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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

点群データを用いた3D検討により計画立案から完工までの期間短縮を実現−ハンディスキャナーとGalaxy-Eyeの活用−

三菱ケミカルエンジニアリング株式会社

使用製品 点群処理ソフトウエア「Galaxy-Eye」/F6 SMART


三菱ケミカルエンジニアリング株式会社
所在地:東京都中央区(本社)
創立:1957年12月
資本金:14億500万円
事業内容:各種産業分野におけるエンジニアリング事業、
設備管理事業およびメンテナンス事業
https://www.mec-value.com/

左から プロセスエンジニアリング部 部長代理 野村 毅 氏  
プロセスエンジニアリング部 技術主任 旭 真史 氏  
プロセスエンジニアリング部 技術主任 小野 智彦 氏  

総合エンジニアリング企業である三菱ケミカルエンジニアリング株式会社では、建物や設備の改修において従来から2次元の紙図面による設計検討を行ってきた。しかし、改修中・改造後のイメージ共有が難しく、内容の確認や最終判断に至るまで多くの時間を要していた。そこで、導入したのが3Dスキャナーとスキャナーで取得した点群を効率的にモデル化する点群処理ソフトウエア「Galaxy-Eye」。今回は、それらの活用および効果について話を伺った。
 
 

三菱ケミカルエンジニアリングの紹介

三菱ケミカルエンジニアリング株式会社では、化学、合繊、食品、医薬品、情報電子、物流システム、環境、エネルギー等各種産業分野におけるエンジニアリング事業、設備管理事業およびメンテナンス事業を行っております。三菱ケミカルホールディングスの一員として多くのグループ会社はもとよりグループ外の客先に対しても、各種ソリューションを提供し、好評を頂いております。
 
グループ内外問わず、どの客先も社会に対して重要な物資を供給しており、簡単に生産を止めることはできません。近年では工場の合理化、能増等による設備改造ニーズに加え、工場の老朽化による耐震対策等も求められており、設備や建屋更新のニーズも高まっています。
 
当社においても新設・増設案件だけでなく、設備と建物の老朽化に伴う既存設備の改修や移設、更新案件が増加傾向となっております。多くの場合、生産を停止しない、あるいは生産停止期間を最短とした改修改造工事が求められます。
 
 

従来の問題点

従来は2Dの図面上で設計検討を行っており、計画を判断する設備所管者さらには経営者との改修中/改造後のイメージ共有が困難でした。そのため確認に時間を費やさなければならず、結果として最終的な設備投資判断までの時間が長期化していました。
 
また、図面作成に当たっても、改修設備の多くは操業から年数が経過しており、既存図面がない、もしくは図面があっても情報の古いケースが多くあります。そのため、まずは現況図の作成が第1歩となりますが、生産中のため現場をスケッチするにもタイミングが限られていたり、仮設足場を組む必要があったりと、多くの時間、コストがかかっていました。加えて、施工面においても、現場のスケッチを基に作成された図面は高精度とは言いがたく、工事着工後の現場合わせや手戻り工事が発生しており、コスト増や工期長期化の一因となっていました。
 
 

Galaxy-Eyeの有効性およびハンディスキャナー(F6 SMART)の導入

上述の問題点解決のため、3Dレーザースキャナー&点群用ソフトウエアに着目しました。
 
点群用ソフト「Galaxy-Eye」では、点群から既存配管や鋼材をCAD化できるだけでなく、新設・改造予定の配管のモデリングができる他、別途作成した3Dモデルを取り込んでの合成ができます。これらにより、機器や配管の配置検討、工場の運転に関わる動線や作業スペースおよび工事仮設物の確認、動的干渉シミュレーションも可能です。
 
これらGalaxy-Eyeの機能を活用することで、従来の2D図面のみの場合と比較してイメージの共有が容易となります。客先要望と実際の出来上がりとの齟齬解消による計画全体のスケジュール短縮を期待して、2019 年にGalaxy-Eyeを導入しました。
 
また、3Dレーザースキャナーを用いることで現場を手軽に計測でき、点群データを容易に作成することが可能です。これにより、従来の現地確認〜採寸〜現況図作成までの大幅な時間短縮、人力による調査抜けや誤測定の大幅な低減を期待しています。さらにGalaxy-Eyeと組み合わせることで、施工前の正確な干渉チェック、客先との設備・配管の運転・操作性の事前共有が可能になり、手戻り工事の最小化も期待しています。
 
