蔵衛門DX

大成建設株式会社
所在地:東京都新宿区
設立:1873年10月
資本金:約1,227億4,216万円
従業員数:8,572名(2021年3月31日現在)
事業内容:総合建設業
https://www.taisei.co.jp/
大成建設株式会社は、明治6年創業。業界屈指の老舗企業で、全国に支店と営業所を展開、国立競技場をはじめ新阿蘇大橋の建設など、日本を代表するプロジェクトをけん引してきた。
海外でも台北、中東のドーハ、シンガポール、クアラルンプールなどを拠点に、最先端技術を要する大規模工事を手掛けている。
今回は、札幌市の再開発プロジェクトを手掛ける同社札幌支店を取材。
現場監督を務める飯島秀斗氏に話を伺った。
2024年問題、待ったなし!
大成建設と「蔵衛門」との付き合いは長く、初導入は2006年。現在は社内で3,000人以上が「蔵衛門Pad」や「蔵衛門御用達」などを利用している。
そんな大成建設もまた、建設業界共通の課題を抱えていた。2024年問題だ。
建設業界では、働き方改革の猶予期間終了に伴う「2024年問題」の解決が大きな課題となっている。
大成建設でも、重要な課題として捉えていた。
残業時間にも上限が規定される。
例えば現在の労働基準法には、法定労働時間を超える残業時間は「月当たり45時間、年360時間」という上限が原則として規定された。
2024年4月からは、建設業界もこの対象となる。
これを守らないと6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金。
加えて企業イメージの低下にもつながる。
「法律を守ること自体も大切ですが、その法律が従業員の生活や健康を守ってくれるのも事実。働き方改革は、やはり必要なんですよね」
飯島氏は2024年問題を業界の障壁としてではなく、建設業が解消すべき喫緊の課題として前向きに捉えているようだ。
大成建設は、この課題をどのように解決したのだろうか。
蔵衛門DXで工事写真業務を分業化
大成建設では、まず現場の作業で監督の負担が大きい業務を効率化することが有効と考えたという。
そこで注目したのが「蔵衛門DX」だ。
「先にお話した通り、弊社では以前から『蔵衛門Pad』や『蔵衛門御用達』を使用していて、操作に慣れていました。日常の写真業務という分かりやすさに加えて、ゼロからの教育が不要という点も『蔵衛門DX』の魅力だったのです」(飯島氏)
ただ、以前から「蔵衛門」を使っていた大成建設は、写真業務はすでに効率化されていたとも思える。
「『蔵衛門Pad』で電子小黒板付き写真の撮影をして、それらをPCソフト『蔵衛門御用達』に取り込むことで、自動的に写真台帳を作成する。このワークフローは、今までの工事写真業務を大きく効率化しました。しかし『膨大な数の写真を撮影する』という写真業務の宿命は、やはり避けられませんでした」(飯島氏)
膨大な数の写真撮影。
確かに、それは工事写真の宿命かもしれない。また、大量の写真を撮るということは、大量の黒板を使うということでもあり、作成の手間と時間がかかる。
「そこで私たちは、この宿命を『分業』で乗り越えたのです」
クラウド対応で分業化が容易に!
飯島氏の現場では、以前は黒板の作成から現場での撮影、そして台帳の作成まで、全て現場監督の飯島氏がひとりで行っていた。
これを「黒板作成」チーム、「写真撮影」チーム、「写真管理」チームに分けて、それぞれの作業を分業するようにワークフローを変更。
黒板の作成は本社の業務支援室が担当してくれた。
「『蔵衛門DX』がクラウドに対応してくれたおかげで、工事に携わるメンバーは、撮影チームの写真や黒板作成チームの黒板をクラウド上で参照、共有して活用できるようになりました。現場事務所や業務支援室からもPCのインターネットブラウザーで蔵衛門クラウドにアクセスでき、工事写真業務の分業が非常に容易になりました」(飯島氏)
さらに「写真撮影」チームには、飯島氏の部下2名を任命。
これにより、同時に撮影できる枚数が単純計算で2倍になった。
つまり、写真撮影が今までの半分の時間で済むようになったのだ。
「撮影された写真は、クラウドへ自動的に保存されます。私はそれらを事務所から確認して、随時台帳化していくことが可能になりました。もはや、撮影のために現場に行く必要すらなくなったのです」
1日当たり残業2時間減!しかもサービスのクオリティーをしっかりと維持
その結果「残業1日当たり2時間減」を実現。
「工事写真業務に割く時間は6~7割削減されましたね」(飯島氏)
ちなみに、撮影をここまで効率化できたポイントは「黒板の共有」と飯島氏は言う。
「クラウドに保存された黒板から、そのとき使うものをその場で選んで撮る。ただそれだけのことですが、膨大な量の黒板から選ぶのは、実は大変なんです。撮影の分業の成否は、ここで決まると言ってもいいでしょう。例えば『蔵衛門PadDX』で黒板を表示すると、一画面に多くの黒板を表示できます。これは旧『蔵衛門Pad』から非常に便利になった点です。PCで見る場合、もっと表示できますしね。また、黒板を場所や工種などで手軽に絞り込むこともできます。しかも、これらの表示や操作がクラウドとは思えないほど速いんです」
また、サービスのクオリティーを維持したまま上記メリットが得られることも大きいという。
「私たち大成建設は、工事に関するあらゆる品質を大切にしています。お客さまと従業員、どちらにも高い満足度を提供するという志があります」
「蔵衛門DX」はその点でも期待どおりと、飯島氏は語る。
「電子小黒板付き工事黒板や、工事写真台帳の見やすさ、美しさは手書きのものとは段違い。また、細かな点ですが、未撮影の黒板だけを絞り込むことで撮り忘れを防止するといった機能まである。大変心強いですね」
現場スタッフだけでなく建物を発注されるお客さまにも喜んでいただく。
そこには、DXのあるべき姿が見えた。
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