ザクティ 遠隔支援/遠隔臨場用ウエアラブルカメラ CX-WE100シリーズ

岩田地崎建設株式会社
所在地:札幌市中央区
創業:1922年
資本金:20憶円
従業員数:806名(2022年11月1日現在)
主な事業内容:建築・土木工事、舗装工事、建築設計および工事管理、不動産売買、など
北海道を拠点とする岩田地崎建設株式会社では、創業100周年を迎え”新しいステージ”としてDXを推進している。
背景は、同社の抱える深刻な”担い手不足”。
さらにコロナ禍も相まって、一人当たりの負担は増加傾向にある。
そのような状況の下、業務の効率化および生産性向上策の一つとして効果を上げつつあるのが遠隔作業支援・遠隔臨場である。
それを支えるのが、ウエアラブルカメラCX- WE100シリーズを核としたザクティの遠隔支援ソリューション。
なぜザクティを選んだのか、その理由と効果について話を伺った。
北海道建設業の課題と解決アプローチ
当社が本社を構える創業の地、北海道は、広域分散型社会+人口減少先進地という特性に加え、積雪寒冷な気候という、建設業においては厳しい環境にある。
この地で創業し2022 年4 月で100周年を迎えた当社にとって、いま求められているのは、デジタルトランスフォーメーション( DX )、生産性向上を図るための取り組み、Withコロナ時代における働き方改革の推進・実現であると実感しており、それに向け社会の動向や技術の進歩を常に注視しながらこれまでの100年とは違う“新しいステージ”での展開の必要性を、昨今ますます強く感じている。
ICT活用の必然性
当社が抱える課題の中でも、堅調な建設需要に対する人手不足の深刻度合いは高く、技術者の高齢化や担い手不足の中でも建設投資は維持拡大しているため、一人当たりの負担が増加傾向にある。
そこで、ICTを活用した建設現場の生産性向上、それらを支えるICT 人材育成が急務となっていた。
With/A fterコロナ対応として急速に普及した「リモート業務の定着」や4GLTE・高速Wi-Fiの普及や5Gの登場でリアルタイム映像伝送が可能となった通信環境の実現などの社会インフラが整っていく中で、当社は現場映像を共有し遠隔から確認する遠隔作業支援・遠隔臨場の実証を他社に先駆け進めてきた。
遠隔臨場に必要不可欠な “驚くほどブレない” ウエアラブルカメラ
遠隔作業支援用カメラの課題
当社では、まず、現場の映像を手軽に撮影できるスマートフォンや小型のカメラなどで試行運用を開始した。
しかし、実際に運用してみると、手ブレによる映像酔いや暗所での画質劣化などで、特に見ている側の負担が大きく作業効率の向上にはつながらなかった。
また、国土交通省関東地方整備局の遠隔臨場実施要綱(2022年5月25日付)の中で、手持ちのスマートフォンなどによる撮影、いわゆる「歩きスマホ」を危険と判断し実質禁止している点も重視し、現場の安全面からヘルメットや作業服に簡単に取付可能で、ハンズフリーで撮影できるものが必須と考えていた。
ここが違った!ザクティの遠隔臨場カメラシステム
そこで、当社で現場のDX化を推進するICT 推進部は、スマートフォンなどに代わるソリューションとして、2020年12 月に初めてザクティの遠隔支援ソリューションの試運用を行った。
導入に際して重視し、かつザクティを採用して感じたメリットは、1)導入コストが抑えられる点、2)すでに社内で使用しているタブレットやスマホなどの端末との接続が容易な点、3)ワンタッチ接続機能の利用で外部カメラとして簡単につながる点である。
また、遠隔支援ソリューションのキーデバイスとなるザクティの業務用ウエアラブルカメラ CX-WE100 シリーズは、遠隔臨場で求められる次の3つの要素を満たしている点で、他にはない優位性を感じた。
一つ目は、同社が「驚くほどブレない」と謳うブレ補正機能である。
ザクティ独自のブレ補正技術「エクスタビライザ」は、航空機の機体制御技術「クォータニオン」をカメラの揺れ補正に適用した技術である。
カメラ内の角速度センサーと加速度センサーでカメラ姿勢と重力方向を検出し、地軸に対して水平を維持しながらカメラ姿勢の変化がキャンセルされるように画像処理で補正を行うアルゴリズムを設計し、専用の画像処理エンジンに搭載することで、リアルタイムかつ高精度な揺れ補正を実現している。
「作業員のどんな動きに対してもきっちりとブレを補正してくれ、安定した映像を伝送できる」とICT 推進部 飯田百合亜氏。
この点は、遠隔臨場を行うに当たり、見る側の立場から非常に重視されるポイントであり、実際に護岸改築工事現場の遠隔立会で使用した際に、発注者側から高評価を頂くことにつながった。
二つ目は暗所でも細部まではっきりと映し出せる高画質である。
ザクティが 20 年以上にもわたるデジタルカメラ開発で培ってきた画像処理技術を駆使し、遠隔臨場に最適な画質を実現している。
「ミリ単位の目盛りまで読み取ることができ、作業現場の様子や、段階確認、材料確認などがスムーズに行えた。
薄暗い環境でも見やすい映像が届くので、遠隔からでも十分現場の状況を把握できた」と飯田氏。
三つ目は現場でも容易に使い回せる取り回し。
CX-WE100 は重量わずか 95g、ヘルメットに装着する着脱式マウントを使うため、作業者はハンズフリーの状態で作業に集中できる。
軽量設計ながら、カメラ本体は防水防塵等級IP65対応であり、過酷な作業環境にも耐えられる仕様。
さらに、導入に当たり会社貸与のiPhoneにLightningケーブルで接続し、日常的に社内で使用している汎用 Web会議システム( Teams/Zoom )などでリアルタイムに現場の状況を共有できる点も採用のポイントであった。
追加のネットワーク敷設も不要なことから現場の混乱も少なく、スムーズかつ低コストで導入できた理由でもある。
加えて、当社では、見る側がより簡単に現場とつながることが可能となるザクティのワンタッチ接続サービスも利用。
「これにより、本部(監督者、発注者、本社検査員など)からいつでも見たい時に現場カメラにアクセスができ、利便性がますます高まった」とICT 推進部 明石学氏。

