に渡されるものを意図して開発されたBIMの出力形式です。
回答者のうちBIM利用経験者に対しCOBie出力を利用したことがあるかの質問に対する回答が図-7です。
 
図-7 COBie出力を利用していますか

図-7 COBie出力を利用していますか


 
この結果からCOBie出力がほとんど活用されていないことが分かり、今後の展開が課題と考えられます。
 

(4)BIM利用による環境の変化

BIMを利用することによって、従来の業務方法がどのように変化していくかを知る手がかりとなるのが以下の設問になると思われます。
 

図-8 BIMを利用すると仕事のやり方が変わる

図-8 BIMを利用すると仕事のやり方が変わる


 
BIMを採用した場合、業務フローの修正が必要と考えるかどうかというのが図-8の設問です。
上段にBIM未経験者、下段にBIM経験者を示しています。
BIMを採用することによって、業務フローの修正が必要と考えている人が多いことが分かります。
デンマーク以外の国では、BIM未経験者の方が業務フローの修正が必要であるという予想が多くなっています。
 
図-9 BIMの利用を求めてくる

図-9 BIMの利用を求めてくる


 
次に、顧客および施工者のそれぞれからのBIM採用の要望が増加するかどうか、BIM未経験者と経験者別の回答が図-9です。
BIM未経験者と経験者の回答を比較すると、
いずれの国および設問に対しても、経験者の方が顧客や施工者からの要望が増えると予想していることが分かります。
BIM経験者の回答を見ると、日本、イギリス、カナダでは顧客からの要望と施工者からの要望の増加の予想はほぼ同程度ですが、
チェコとデンマークでは施工者からよりも顧客からのBIM採用の要望が増えることを予想する回答の方が圧倒的に多くなっています。
チェコとデンマークでは、BIM未経験者でも同様の傾向が見られ、
BIMの採用は顧客に対するメリットに資する部分が大きいと考えられているように見受けられます。
 
一方、日本では、BIM経験者ではほぼ同程度ですが、
BIM未経験者では施工者からの要望の増加を予想する回答が多いことが分かります。
この傾向は日本では施工者のBIM活用が先行していることが一因にあると思われます。
 
図-10 BIMを使わなければ良かった/使いたくない

図-10 BIMを使わなければ良かった/使いたくない


 
BIM未経験者にBIMを利用したくないかとBIM経験者にBIMを利用して後悔したかを問うた回答が図-10です。
各国ともBIMを利用したことによって後悔した回答者は少なく、
BIMの利用を経験することによって、BIMに対して前向きな感想を持っていることが分かります。
 

(5)BIM行政に対する姿勢

 

図-11 BIMの施策について

図-11 BIMの施策について


 
図-11は、上段にBIMに対する政策を支持するという回答者と
下段に今後公共工事においてBIMの利用を促すと予想する回答者の割合を示しています。
イギリスでは、政策への支持率が高いことが分かります。
イギリスで公共工事へのBIMの導入の予想が高いのは、2016年の施策導入以降も対象工事の拡大を予想しているものと推測されます。
日本では政策に対する支持は低いにもかかわらず、将来のBIM導入の予想は高くなっています。
 

(6)BIM利用の予想

 

図-12 BIMの利用計画

図-12 BIMの利用計画


 
図-12は、現在BIMを利用している人、1年以内、3年以内、5年以内に使い始めると予想する回答者をそれぞれ表しています。
カナダとデンマークでは、1年以内に80%以上の回答者が使い始めると予想しています。
日本とイギリスでは3年以内に、チェコでは5年以内に80%以上の回答者が使い始めると予想しています。
 
参加国全般で見ると、5年以内には80%以上の回答者がBIMを利用し始めると考えていることが分かり、
今後5年間の間に急速にBIM利用が拡大することを予想する回答者が多いことが分かります。
 

(7)全般的に

これまで見てきたように、BIM導入に対する行政の姿勢やBIM経験者の割合は国によって異なることが分かりました。
図-13はBIMが建設プロジェクトにおける将来像であるかと考える回答者の割合を示しています。
 

図-13 BIMは建設プロジェクトの将来像だ

図-13 BIMは建設プロジェクトの将来像だ


 
この結果を見ると、総じて多くの回答者がBIMが建設プロジェクトの将来像を表しているという期待を抱いていることが分かります。
 
 

