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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

現場のサーバーをクラウドストレージに-社内外の関係者とリアルタイムの情報共有を実現-

戸田建設株式会社

Dropbox Business

池端 裕之 氏 齋藤 年広 氏 坂口 慎治 氏 青木 優和 氏

戸田建設株式会社
所在地:東京都中央区
創業:1881年1月
資本金:230億円
(2021年3月31日現在)
従業員数:4,160人
(2021年3月31日現在)
主な事業内容:総合建設業
https://www.toda.co.jp/

(左から)                               
本社建築工務部 生産システム推進1課長 池端 裕之 氏         
東京支店 作業所長 齋藤 年広 氏                    
東京支店 設備工事課長 坂口 慎治 氏                  
国際支店 管理部 青木 優和 氏                     

 

戸田建設は、創業から140年以上にわたり、建築・土木や都市開発、不動産、発電事業など幅広い領域で事業を展開、発展を続けてきた。
そんな同社では、工事作業所だけでなく協力会社をも含めた情報共有システムを構築した。
現場などで日々発生する多くの課題や変更をリアルタイムでファイル共有を実現したという。
そのシステムの土台ともいえるDropboxの導入について、その背景や効果、今後を伺った。

 

 

作業所ごとのサーバーが社外とのスムーズな情報共有の障壁に

 
従来、戸田建設では、図面や写真、工程表などの工事用データを編集、保管するため、オンプレミスの物理サーバーを工事作業所ごとに設置していた。
建設工事では設計監理事務所や協力会社など多くの関係者が、日常的に更新される図面や各種書類を編集・チェックしているが、物理サーバーにアクセスできるのは主にゼネコン社員だけであった。
 
「そのため建設工事作業所に勤務するゼネコン社員は、大容量の図面ファイルを圧縮し、メールや専用のファイル転送サービスで送る、社外向けのファイルストレージを別途用意するなど、工事情報の共有に多くの手間とコストを費やしていました」と同社生産システム推進1課長の池端裕之氏は話す。
情報共有のスピードが重視される建設工事において、例えば社外関係者に図面をメールで送る際にも、ファイル送信作業自体に手間がかかることも不便な点だった。
 
さらに、この運用方法はファイル管理の煩雑化も抱えていた。
毎日100通近く届くメールの中には図面が添付されたものも多々あり、どれが最新版の図面かを確認する手間、圧縮・パスワード管理された図面の解除と、図面を工事内容ごとに分類されたフォルダに保存する手間などがかかっていた。
 
「建築工事では、図面の線を1本間違えただけで膨大なコストと手戻りが発生する場合があります。これを防ぐために、毎回、電話で『何時何分に送ったメールのどのファイルが最新か』を確認しなければいけませんでした」と同社で実際に建設現場を運営する、作業所長の齋藤年広氏は振り返る。
 
加えて、各作業所の社員を悩ませていたのが、物理サーバー上のデータを誤って消去する操作ミス。
一度削除したファイルは簡単に復元できないため、古いバージョンのファイルから再度作成する必要がある。
ミスが起こるたびに無駄な作業が発生していた。

戸田建設株式会社


高度な検索性を評価

 
折しも、本社ビルの建て替えに伴う仮社屋への移転が2019年12月に決まっており、この移転に向け、従前の課題解決に取り組むこととなった。
建設工事作業所のファイルサーバークラウド化に先立ち、仮社屋ビルへの移転をする内勤部門からクラウド化を進めることとなった。
そして、情報共有の迅速化だけでなく、BCPの強化とファイルサーバー設置スペースの削減を実現することで、その実施例を基に、全国の工事作業所への適用を開始することとした。
 
なお、同社は以前から、社内ワーキンググループの情報共有などにGoogleドライブを利用していた。
ただ、「PC上のファイルとの同期が遅い」「アカウント登録の問題で、社外の多岐にわたる協力会社とファイル共有ができない」といった声が多くあったことから、より建設工事に関する業務に適したものを模索していた。
 
