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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

人と自然を守りたい−余力を提案力に変える砂防えん堤計画CAD−

シンワ技研コンサルタント株式会社

砂防えん堤計画・設計・製図SABOシリーズ

会社概要 シンワ技研コンサルタント株式会社
所在地:鳥取県米子市
資本金:3,000万円
従業員数:89名 

 シンワ技研コンサルタント株式会社は、中国地方の最高峰・大山をはじめ中国山地の山々が連なる鳥取県に本社を置く、地域密着型の建設コンサルタントである。昭和34年の創業以来、山陰地方を中心に幅広い分野の測量、設計、調査、補償などの業務に従事している。今回は、設計部の野口次長、岩田課長、石倉係長に、河川・砂防分野の設計業務について話を聞いた。

シンワ技研コンサルタント株式会社
シンワ技研コンサルタント株式会社 設計部
左から 岩田氏、野口氏、石倉氏


基準改訂を好機に

 シンワ技研コンサルタントでは、2008年10月に、砂防えん堤の計画・設計・製図にまつわる一連のソフト「SABOシリーズ」(川田テクノシステム)を導入した。基準が改訂され〔平成19年11月に発行された「砂防基本計画策定指針(土石流・流木対策編)及び同解説」「土石流・流木対策設計技術指針及び同解説」〕、これまでのやり方が大きく変化したためだ。

−やはり、基準改訂の影響は大きかったのでしょうか?
 大きかったですね。指針に流木への対応が盛り込まれましたので、これまで「不透過型」が主流だった砂防えん堤の形式に、「透過型」や「部分透過型」が多用されるようになり、これらの形式を比較する必要が出てきました。これによって大きなインパクトを受けるのが「予備設計」です。


予備設計の効率化に期待

シンワ技研コンサルタント株式会社 予備設計は、砂防えん堤を設置するに当たって最も効果的な位置や規模などを決定するための、いわば基本部分。 「この場所に設置したら高さは10mだけど、さらに上流だと何mで・・・」といった具合に、条件に応じて比較するケースが増加していくわけですが、ここに形式の検討を加えると、比較するケースは相乗的に増えていきます。

−その作業を、SABOシリーズ導入以前はどうやっていたのですか?
 それが手作業なんです。計算部分は、Excelを使って自社でプログラムを組んでいましたが、予備設計は発注者から貸与された地形図を元に、手作業で、もちろん業務内容にもよりますが、1〜2週間くらいかけて仕上げていました。逆に、それくらいの期間で納めないと、採算が取れないのです。
 予備設計は、えん堤設置の最も基本部分となる重要な仕事ですので、作業としてはかなり手間がかかるのですが、詳細設計に比べて単価が安いのが現状です。予備設計〜詳細設計まで一括で受注できるとは限りませんから、予備設計だけでも充分黒字が出せるよう、スピーディーに成果を上げる必要が出てきました。

−それが、SABOシリーズを導入された決め手でしょうか?
 その通りです。
1.基準改訂によって砂防えん堤の形式が多様化し、比較検討の作業が増えた
2.低価格の入札にも対応できる、効率化が求められた
という点に加えて、
3.防災という、今後伸ばしていくべき分野に対する投資であった
という点も挙げられるでしょう。
 鳥取県は、西部に花崗岩地帯が広がり、土砂災害は決して少なくありません。県も、防災対策には積極的に取り組んでいます。当社としても、この分野を伸ばしていく必要があったのです。


設計変更が苦にならない
シンワ技研コンサルタント株式会社
−効果はいかがでしたか?
 予備設計での比較検討の効率化は、予想以上でした。1週間かかっていた作業が、ほぼ1日〜2日で終わります。
 また、自然相手の業務ですので設計変更が多く、詳細設計の段階で予備設計にまで立ち戻るような変更を余儀なくされる場合もあります。こうした手戻りは、手作業であればその分持ち出しになっていましたが、ソフトを使えば変更値を入力するだけで即座に対応できるのが大きな収穫でした。
 しかも、SABOシリーズの導入は、こうしたスピードアップだけではなく、その先にあるプラスαの効果をもたらしました。



砂防えん堤計画CAD「V-SABO/Plan」を使って計算した結果を図面で確認
シンワ技研コンサルタント株式会社  シンワ技研コンサルタント株式会社   シンワ技研コンサルタント株式会社
地形平面図               渓流縦断図               渓流横断図


渓流の美しさに感じた提案力の重要性

−そのプラスαとは何でしょうか?
 提案力です。以前、土砂災害の調査で地元の渓流を歩いたことがありましたが、その景観が実に美しく、「ここに砂防えん堤を設置したら、この景色を台無しにしてしまうんじゃないか?」と思ったんです。沢蟹が生息する本当にきれいな川で、できればこのままにしておきたい。しかし、人命が係わることですからそうも言っていられません。このような時に、「V-SABO/Plan」を使えば、くり返し検討がスムーズですので、安全面、経済面への配慮だけでなく、なるべく景観を損なわないように配慮した提案を1案も2案もプラスできるようになります。
 今は、提案力が問われる時代です。新しい提案をしないと仕事が取れない。それには、ITを利用して効率化できる部分は徹底的に効率化し、余力を提案力に変えること、これがプラスαです。 −詳細設計ではどういった点が有効でしょうか?
 「V-SABO/Draw」で、ある程度のレベルに達した図面が非常に短時間で自動製図されます。これまで設計図面は納期直前に完成することが多かったのですが、早い段階で完成形に近いものが作図できますので、発注者がイメージしやすい説明資料を用いた打合せが早期に行えるのは大きなメリットです。


柔軟性を生かした対応を

−今後の展開などお聞かせ下さい。
 たとえばの話ですが、現在100%と義務付けられている整備率を、他の条件によっては50%や80%でよしとするケースも出てくるかもしれません。実際、砂防えん堤の設置を必要とする個所は鳥取県内で数千件に上るわけですから、今後は予算を含めた複合的な条件を考慮しなければならないでしょう。そうした場合でも、フレキシブルに対応できるのではないかと期待しています。


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