まとめ

BIM国際調査をを通して、調査参加国ではBIMは設計の将来像と捉えられており、
またこの変革は急速に起こると考えられていることが分かりました。
また、BIM経験者ほど、BIMの採用に対して前向きであることも分かりました。
 
例えば、設計フェーズにおける設計者同士のコミュニケーション、あるいは施工フェーズにおける建設業界内のコミュニケーションは、
従来から仕様書や図面のシステムを構築して不自由なく行われてきました。
紙の図面やCADによって建物情報を授受したり、建設プロジェクトの各フェーズ、
末端に至るまでの各分野の当事者のコミュニケーションによって成立していた従来のシステムを
BIMによる電子化したシステムに移行させるための動機付けには、各当事者間以外の外部的な要因が必要と思われます。
 
イギリスやデンマークでは、行政の誘導により導入が促進されていますが、
日本やカナダのように、強い施策のない国においても、導入が進んでいることを示す結果も確認できました。
 
また、日本では施工者においてBIMの積極的利用の研究が先行していますが、このBIM国際調査の結果を通じて、
BIMが建設業界を超えた社会全体に与える可能性という視点も、今後の議論が期待されるところです。
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集2「海外のBIM動向&BIM実践」
建設ITガイド 2016
 
 



現場から始まった維持管理CIMの推進

 

M-CIM研究会 事務局

 

はじめに

2012年に株式会社補修技術設計は自動車専用道路高架橋の維持補修業務において3次元レーザースキャナーの活用を開始しました。
まず調査において、管理一般図と現況との照合業務に始まり、
従来であればコンベックスやトータルステーション等を使用し計測していましたが、
現場作業の煩雑さや工数削減から効率化が必要になってきました。
このため、同社の中馬代表は本題における解決方法として、
3次元レーザースキャナーと3次元点群処理ソフトの活用を検討開始しました。
本件は橋梁維持管理業務において、必要な実橋計測において不可欠業務です。
折しも2012年に国土交通省が提唱する土木分野におけるCIMへの取り組みの推進により、
今後の維持管理業務において3次元モデリングの活用が推進される方向へ進んでいきます。
私たちが取り組む主業務である既設構造物の調査をはじめとする業務においても、
3次元モデリングデータを構築する方向へ展開することにより、維持管理業務においても革新的な改善を図ることができます。
 
株式会社補修技術設計の中馬勝巳代表は、社会基盤構造物の維持管理において3次元モデリングデータを活用することにより、
構造物のリアルな情報を適時利用でき、構造物のメンテナンスに多くの効果が期待できることを確信し、実用化を検討してきました。
 
 

維持管理業務への3次元モデリング活用

社会基盤構造物の維持管理業務において、株式会社補修技術設計は橋梁を主とする構造物の劣化調査を受託業務としています。
調査対象の構造物計測では、従来は限られた工数内で十分な計測情報を得ることはできませんでした。
2012年頃より、3次元レーザースキャナーが市場に出現してきましたが、
機材費用の面や3次元点群処理ソフトの操作性の面で現場にて利用できるものではありませんでした。
しかし、2012年頃には構造物計測に適した近距離型の3次元レーザースキャナーの出現や
サードパーティーを含む3次元点群処理ソフトが商品化され、
現在では構造物計測に適した3次元レーザースキャンシステムとなりつつあります。
 
維持管理業務において3次元レーザースキャンシステムを利用し3次元モデリングデータを利用する利点は多くありますが、
以下に集約されます。
 
①計測工数を大幅に削減できる
②対象構造物および構造物周辺状況の3次元情報が取得できる
③現場計測において遠隔非接触計測であるため業務の安全性が確保できる
④リアルデータであるため、将来の計測業務においても活用できる
 
以上の利点を生かし、3次元レーザースキャナーで計測した3次元点群データと、
既設構造物の一般図との照合作業や現状一般図の制作等で少ない業務工数で実施しなくてはなりません。
この要求に対し、優れた3次元点群処理ソフトやオペレーターのトレーニングが必要となります。
 