「候補にしたのはDropbox Business(以下、Dropbox)と他社クラウドストレージサービスでしたが、検討を進めるうち、両者はまったく異なるサービスだと感じるようになりました。Dropboxは、複数名と共同で作業する『机』のようなサービス、検討したもう一つのサービスは、完成したファイルを格納しておく『引き出し』のようなサービスだと感じました。協力会社とファイルの編集・共有といった作業を頻繁に行う当社の場合、フィットするのは前者でした」と池端氏は振り返る。
 
こうして同社はDropboxを採用。
共有や共同作業に不可欠なファイルの同期スピードと、ローカルフォルダと同様に扱える直感的な操作性が決め手になった。

Dropbox導入の主な効果



 

全社標準でDropboxを導入

 
●効率的かつ柔軟なファイル共有を実現
本格始動から約半年、同社の支店や建築・土木工事の既存作業所では物理サーバーへ保管していた図面や書類データを段階的にDropbox上へ移行している。
また、新規着工の作業所では標準的にDropboxを採用。
Dropboxへファイルを保管することで、自然とファイル共有を活用するようになった。
 
また、主要な設計事務所や協力会社へDropboxライセンスを貸与することで、工事に関わる社内外の全メンバーが作業するのに必要な情報にアクセスできる環境を整えた。
 
「協力会社ごとに共有フォルダを作ることで、最新版図面の共有ミスがなくなりました。管理する手間も省けています」
(齋藤氏)
 
会議体ごとに共有フォルダを作成し、資料をまとめてDropboxの共有フォルダへ保管することで、リモートでのウェブミーティングでも活用している。
 
「ペーパーレスが加速でき、書類を整える手間が省けています」と話すのは同社建築設備部の坂口慎治氏。
加えて、ライセンスを貸与していない関係者にも、共有リンク機能、およびDropbox Transferを活用することで必要なファイルを一括送信できるようになった。
 
 
●ファイル復旧が容易に
バージョン履歴の機能を使うことで、削除したファイルを簡単に復旧できるようになった。
 
 
●情報検索の作業を高速化
ファイルの検索効率も大幅に向上。
 
「以前と比べて、ファイルを探す作業が3~4倍は高速化できている」
 
と池端氏は強調する。
全てのファイルが1カ所に保管されるようになり、Dropboxの高い検索性がより実感できるようになったという。

 
 

Dropboxを活用することでテレワークの生産性を向上

 
 
●テレワークへのスムーズな移行を実現
さらに、Dropboxの優位性は今回のコロナ禍においてもいかんなく発揮された。
 
「スムーズにテレワークに移行できたことが、Dropboxの最大のメリットだと考えています」と語るのは同社国際支店管理部の青木優和氏。
具体的にはDropbox Paperを、リモートで働く社員の予定管理やタスク管理、情報共有など、さまざまな形で活用。
コミュニケーションの活性化に役立てている。
 
「Googleカレンダーにもスケジュール管理機能はありますが、個人別のタスクまで管理することはできません。DropboxPaperでその両方を管理することで、アプリ切り替えの手間、電話による確認作業が削減でき、テレワークの生産性向上につなげることができています」
(青木氏)
 
 
●海外の拠点・作業所とのやりとりにも活用
Dropbox Paperは、時差がある海外の拠点・作業所とのコミュニケーションにも威力を発揮する。
一つのファイルに対し、各人が勤務時間内にコメントを書き込んでいけば、時間を合わせてミーティングを開催しなくても詳細なやりとりができるからである。

 
 

仕事のための仕事」を減らし、ビジネスを進化させていく

 
同社では、ストレージの利用率や資料共有のリンク作成数などを随時確認しているが、活用は順調に拡大している。
 
「国内の作業所、本支店や営業所、さらには海外拠点との情報共有を含め、今後も引き続き活用を促進していきます。加えて、Dropbox Paperのような新しい技術もどんどん展開しながら、『仕事のための仕事』を減らしていきたいと思います。そうすることで、戸田建設のビジネス自体を一層進化させていけたらいいですね。Dropbox社にはこれまで以上の支援やアドバイスを期待します」
(池端氏)

 
 




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