増加している改造案件に対して、スピーディーかつ効率的な実施につながる上記の期待から、全事業所でGalaxy-Eyeと相性の良いハンディスキャナーを2020年より一斉に導入しました。
 
 

ハンディスキャナーの活用方法と効果

ハンディスキャナーの活用方法としては、固定式型3Dレーザースキャナーのデータ補填として活用する方法もありますが、当社では主に狭い範囲での改造案件に活用しています。
 
改造案件の事例として、既存設備の一部を撤去して、そのスペースに新規機器を設置、新設配管を敷設する案件を紹介します。計画段階ではハンディスキャナーで既存設備を手軽に計測し、Galaxy-Eyeに点群データを取り込みます。Galaxy-Eye上では機器や新設配管の3Dモデルを作成し配置や配管ルートを検討します。このとき既存設備はスキャンした点群のまま活用することで、現場のリアルな改造後の姿が3D上で表現され、検討時間短縮にもつながっています。
 
客先からも実物の形状や配置がイメージできて、打合せで意見が出やすくなり、その場でモデルを修正でき安心すると評価を頂いており、客先の承認判断の迅速化に役立っています。
 
点群データは検討段階だけではなく、施工段階においても大いに活用しています。実際に製作された機器や架台を立会検査時にハンディスキャナーで計測し、現場の点群データと合成することで、納入前の段階でも実物の形状で据付のシミュレートができます(図-1)。
 
Galaxy-Eyeでは、モデリングした配管のスプール図と材料集計を容易に出力できます。点群データ上で検討した寸法で施工図として出力し、施工会社と共有することで、検討段階から施工までの時間短縮にもつながっています。
 
このようにハンディスキャナーとGalaxy-Eyeを導入したことで、現場調査漏れ、誤測定による既設との干渉による工程遅延、追加工事を防ぐことができ、計画立案から完工まで10%の時間(配置・配管計画効率化で6%、干渉事前把握による施工手戻り削減で4%)短縮を実現しております。
 

図-1 Galaxy-Eyeによる点群と3Dモデルの合成例

 
 

Galaxy-Eye活用方法と効果(動的干渉シミュレーション)

Galaxy-Eyeの動的干渉シミュレーション機能を活用した大型タンクの更新工事の事例を紹介します。
 
従来のタンク搬入出時の軌跡検討は、2D図面での検討でした。しかし、タンクのノズルや付属品による出っ張り、図面に反映されていない現場の設置物との干渉チェックは、漏れが発生しやすく、施工時に問題が発生する可能性がありました。特に、現場で撤去のできない構造物や重要な電気ケーブルとの干渉チェックには高い精度が求められます。
 
今回の案件でも、タンク搬入出時の旋回可否が不明で客先も実施の判断ができない状況でした。そこでタンク周りの点群を取得し、搬入出ルートの検討にGalaxy-Eyeの干渉チェック機能を用いました。3DCADで表現したタンクと搬出ルート上で干渉した点群は赤色にすることで、現場のどこと干渉するかを分かりやすく可視化できます(図-2)。点群上で構造物や電気ケーブルとは干渉せずに搬入出が可能であることを示し、必要最低限の工事範囲を特定することで本工事のスムーズな認可につなげることができました。Galaxy-Eyeで作成した撤去動画も撤去ルートや干渉範囲を容易に把握・共有することができ、実工事においてもほぼ計画どおりに搬入出を完了することができました。
 

図-2 Galaxy-Eyeの干渉チェック機能例

 
 

Galaxy-Eye活用方法と効果(EYECADへの取り込み)

当社ではプラント配管設計の3DCADとしてEYECADを用いてきました。Galaxy-Eyeでは点群データからCAD化した配管や鋼材を、配管径や鋼材の規格の情報を持たせた状態でEYECADへ取り込むことが可能です。これにより、管理するモデルをEYECAD一つに集約し、情報の統一化をしています。
 
従来どおりのEYECADから配管材料集計表や配管図、配管スプール図等の施工図を出力するという業務フローを変更することなく、設計精度の向上、設計時間の短縮につなげることができることも、Galaxy-Eyeを導入した理由です。
 
 

まとめ

当社では全事業所でGalaxy-Eyeとハンディスキャナーを導入、活用することで設計精度を高め、全体スケジュールの短縮を実現しております。3Dモデルは対象を視覚的に分かりやすく示すことができ、計画初期段階(基本設計段階)において検討結果の判断を容易にする資料として、また工事着工までの施工資料としても活用できています。
 
今後も社会へ物資を供給し続けるお客様のために、点群データや3Dモデルを含む最新技術を用いて貢献していきます。
 
 


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