同社においては、専業の3次元点群処理ソフト開発会社の協力により、
欧州で開発された統合化型3次元処理ソフト「Arena4D」(英国Veesus LTD社)を採用しました。
「Arena4D」は3次元点群データの管理・編集はもとより3次元CADソフトへの組み込みやブラウザ上で3次元モデルの閲覧が可能です。
同社スタッフは、現場で取得した3次元点群データから「Arena4D」を操作し、
2次元一般図の制作をはじめ、補修補強工事における各種計測を実施しています。
 

写真-1 跨線歩道橋の計測状況

写真-1 跨線歩道橋の計測状況


 
図-1 3次元点群データ

図-1 3次元点群データ


 
写真-1および図-1は、跨線歩道橋の計測状況および点群データからのイメージです。
 
3次元レーザースキャナーの活用は、遠隔非接触による計測方法であり、
現場業務での安全性確保でも従来方法に比べ大きく寄与しています。
当然現場作業で安全が必ず確保できるというものではなく、
安全教育を含め現場の安全に関しては最優先で考慮しなければなりません。
 
図-2 橋梁付属物の取り付罫書き位置の原寸取

図-2 橋梁付属物の取り付罫書き位置の原寸取


 
その他事例として、図-2は橋梁付属物の取りつけの罫書き位置の原寸取り計測例であり、
付属物の取り付け状況がイメージできます。
 
図-3 橋梁のアンカーボルト位置計測

図-3 橋梁のアンカーボルト位置計測


 
図-3は橋梁の落橋防止システム設置用のアンカーボルト位置を計測し
3次元点群データとして群処理ソフトArena4Dで3次元CADデータ図を作成したものです。
 
 

維持管理CIMへの展開(M-CIM研究会の発足)

3次元レーザースキャナーの利用および3次元点群データによるモデリングは維持管理業務において有効であるものの
管理者、コンサルタント会社、調査会社において、認知度は未だ十分とは言えません。
株式会社補修技術設計の中馬代表は、中小の構造物調査業務を専門としている会社団体等と協力し、
3次元モデリングデータの活用や3次元レーザースキャナーの構造物計測を推進しつつ
3次元モデリングデータの有効性を推進する団体として「M-CIM研究会」(本部・事務局:株式会社補修技術設計)を発足させました。
 
「M-CIM研究会」の“M”はメンテナンスを意味し、構造物維持管理を入口としてCIMを推進することを理念としています。
「M-CIM研究会」はハードウェアツールとして3次元レーザースキャナーを保有し、同機材を随時使用できる実働会員、
構造物の3次元モデルデータの活用に関心を持つ技術者や大学関係者等の個人会員メンバーで構成しています。
 
2015年9月に発足し、下記の5社が実働会員として参画し活動を開始しました。
 
実働会員会社の技術者と個人会員を併せ約20名のメンバーが業務に参加しており、
橋梁をはじめとした社会基盤構造物の補修や補強設計業務で活動しています。
研究会は3次元レーザースキャナーとしてFARO社FOCUS3D S120、Z+F社IMAGER5010Cを所有し、
会員は本機材を常時相互利用できる体制を整えています。
また3次元点群処理ソフト「Arena4D」については実働会員がライセンス保有し活用する方向で進めています。
 
●株式会社 補修技術設計 東京都江戸川区
●株式会社 MAEDA-OFFICE 愛知県名古屋市
●株式会社 ジビル調査設計 福井県福井市
●山陽ロード株式会社 岡山県津山市
●株式会社 コスモエンジニアリング 東京都江戸川区
 
「M-CIM研究会」実働会員は、研究会活動において以下目的を目指していきます。
 
①3次元レーザースキャナーの認知度および利用範囲の拡大
②相互活用を通じ情報交換、ネットワークの構築
③アプリケーションソフトの市場開拓および開発
④3次元計測スステム化による業務処理体系の変革
 
実働会員、個人会員とも定期的な技術情報交流会を通して、
3次元モデリングデータの活用や業務改善のディスカッションを進めています。
 

写真2 M-CIM研究会キックオフ会議

写真2 M-CIM研究会キックオフ会議


 
写真-2は、「M-CIM研究会」キックオフ会議に合わせて実施した
3次元レーザースキャナーと3次元点群処理ソフトのオペレーションセミナーです。
また実働会員のメンバーは、実働会員会社が受託した業務にパートナーとして参加し、
3次元レーザースキャナーや3次元点群処理ソフトのオペレーションについて習得しています。
 
