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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

工事写真業務の効率化と働き方改革 実現のカギは、電子小黒板と分業化

前田建設工業株式会社

蔵衛門工事黒板


前田建設工業株式会社
所在地:東京都千代田区
創業:1919年
設立:1946年
資本金:284億6334万9309円(2020年3月末現在)
事業内容:総合建設業
https://www.maeda.co.jp/
 
 
前田建設工業株式会社は、福井県で創業以来、都市土木、建築、海外そして脱請負分野へと事業を拡大。2019年に創業100周年を迎えた。建設業界が大きな変革期にある現在、同社は身近な生活インフラにAIやIoTの技術を積極的に活用。サービスを効率化することで経済的、社会的負担を低減して持続性社会の実現に貢献し、その技術をもって世界中でのインフラサービス提供を目指す。
今回、「蔵衛門工事黒板」の活用を進める関西支店の4名に話を伺った。
 
 

「蔵衛門工事黒板」導入の背景

前田建設工業株式会社では、ICT推進の一環としてiPhoneを全社員に配布。さらに、現場スタッフの生産性の向上や職員の携帯品を低減した安全性の向上を目的として400ライセンスの「蔵衛門工事黒板」を導入した。「iPhoneだけで黒板付きの工事写真が撮影できるので、現場の負担はかなり軽減されました。大きな木製黒板とデジタルカメラを持って、狭い足場を移動する運用には戻れません」と言う現場スタッフを前に神宿氏は大きくうなずく。
 

iPhone・iPadだけで工事写真を撮影できる

 

前田建設工業株式会社 関西支店 建築部
建築施工グループ 工務チーム 神宿 智帆氏


現場での活用に向けた課題

現場への導入はしたものの、活用状況をヒアリングすると、撮影した写真を台帳化する「自動仕分け」がうまく使えていないことが判明した。「自動仕分けは、電子小黒板に記入した『工事種目』や『測点』といった項目を基に、撮影した写真と黒板情報を自動的に分類して写真台帳化する機能です。従来の写真を目で見ながら仕分ける業務がなくなる非常に便利な機能なのですが、自動仕分けの仕組みを正しく理解していない現場がほとんどでした。その結果写真台帳が乱立したり、意図しないものができたりしてしまい、結局、活用を諦めて手動で写真を整理しているといった問題が発生していました」
 
 

分業化の推進

「問題を解決するために、工事写真を撮影する現場と私たち内勤部門で工事写真業務の役割分担をしてはどうかと考えました。電子小黒板の作成を私たちが担当して、現場スタッフのiPhoneに配信します。現場スタッフは受信した黒板を使って撮影するだけ。内勤部門が設計図書や仕様書から撮影すべき写真の抽出やその写真の黒板に明記する内容を精査するとともに、自動整理に必要な情報を組み込んだ黒板を作成することで、現場ではきちんと整理された写真台帳が自動的に完成します」
 
 

電子小黒板の運用ルールをマニュアル化

「働き方改革で労働時間の短縮が求められていますが、現場で求められる工事写真の枚数は増加傾向にあり、記録についても高い質を求められています。働き方改革を進めるためにも業務の仕組みを変えていくしかありません。工事写真業務をルール化すれば、ある程度の教育で誰でも社内規格に合致した写真が撮れるようになります。内勤部門がルール化することで各現場における工事写真や写真台帳のクオリティの均一化、現場スタッフの交代や引き継ぎの簡略化にも寄与します。また、電子小黒板の共有により、写真撮影の代行や写真整理のアウトソースも視野に入れることができます。そのために、私はフォーマットの作成と並行して当社のルールやルールに基づいたマニュアル作成を進めました。まず元々ある製品の操作マニュアルから不要な部分をどっさり削って(笑)、そこに当社独自のルールや使い方を足していく感じです。ページ数が多いと使用する皆さんに読んでもらえないので、作業ごとに分冊して一冊当たりを薄くしたり、分業なので現場と内勤の作業を色分けしたりと工夫しました」
 
神宿氏の上司である浦島氏が続ける。
 
「現場と内勤の労働時間を比較するとどうしても現場の方が長いんです。この差をいかになくすかが課題となっています。今回の分業はその方策の一つとなっています。電子小黒板のテンプレートカスタマイズで、ルクレさんに並々ならぬご協力をいただいたことには大変感謝しています。私たちが求める運用方法を実現するために解決策を探っていただけたのは大きかったですね」
 

工夫を凝らした分業マニュアル

 


前田建設工業株式会社 関西支店 建築部 建築
施工グループ 工務チーム チーム長 浦島 健氏

電子小黒板の作成は、建設の専門家ではない
2人が担当。「黒板作成にはICTの知識やセ
ンスのある人が向いている」とのこと。


コミュニケーションを重視して柔軟に対応

内勤部門の確固としたポリシーで分業を推進し、電子小黒板の運用ルールを徹底させているが、現場スタッフとの関係性は息苦しくない。そんな印象を受ける前田建設工業。だが実際は柔軟な運用を心がけている。
 
「実は現場スタッフの理解力もさまざまで、中にはすぐに意図を理解してくれる現場もある。そんな“任せられる現場”には、黒板のひな形が入ったExcelファイルを渡しています。黒板の項目の意味や役割、特に自動仕分けに関わる項目は変更禁止であることを正しく理解してくれているなら、黒板の作成から任せてしまう方が効率的なんです」
 
入社6年目の小川 沙衣加氏と2年目の山本 秋桜未氏が勤務する三宮新港町の作業所も、そんな現場の一つ。小川氏は黒板のひな型が入ったExcelファイルを直接受け取り、必要な黒板を自ら作成することもある自動仕分けの仕組みを理解する現場スタッフの一人だ。聞けば、Excel上で検索や置換、並べ替えなどが行えるため、仕様変更や既存黒板流用時の文言、数値の一括修正などが楽なのだとか。神宿氏ともつぶさに連絡を取り合っており、設計図の変更の有無を連絡し合ったり、配信前の黒板のチェックをしたり、正確性の担保もしっかり行っている。「分業で一番大切なのは、やっぱり双方のコミュニケーションなんですよね。私はどんな現場にもできるだけ寄り添って、とにかくサポートしますよとアピールするんです。導入に当たって不安になる現場スタッフの気持ちも分かりますし、導入した方が業務が楽になると私自身が信じているので。現場スタッフからの信頼を得ると内勤部門にはなかった新しい発想や、ルールの改善策も見つかります。このコミュニケーションが取れずに信頼関係がなくなったら現場はルールに関係なくやりたいように作業を進めてしまうでしょうし、スタッフによって使い方にばらつきが出て、効果的な業務の改善は進まないでしょうね」
 
「どんなにいいツールも集団で活用するためには利用方法を統一するルール作りが不可欠」と語る神宿氏。前田建設工業関西支店から芽吹いた工事写真業務分業化の手法は、すでに30を超える現場で運用され成果を挙げている。同社はこれを全国へと広げ、さらに推進していく予定だ。
 



 



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