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成功事例集

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受注者自身の業務効率化のために〜

群馬県吾妻郡吾妻町 池原工業株式会社

施工現場IT化の新たな流れ【RTK-GPS+EX-TREND武蔵】を土木施工の現場に

CALS/ECが最終段階に近づいた今、土木現場のIT化にも新潮流が生まれている。電子納品対応のためだけでなく、受注者自身の効率化とコストダウンを目指す動きだ。ここではそんな取組みの一例として、RTK-GPSを導入し成果を挙げた、群馬県の池原工業を紹介する。

会社概要
池原工業株式会社
所在地:群馬県吾妻郡吾妻町
設立:明治30年
資本金:9,800万円
従業員数:150名
主な事業内容:土木、建築、舗装、浚渫、上下水道他

「ありえない」工期を求められた造成工事

 群馬県の池原工業は、県下随一の規模・実績を持つゼネコンとして県下の土木業界をリードする存在である。だが、そんな同社にとってもきわめて厳しいスケジュールを求められたのが、国土交通省八ッ場ダム工事事務所発注の「久之桐地区・一本松地区造成工事」だった。同工事久之桐地区の現場代理人を務めた一場幸弘氏は語る。

一場幸弘氏 「ダム建設で移転する学校の新グラウンドの造成工事でしたが、新学期に間に合わせるため工期が非常にタイトで……」(一場氏)

 通常なら1年かける規模だったが、実際に与えられた工期は3カ月。経験豊富.な一場氏にとっても「あり得ない」スケジュールだった。

 「本当に3カ月で終われるのかとても不安でした。通常、工事が始まればある程度先が見えきますが、この案件は、最後までまったく見えませんでした」(一場氏)

通常の4分の1の工期では、従来通りのやり方では間に合わない。あらゆる点で効率化を図り工期を短縮する必要があった。その1つが測量作業の効率化だった。
 「山を切って進めるには発破も仕掛けますし、大型のダンプトラックも出入りします。それらの振動が測量作業に支障をきたすので、従来は測量作業時は機械を止めダンプを通行止めにしたり、早朝や夜に行っていました。しかし、今回そんな時間はありません。そこで導入したのが、RTK-GPSを利用した測量手法です」
(一場氏)

RTK-GPSを土木施工の現場へ

 「RTK-GPS」は、1台のアンテナと受信機を測量の基準となる参照地点に固定し、移動局を数多くの測点に移動しながらデータを取得する測量手法。測位時間は1秒から1分程度と短く、測位誤差も2〜3cmと極微なのが特徴だ。池原工業が導入したのは、トプコンのRTK-GPS測量システム「GR-2100」シリーズに福井コンピュータの土木システム「EX-TREND武蔵」を組み合わせたシステムだった。実際に現場でこのシステムを使った二宮氏は語る。

二宮真吾氏 「システムは衛星の電波を受信し位置を確定する固定局と、実際に測量を行いたい各位置を確定する移動局、得られたデータを処理・活用するEX-TREND武蔵の三者で構成されています。作業は非常に簡単で、固定局をセットすれば後は移動局を持って現場内を回り、測量したい場所にセットしリアルタイム更新されるデータを記録するだけ。1点測るのに30秒もかかりません。もちろん後のデータ処理や活用も、EX-TREND武蔵と連携させれば非常にスムーズです」(二宮氏)

 ケーブルレスの移動局はフットワークが良く計測時間も極端に短いので、使用者は1人で持ち運び容易に位置を求められる。しかも「GR-2100」は、40個ものグロナス衛星が利用できる国内唯一のGNSS技術を搭載し、測量結果もきわめて正確だ。現場で測位を終えたら、事務所に戻り「EX-TREND武蔵」にデータを取り込んで整理。「EX-TREND武蔵」なら座標計画や横断図データも自動作成でき、出来形管理も効率的。もちろん電子納品完全対応だから電子納品関連業務もスムーズ。導入効果はまさに絶大だった。

 「広い現場では出来高や品質管理にも人数が必要で測量も2〜3人で行っていました。しかしRTK-GPSなら1人でできる。当然、騒音の中を大声でやりとりする必要もありません。測量作業全般が驚くほど効率化されましたね」(一場氏)
 「一場さんが言う通り、RTK-GPSなら1人で方向・位置・高さを全部見られて丁張りも付けられるし、測量もできる。…これがどれほどすごいことか、現場の技術者なら分かるでしょう」(二宮氏)

 もう一つの特徴は、取り扱いが簡単で操作も分かりやすく、修得が容易だという点である。実際、今回の池原工業の現場では、ほとんどぶっつけ本番に近い導入だったにもかかわらずトラブルはなく、最初からフルに稼働できたのだという。

 「導入時に1〜2回基本的な操作を教わっただけで、後はもうぶっつけ本番(笑)。最初はとまどいもありましたが、2〜3日使ったらマスターしました」(二宮氏)

新たな現場IT化の核となる「EX-TREND武蔵」

 このような土木現場でのGPSの活用事例は、実は確実に増え始めている。今回のシステムを開発・提供したトプコンの測量機器事業部、吉田剛氏は語る。

吉田剛氏 「例えば北海道では品確法の総合評価方式がかなり浸透し、公共工事のあり方自体が大きく変わってきました。入札も、以前はともかく価格の安い所が取っていましたが、最近は発注者への提案内容などもポイントになっています。工夫し提案していくことの重要さに受注者も気付き始めていますね」(吉田氏)

 実際、現場を工夫して効率化し工期を短縮すれば評価点は上がり自社コストは下がるのだから、施工会社が工夫を凝らして効率化を図ろうとするのは当然だ。その流れの中でGPSも首都圏も含めた全国の土木業界へ急速に普及し始めている。吉田氏と同じくトプコンの測量機器事業部の稲葉氏は語る。

稲葉恭彦氏 「北海道以外の地域の土木会社の意識も変わり始めました。数年前までは施工業者の方に“GPSって何?”と聞かれたものですが、最近は“これがGPSか!と言い始めた。関心は非常に高まっています」(稲葉氏)

 このように新技術を活用して現場効率化を図ろうという流れは活発化している。その意味で、現場業務を支援するITツールの役割は、一段と重要なものになっている。今回の池原工業の現場では、「EX-TREND武蔵」が各種の先端技術ツール/ソリューションと技術者を結ぶハブ的な役割を果たした。現場ニーズだけでなく、新技術に対応したITツールの導入・活用こそが、現場IT化の成功のカギといえよう。

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