「M-CIM研究会」実働会員は、受託した調査業務において、調査対象物の3次元計測を実施し、
3次元データを参照しつつ調査業務に生かすとともに、
必要に応じ3次元CADの利用により2次元への展開図面制作にも活用しています。
 
図-4 3次元イメージと2次元一般図

図-4 3次元イメージと2次元一般図


 
図-4は3次元点群データから制作した2次元CAD一般図です。
従来の2次元図で管理していた方法と容易に整合性を取ることができます。
さらに3次元データでは対象構造物を含む周辺部との干渉等もリアルに表現できるため、
補修・補強設計等では干渉のない設計が可能になります。
 
 

おわりに

CIMによる3次元モデルデータは、社会基盤構造物の維持管理においても多くの有効性を提供してくれます。
既設構造物計測に適した3次元レーザースキャナーや3次元点群処理ソフトの出現がこれらを可能にしてくれます。
3次元データを利用することで、構造物の補修や補強設計でもミスの少ない設計が可能となります。
 
調査では、まず構造物の3次元計測を実施し3次元データを作り、それを基に現場での詳細調査を進めることができます。
現場では3次元データを参照しつつ調査を進めることにより、調査担当者が設計完成データをイメージすることが容易になり、
また調査における安全性の向上でも、多くの利点があります。
 
今後M-CIMを進めるに当たり、まだ以下の課題はありますが、
随時解決することにより老朽化する構造物の維持管理について効率的かつ精度の高い設計が可能になります。
 
少子高齢化が進むわが国において、
維持管理業務でも3次元モデリングデータの作成と活用は社会基盤構造物の維持管理に大きく寄与できます。
 

今後の課題

①3次元点群処理ソフトによる3次元モデルデータオペレーターの育成
②操作性の高い3次元点群処理ソフトの開発
③3次元モデルデータのオフィス・現場間の共有する通信システムの向上
④M-CIM研究会員相互の技術情報の共有、3次元計測技術の平準化
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集1「本格化するCIM」
建設ITガイド 2016
 
 



九州での実践的CIM人材育成『CIMチャンピオン養成講座』

 

CIM研究会 事務局 緒方 正剛
(一般財団法人 先端建設技術センター)

 

はじめに

CIM(Construction Information Modeling/Management)の試行が始まり3年目を迎える。
多くの講演会、セミナーでCIMについては語られているので、ここで詳細は割愛するが、
その多くは、3次元CADを使ったモデリングの成果の公開の場であり、その作成プロセスや人材育成について語られることは多くない。
 
筆者も参加している(公社)土木学会土木情報学委員会でも、平成25年度、平成26年度に全国10か所で「CIM講演会」を開催し、
平成25年度1,049名、平成26年度1,140名の参加があった。
この講演会では、各会場でアンケートを実施しており参加者がCIM導入するに当たり課題として考えているのは、
①人材育成・教育(1,045件)、②導入コスト(ソフト・ハード)(1,037件)、③CIM知識・技術(1,031件)であり、
人材育成・教育への関心度が高いことがうかがえる(図-1)。
 

図-1 アンケート結果(CIM講演会2014開催報告より)

図-1 アンケート結果(CIM講演会2014開催報告より)


 
本稿では、「人材育成・教育」の視点から、平成26年度より九州で開催している「CIMチャンピオン養成講座」について紹介する。
 
 

なぜ九州なのか

九州地方CIM導入検討会

もちろん、CIMは国土交通省主導で全国へ展開が進められている施策の一つであるが、
九州地方整備局は、本来、発注者が具備すべきManagement(マネジメント)に主眼を置き、
平成25年7月に九州地方CIM導入検討会(委員長:小林一郎 熊本大学大学院教授)を発足させた。
これは、九州地方における建設生産プロセス全体(調査・測量・設計・積算・施工・監督・検査・維持・管理)へCIMの導入に向けて
現行制度、基準等について課題を整理・検討し、導入への促進を図るものである。
さらに事務所を巻き込む形で、職員の技術研鑽・省力化を図り、
土木技術向上によるアカウンタビリティの向上を目的とし活動が続けられている。
 