遠隔支援ソリューション導入現場での活用事例と効果
遠隔臨場で使用
工事名:東京支店 調整池及び付替道路整備工事
装着者:現場担当職員
本部・遠隔監督者:現場事務所・支店・発注者(担当監督員)
「監督員・現場・事務所の3 者が状況を確認しながら同時に会話できるので、監督員の不意な質問に対して、事務所の職員が図面や資料を即時に提示し対応可能。
問題点、疑問点をその場で解決することができ、業務の省力化につながった」と、発注者からも高評価を受けた。

社内検査に活用
工事名:北海道本店 道路改良及び函渠設置工事
装着者:現場担当職員
本部・遠隔監督者:本社 検査課 社内検査員、品質試験場 担当官、現場事務所
「現場試験の目盛りもハッキリ確認することができ、カメラも小型・軽量であるので、扱いやすかった」と、現場側職員からも好評。
日常の若手職員のみまもり・遠隔指示に活用
工事名:建築系施工現場
装着者:現場配属若手職員
本部・遠隔監督者:本社施工部署、現場事務所 他
「画質が良いので現地に足を運ばずに概要を把握できるので、的確な指示が現場に届く。
照度が低くても綺麗に見える」と業務の効率化やコスト削減に貢献。
遠隔支援ソリューションのさらなる活用
ザクティの遠隔支援ソリューションに対して、ハードウエアを含めたトータルソリューションに求める進化としては、無線モデルの画質改善や、作業記録・エビデンスとして装着者・監督員側両者の顔認識ができるデータベースとの連携など、将来への期待も大きいが、現状でも、ウエアラブルカメラを用いた現場作業支援では、作業者の目線でリアルタイムに現場の状況確認を行うだけにとどまらず、若手職員の指導や教育にも大いに活用している。
また、リアルタイムでの現場の見守りや工程作業の進捗確認の他、クラウドサービスを活用し、作業の効率化の検証や現場作業状況としてクラウド上に録画されたデータを職員向け教育資料などにも継続して利用していくことを推進していきたい。
明石氏は、「ICT推進・ DX化は、当社だけでなく、建設業界の未来にとって不可欠であり、また、それを推し進めることにより、業界全体の残業規制、働き方改革、人材確保、などの課題解決につながると感じている」と、今後の広がりに期待を寄せている。
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