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2014年1月21日
戸田建設株式会社 本社建築本部
BIM推進室 主任 松下 幸生 積算連携に向けたアプローチCMソフトによる5Dへの展開4つ目のアプローチとして、施工管理を主目的とし、数量拾い、工区別積算、工程表作成、工程シミュレーション、解析レポート発行等の機能を有する「VICO Office」(VICOSOFTWARE社)というソフトの導入に向けた検証とともに、日本市場向けアドバイスも行っている。 紙面の都合上、詳述は避けるが、米国ではUniformat、CSIといった建築積算に絡むコード体系が民間ベースで構築され、極めて多様化かつ効率的な方法で情報提供が行われている。結果、プロジェクト全般にわたり「コスト管理」手法の活用が進んでいる。一方 日本ではコスト管理の概念、手法については統一されておらず、コスト情報といった情報チャンネルも少ないといった側面を持ちながらも、その情報内容は米国と比べてもはるかにきめ細かく、手がかかっている内容となっている。 上記の違いは予定価格に対する商習慣や、社会的・文化的背景等によるものとも考えられるが、この「VICO Office」の機能を日本の建設市場で展開させるには海外のフォーマットベースではなく、オリジナルフォーマットベースによるマスターデータ構築が必要不可欠と弊社は判断した。 弊社オリジナルの内訳工事細目、科目コード、数量抽出パラメータ、工事歩掛、単価を含んだデータベースを昨年構築し、「VICO Office」に通すことに成功。パイロットプロジェクトでの仮運用を既に開始している。 今後このアプローチは『ツール』の開発局面から制度・運用といった『システム』の開発局面に入る。当然施工部門へのBIMリテラシー向上を促す方策も重要となるが、それ以上にモデルを何に使うのか、使用目的を明確にした上で、必要なデータを抽出するための必要十分なモデリングルール決めが必要となる。 施工であるから当然、コスト・工程管理が主目的となるのであるが、それらに絡む細かなオブジェクトまでモデルとして表現するのは、モデリング作業に過分な負荷を与えるだけで、ナンセンスとBIM推進室は捉えている。 モデル精度・コスト・工程管理を満たすベストバランスのモデルLODガイドラインが必要となる(図-5)。 こういった『システム』上の地盤固めの上、今後この「VICO Office」を、細分化された各種専門工事を手戻りなく円滑に進めるといった事前の労務・工程管理、パターンごとの作業手順検討によるロスコストの軽減、再調・変更対応等、適切な判断・決断を促す『ツール』として現場に訴求を図っていくが、施工段階においてこれまで補助的利用展開にとどまっていたBIMデータの利活用が、いずれこの『ツール』によりメインストリームとなっていく起点として、ワークフローへの定着といった大局的見地からもBIM推進室は期待を寄せている。 FMへの展開5つ目は、FMでの積算連携アプローチである。 モデルのLODBIMデータ利活用における積算連携について弊社の取り組みを紹介したが、BIMをワークフロー全体に適用・定着させていくには、これまで述べたアプローチでも触れたように、情報を抽出する対象であるBIMモデルとの関連、干渉も重要な要素となってくる。 先述した通りBIM推進室では弊社独自のテンプレート、モデリングルールの構築も進めているが、その中では川上部分で構築した3次元統合モデルに対し、工程ごとに必要なモデルを編集し直し、作り直していくといった重ね書きや追記という手順の標準化も行っている。 今後BIM推進室はワークフローの中でLODごとにおけるBIMモデル構築の負担と責任、インセンティブといった新たな建築業務の責任と役割分担に関するガイドラインを具体化させ、ワークフローへの適用と定着を狙う。 最後にBIMをワークフロー全体に適用してく過程で、どのようなデータをどのように流していくかといったデータ利活用の検討を通し、改めて『全体最適志向』への転換の必要性を痛感している。 建設ITガイド 2013 特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」 ![]() |
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戸田建設株式会社 本社建築本部
BIM推進室 主任 松下 幸生
はじめに戸田建設株式会社におけるBIMへの取り組みは企画・基本設計段階での開始より既に5年になる。昨年、本誌前号においても弊社の取り組みについて紹介させていただいたが、その後もBIMの活用法が種々検討され、コンピュータの性能やソフト成熟度の向上によりBIMのさらなる急速な広がりと進展、BIM推進への機運の高まりといったものを実感している。 積算連携に向けたアプローチBIMでは企画から設計、施工、FMまで一貫して、統合されたデータを活用していくことでより大きなメリットを得ることができるため、ワークフロー全体でどのようなデータを、どのように流していくかといったBIMデータの利活用の検討が重要となる。 営業概算ツールの運用1つ目のアプローチは本誌前号でも既に報告させていただいたが、企画・営業段階で提供された敷地情報を基に、建物ボリューム・外観パース・概算金額を自動作成、計算する「戸田建設BIM営業概算ツール」である。概算手法は総価法に統計法、比較法、区分法で補正をかけていく方法をとる(図-1)。 BIMツール内の積算機能2つ目のアプローチは、「ArchiCAD」(グラフィソフト社)等BIMアプリケーションソフトの積算機能の利活用について紹介する。 昨今、概算決定した設計・施工案件で原価の回復が図れないケースが発生し、設計段階でのコスト管理の重要性が問われ直されていること、またこのアプローチからの抽出数量が実数であることから、BIM推進室としては設計段階における確認数量としての活用を視野に入れ、運用ルール決めを行っている。 BIMツールの外部出力データと建築積算システムの連携3つ目のアプローチとして「ヘリオス」(日積サーベイ社) というBIMソフト連動積算ソフトでの連携検証を進めている。 BIMデータの利活用に向けた積算連携アプローチ《後編》 【出典】 建設ITガイド 2013 特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」 ![]() |
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2014年1月9日
パソコンとの違いは信頼性と安定性 ノート型も高性能のグラフィックボードを搭載
建設ITジャーナリスト 家入 龍太
24時間稼働が前提のワークステーションBIMでの設計には「ワークステーション」というコンピューターがよく使われます。ワークステーションといっても、OSやCPUの種類、メモリーやハードディスクの容量など、スペックだけを見るとパソコンとの違いがよく分かりません。 (写真提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社)
グラフィックボードが設計効率を決める一般のパソコンのマザーボードに標準搭載されているグラフィックボードの多くは、BIMソフトでは、ほとんど使い物になりません。グラフィックボードが3次元データの画像処理を担っているからです。 建設ITガイド 2013 特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」 ![]() |
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