試行を通して見えてきたもの

発足に合わせる形で試行業務も始まった。
当然、そこには発注者だけでなく、建設コンサルタントや建設会社が受注者として存在している。
発注者だけの技術力向上では本来目指すべき建設生産プロセス全体の生産性向上に関しての相乗効果は得られず、
受注者側でCIMというツールを使いこなすために発注者がどのようなデータを求めているか、
建設生産プロセスで利用可能なデータとは何かについて、実践するための知識、技術力の向上も必要となった。
 

始まった人材育成・教育の議論

九州管内のCIM試行の現場では、地場の会社(建設コンサルタント、建設会社)が、
それぞれ試行錯誤しながら3次元データを作っていた。
いわゆるCIMのModeling(モデリング)である。
しかしながら、それは、あくまでもCADを駆使して作成するオブジェクトであり、そこには形の再現以外の意味はない。
そのため、2次元図面の可視化という意味で、その時々では利用可能であるが、
ライフサイクル全体どころか、次段階での利用も困難な場合が少なくない。
本来なすべきは、発注者の意図を汲み、現場の状況を理解し、
かつ建設ライフサイクルを通してデータを管理・運用をすることであり、それこそが、土木技術者の役割であり、本筋である。
つまりManagement(マネジメント)することである。
そういったマネジメントすることの重要性を理解し、実践する人材こそが今こそ必要である、育成すべきである、
との議論から始まったのが、これより紹介する「CIMチャンピオン養成講座」である。
 
 

CIMチャンピオン養成講座

平成26年7月、CIMチャンピオン養成講座は開講した。
今後予想されるCIM導入による建設生産プロセスの改善、生産性の向上を見据え、
次に示す4項目を現場で実践することのできる次世代の土木技術者を育成することこそが目的である。
 
●CIMの内容をよりよく理解し、将来を見据え、所属する会社で水平展開する
●国土交通省、地方自治体等の公共事業において自らCIMを実践する
●受発注者間、警察等関係協議等で自らCIMを活用する
●事業履行期間、データマネジメントを行う

 
講座は、月1回、全8回のスクーリングを基本とし、
インターネット掲示板(CIM-LINK、以下、インターネット掲示板での意見交換は全てCIM-LINKと記す)での質疑応答、
意見交換を通して、社内で最もCIMを理解し、実践できる土木技術者、つまりチャンピオンを養成したいと考えている。
そのため、CIMの座学と演習で構成し、座学においては、CIMの概要や国内外の動向を学ぶだけでなく、
九州管内のCIM現場での実状を理解し、知識の向上を図っている。
演習では、現在、CIMの試行において多く利用されているソフトウェアのオペレーションを学ぶとともに、
どのようなモデルが必要かについて議論しながら演習を進めている。
 
本講座が、参加者、参加会社にとって、近い将来、CIMが業界において当たり前となった時を想定し、
どのような技術者でありたいか、どのような会社でありたいかを思考する時間・場となっていればありがたい。
 
平成26年度は、九州管内に本社を置く建設コンサルタント10社の参加があった。
平成27年度は、6月より開講し、従来の建設コンサルタント数社に発注者、設備会社、建設会社も加わり、計13 社の参加があり、
本稿執筆中の平成27年11月現在、実践中である。
 
 

プログラムと参加者の反応

開催概要とプログラム

本講座は、任意団体であるCIM研究会が主催しており、小林一郎熊本大学大学院教授の研究室が中心となって構成されている。
そこに同研究室の卒業生が集い、CIMチャンピオン養成講座を運営している。
 
平成26年度は、平成26年7月26日(土)に第1回を開催し、以降、最終回となる平成27年2月14日(土)まで全8回開催した。
開催内容は、表-1の通りである。
 

表-1 平成26年度 CIMチャンピオン養成講座 開催プログラム

表-1 平成26年度 CIMチャンピオン養成講座 開催プログラム


 
各回の講座では、先ず座学から始まる。
CIMの現場で実践している卒業生が、各自で学んだこと、感じたこと等を自分の言葉で伝えているのが特徴である。
そのため、参加者と近い目線での取り組み事例であり、参考になること、すぐに実践に移せることが多いと考えている。
時間にして概ね60分〜90分程度である(写真-1、2)。
 
