施工現場IT化の新たな流れ【RTK-GPS+EX-TREND武蔵】を土木施工の現場にCALS/ECが最終段階に近づいた今、土木現場のIT化にも新潮流が生まれている。電子納品対応のためだけでなく、受注者自身の効率化とコストダウンを目指す動きだ。ここではそんな取組みの一例として、RTK-GPSを導入し成果を挙げた、群馬県の池原工業を紹介する。 会社概要 「ありえない」工期を求められた造成工事 群馬県の池原工業は、県下随一の規模・実績を持つゼネコンとして県下の土木業界をリードする存在である。だが、そんな同社にとってもきわめて厳しいスケジュールを求められたのが、国土交通省八ッ場ダム工事事務所発注の「久之桐地区・一本松地区造成工事」だった。同工事久之桐地区の現場代理人を務めた一場幸弘氏は語る。
通常なら1年かける規模だったが、実際に与えられた工期は3カ月。経験豊富.な一場氏にとっても「あり得ない」スケジュールだった。 「本当に3カ月で終われるのかとても不安でした。通常、工事が始まればある程度先が見えきますが、この案件は、最後までまったく見えませんでした」(一場氏) 通常の4分の1の工期では、従来通りのやり方では間に合わない。あらゆる点で効率化を図り工期を短縮する必要があった。その1つが測量作業の効率化だった。 RTK-GPSを土木施工の現場へ 「RTK-GPS」は、1台のアンテナと受信機を測量の基準となる参照地点に固定し、移動局を数多くの測点に移動しながらデータを取得する測量手法。測位時間は1秒から1分程度と短く、測位誤差も2〜3cmと極微なのが特徴だ。池原工業が導入したのは、トプコンのRTK-GPS測量システム「GR-2100」シリーズに福井コンピュータの土木システム「EX-TREND武蔵」を組み合わせたシステムだった。実際に現場でこのシステムを使った二宮氏は語る。
ケーブルレスの移動局はフットワークが良く計測時間も極端に短いので、使用者は1人で持ち運び容易に位置を求められる。しかも「GR-2100」は、40個ものグロナス衛星が利用できる国内唯一のGNSS技術を搭載し、測量結果もきわめて正確だ。現場で測位を終えたら、事務所に戻り「EX-TREND武蔵」にデータを取り込んで整理。「EX-TREND武蔵」なら座標計画や横断図データも自動作成でき、出来形管理も効率的。もちろん電子納品完全対応だから電子納品関連業務もスムーズ。導入効果はまさに絶大だった。 「広い現場では出来高や品質管理にも人数が必要で測量も2〜3人で行っていました。しかしRTK-GPSなら1人でできる。当然、騒音の中を大声でやりとりする必要もありません。測量作業全般が驚くほど効率化されましたね」(一場氏) もう一つの特徴は、取り扱いが簡単で操作も分かりやすく、修得が容易だという点である。実際、今回の池原工業の現場では、ほとんどぶっつけ本番に近い導入だったにもかかわらずトラブルはなく、最初からフルに稼働できたのだという。 「導入時に1〜2回基本的な操作を教わっただけで、後はもうぶっつけ本番(笑)。最初はとまどいもありましたが、2〜3日使ったらマスターしました」(二宮氏) 新たな現場IT化の核となる「EX-TREND武蔵」 このような土木現場でのGPSの活用事例は、実は確実に増え始めている。今回のシステムを開発・提供したトプコンの測量機器事業部、吉田剛氏は語る。
実際、現場を工夫して効率化し工期を短縮すれば評価点は上がり自社コストは下がるのだから、施工会社が工夫を凝らして効率化を図ろうとするのは当然だ。その流れの中でGPSも首都圏も含めた全国の土木業界へ急速に普及し始めている。吉田氏と同じくトプコンの測量機器事業部の稲葉氏は語る。
このように新技術を活用して現場効率化を図ろうという流れは活発化している。その意味で、現場業務を支援するITツールの役割は、一段と重要なものになっている。今回の池原工業の現場では、「EX-TREND武蔵」が各種の先端技術ツール/ソリューションと技術者を結ぶハブ的な役割を果たした。現場ニーズだけでなく、新技術に対応したITツールの導入・活用こそが、現場IT化の成功のカギといえよう。 |