写真-1 第1回 福地氏による講演

写真-1 第1回 福地氏による講演


 
写真-2 第2回 小林教授による講演

写真-2 第2回 小林教授による講演


 
座学終了後は、演習である(写真-3、4)。
 
写真-3 第1回 InfraWorksの演習

写真-3 第1回 InfraWorksの演習


 
写真-4 第4回 Civil 3Dの演習

写真-4 第4回 Civil 3Dの演習


 
座学での内容を実践するためのソフトウェアを中心に構成し、ソフトウェアの基本的なオペレーションの学習というよりは、
より現場に即した使い方を身に着けられるよう構成した。
ただし、時間は限られているので、本講座で最も重要な役割を果たしたのがCIM-LINKである。
 
CIM-LINK上では、ソフトウェアに関するあらゆる質問を受け付けることとし、
時には、実際の業務で、「こういうことがしたい」「ここの数量を出したい」といった具体的な質問が投稿される。
当然、事務局が中心に回答をするのだが、講座を重ねるごとに参加者同士でも意見交換が始まり、
「こういったことができる」「こうしてはどうか」といった技術者同士の意見交換も始まった(図-2)。
 
図-2 参加者同士によるCIM-LINK上での意見交換

図-2 参加者同士によるCIM-LINK上での意見交換


 
まさに本講座の狙いであり、CIM-LINKを使用している最大のメリットである。
各回の講座間に参加者同士、事務局と参加者間で積極的な意見交換がなされることで、
次回講座で一同に会した際には、さらに深化した議論が行われる。
まさに時間の有効活用である。
 
なお、平成27年度は、平成27年6月27日(土)に第1回を開催、
本原稿執筆時には、第6回の開催(平成27年10月24日(土))を終えたところである。
最終回は、平成27 年12月19日(土)を予定している。
開催内容は表-2を参考にされたい。
 
表-2 平成27年度 CIMチャンピオン養成講座 開催プログラム

表-2 平成27年度 CIMチャンピオン養成講座 開催プログラム


 

参加者の反応

さて、平成26年度の参加者の声を見てみよう。
最終回が終わり、平成27年度の企画に際し、参加会社にアンケートを実施した。
得られた意見は次のようである。
 
●講義の中で、最新情報が多く得られ、今後の展開のためになりました。
●座学を踏まえた演習なので、とても分かりやすかった。
●Civil 3Dは実業務での利用を考えた場合、最も導入しやすいソフトであると感じました。
●CIM-LINK上で分からないことを掲示すると、ヒントや答えが返ってくるので非常に助かりました。
●他社の方との交流の場ともなるので、とても良い機会でした。
 
概ね良好な結果であり、アンケートの結果、参加者全員が、また参加したい、別の社員を参加させたい、との反応であった。
一方で、要検討事項としては、参加費や開催時期についての項目、
また休日にあたる土曜日の参加であることから、何かしらのインセンティブが欲しいとの要望が多かった。
その中でも特に参加会社が建設コンサルタントであったことから繁忙期にあたる時期は避けて欲しいとの要望が多かったことを踏まえ、
平成27年度は、6月〜12月までに8回の講座全てが終了するようプログラムを組んだ。
 

CIMチャンピオン

本講座の目的は、CADのオペレーションのスキルアップが主目的ではなく、
あくまでもCIMの現場で実践することのできる技術者を育成するところにある。
 
そこで、CIM-LINK上で投稿を多くした人、いい質問をした人を選出した(写真-5)。
平成26年度のCIMチャンピオンである。
また、ソフトウェアをよりよく理解し、実業務の中で、3次元を3次元として使い、
そこでの知見を他の参加者に展開した人を技能賞として選出した(写真-6)。
 

写真-5 平成26年度CIMチャンピオン

写真-5 平成26年度CIMチャンピオン
(株)建設技術コンサルタンツ 中村氏


 
写真-6 平成26年度技能賞

写真-6 平成26年度技能賞
(株)日本水工コンサルタント 石川氏


 
 

おわりに

CIMチャンピオン養成講座も2年目である。
昨年度は、開始年度であったにも関わらず、参加者各位の積極的な参加(座学時の質疑や演習時の参加者同士で相互に教え合ったり、
さらにはCIM-LINKへの投稿等)もあり成功の裡に終えることができたといえよう(写真-7)。
 

写真-7 平成26年度修了式(集合写真)

写真-7 平成26年度修了式(集合写真)


 
今年度は、参加会社の属性も幅広くなり、より闊達な議論が行われている最中である。
さらに参加者へのインセンティブとして本講座を土木学会認定CPDプログラム(認定番号:JSCE15-0815)として登録した。
今年度は、年間を通して参加することで、参加者は、29.3単位を取得することとなる。
 
また、積極的に自社のCIMの取り組みを外部で発表する参加者も出てきたのは一つの成果といえるだろう。
CIMは、単に図面の可視化が目的ではなく、3次元モデルだけが成果ではない。
CIMをより良く理解し、現場で実践することで、プロジェクトをマネジメントでき、ひとたび問題があれば、必要に応じICT技術(3次元CADを含む)を駆使して問題解決に向け取り組んでいくことが重要である。
結果として、土木技術者としての価値が向上し、やりがいを感じることができるはずである。
 
CIMチャンピオン養成講座が、その受け皿となり、そういった土木技術者をこれからも育成していきたい。
そして、本講座を受講した多くの土木技術者が現場で活躍することを願うばかりである。
 
 
 

参考文献

小林一郎:技術者復権−九州でのCIMの展開に向けて−、九州技報第56号、2015年1月
標鏡欺磧Ф綵C亙整備局におけるCIMへの取り組みについて、九州技報第55号、2014年7月
小林一郎:実践教育のスパイラル、土木学会誌、第99巻第10号、34-35頁、2014年
小林一郎:技術者復権−いま・ここからの発想−、土木学会誌、第100巻第6号、18-19頁、2015年
土木情報学委員会:「CIM講演会2014」開催報告、2015年2月
熊本大学・(一財)日本建設情報総合センター:CIMを学ぶ〜河川激得事業におけるCIMの活用記録より〜、2015年6月
CIM-LINK:伊藤忠テクノソリューションズ(株)、http://www.cim-link.com/、2015年11月現在
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集1「本格化するCIM」
建設ITガイド 2016
 
 



建設コンサルタンツ協会のCIMへの取り組み

2016年8月17日

 

一般社団法人 建設コンサルタンツ協会
情報部会 ICT委員会 CIM技術専門委員会
藤澤 泰雄

 


 
建設コンサルタンツ協会では、国土交通省が平成24年度にCIM(Construction Information Modeling)を開始したことを受けて、
CIM技術検討会、CIM制度検討会に積極的に参画し、CIM推進の一翼を担っている。
ここでは、主に平成26年度以降の活動について取り組み状況を報告する。
 
 

建設コンサルタンツ協会のCIM推進体制

建設コンサルタンツ協会(以下、当協会とする)では、本部内に2つの常設委員会と6つの部会を中心に、
この下部組織として26の委員会、36の専門委員会/WGを設置し、建設コンサルタンツ全般の検討を行っている。
この他に、9つの支部の下に委員会を設置し本部と連携して、または単独に地域としての活動を行っている1), 2)
 

図-1 建設コンサルタンツ協会(本部)のCIM推進体制

図-1 建設コンサルタンツ協会(本部)のCIM推進体制(関連する委員会以外は省略している)


 
CIMに対しては、図-1に示すように、特別委員会の中のCIM対応SWGが対外的な対応を、
情報部会の中のICT委員会が、技術的検討(CIM技術専門委員会)と協会内の広報活動(ICT普及専門委員会)を行っている。
 
CIM対応SWGは、技術委員会・業務システム委員会・ICT委員会のメンバーを中心に構成しており、
CIMにおける技術的・制度的な対応を検討している。
 
図-2 CIM制度検討会とCIM技術検討会との役割分担(案)

図-2 CIM制度検討会とCIM技術検討会との役割分担(案)<出典:国土交通省 CIM制度検討会>


 
 

対外活動

国土交通省のCIMを推進するために、現行の制度、基準等についての課題を整理・検討し、
CIMの導入を促進することを目的としたCIM制度検討会と民間研究機関の自主研究としてのCIM技術検討会が設置され、
当協会もメンバーとして参画している。
特に、一般財団法人日本建設情報総合センター(JACIC)が中心となっているCIM技術検討会では、
日本建設業連合(日建連)とともに技術的検討を積極的に行い、平成24年度〜平成26年度の報告書作成に協力してきた3),4),5)
 
また、平成26年度から開始された産学官協働によるCIM検討体制の構築においても、技術検討会の一員として検討に加わっている。
産学官協働によるCIM検討の成果は、
平成28年度先導的導入事業ガイドライン策定(トンネル、橋梁、河川、ダム)としてまとめられる予定になっている。
 
従来、設計側の当協会と施工側の日建連との連携はあまり行われてこなかったが、
CIMにおける設計−施工でのモデルの連携を行うために、平成26年10月〜平成27年2月にかけて
トンネルにおける設計から施工に引き渡すため3次元モデル構築(LOD、属性等)について検討を行い、
CIMトンネルモデル作成ガイドライン(案)を策定した。
一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)、一般社団法人 全国測量設計業協会連合会(全測連)も参加し、
CIMトンネルモデル作成ガイドライン(案)Ver1.0を策定しCIM技術検討会に提案した。
このガイドラインは先導的CIM導入ガイドライン(案)の一部となるように提案を行っている。
 
CIMトンネルモデル作成ガイドライン(案)Ver1.0の構成を表-1に示す。
 

表-1 CIMトンネルモデル作成ガイドライン(案)

表-1 CIMトンネルモデル作成ガイドライン(案)Ver1.0の構成


 
現在、橋梁(鋼橋、PC橋)、河川に関するガイドラインの策定に向けて、関連する公益社団法人 土木学会、一般社団法人 日本橋梁建設協会、一般社団法人 プレストレスト・コンクリート建設業協会などとともに、策定を行っている。
 
図-3 産学官CIM検討工程 <出典:土木学会 CIM講演会2015(東京) 講演資料>

図-3 産学官CIM検討工程 <出典:土木学会 CIM講演会2015(東京) 講演資料>


 
また、土木学会 米国CIM技術調査(H25年度)、欧州CIM技術調査(H26年度)に委員を派遣して、
報告書作成、講演会開催に協力を行った6),7)
 
 

協会向けの活動

対外活動とともに、協会内部では本部、支部の関連委員会で内部として対応するために検討や講習会を開催している。
 
技術的検討は、情報部会 ICT委員会 CIM技術専門委員会において、
産学官CIM検討に対応して、トンネル、橋梁(鋼橋・PC橋)、河川のWGを設置しガイドラインへの対応を行っている。
さらに、土木工事数量算出要領改訂に対応して、日建連と土量算出ガイドラインの検討も行っている(表-2,図-4)。
 

表-2 次元土量算出ガイドライン(案)ver1.0の構成

表-2 次元土量算出ガイドライン(案)ver1.0の構成


 
図-4 土量算出ガイドラインに対応した算出例

図-4 土量算出ガイドラインに対応した算出例


 
この他に、設計での対応を進めるために平成26年度から実際にパソコンを使って
設計で利用するためのCIMハンズオン講習会を実施している(表-3)。
 
表-3 CIMハンズオン講習会開催状況(CIM技術専門委員会対応)

表-3 CIMハンズオン講習会開催状況(CIM技術専門委員会対応)


 
また、CIMの考え方普及のために、ICT普及専門委員会により平成26年度には、CIMの動向と関連情報講習会を8回開催し、
本年度も同様の講習会の開催を予定している。
 
この他にも関連する委員会、支部でも普及のための活動が進められている。
 
 

今後

現在、ガイドラインの策定に向けた各WGでの検討を進めている。
こうした結果を受けて、平成28年度の策定予定の先導的導入事業ガイドラインに対応するために、
支部ごとにガイドラインに対応したCIMハンズオンの実施とガイドラインの趣旨説明の講習会の開催を検討している。
 
 
 
1)平成26年度建設コンサルタンツ協会 年次報告
2)平成27年度建設コンサルタンツ白書
3)CIM技術検討会 平成24年度報告
4)CIM技術検討会 平成25年度報告
5)CIM技術検討会 平成26年度報告
6)米国CIM技術調査2013報告書
7)欧州CIM技術調査2014報告書
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2016
特集1「本格化するCIM」
建設ITガイド 2016
 
 



 

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