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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

タブレット型野帳で橋梁点検。ICT活用で内業時間が激減 少人数で直営点検数の増加に対応

宇治市役所

アレリオ橋梁点検

宇治市役所

宇治市 建設部 維持課 保全係 主任
松田 佳之 氏

 
 
 

所在地:京都府宇治市
市の面積:67.54平方キロメートル
市の人口:186,092人(2019年11月1日現在)
URL:http://www.city.uji.kyoto.jp/
 
 
 
 

京都府の南端近くに広がる宇治市は、源氏物語「宇治十帖」の舞台として知られ、特産の宇治茶も有名だ。また、10円玉にデザインされた平等院鳳凰堂と宇治上神社という2つの世界遺産があり、数多くの観光客が訪れる。
今回訪問した同市維持課保全係は、市内全域の橋やトンネルなどの点検・修繕、道路の舗装や照明の維持管理から、市民の依頼による側溝の修繕まで幅広い業務を行う。そこで橋の点検業務の効率化を考えていた時期に「アレリオ橋梁点検」を知り、導入を決定。導入後の成果について、維持課保全係の松田氏に伺った。
 
 

定期点検の効率化というニーズに合致

橋やトンネルなど道路ストックの5年ごとの定期点検が国土交通省から発表されたのは2014年、中央自動車道上り線の笹子トンネル天井板落下事故の翌々年であった。この年に「道路橋定期点検要領」に基づく(触診や打音検査が可能な距離での)近接目視による定期点検が開始。2018年度に1巡した最初の5年定期点検において、宇治市では、299に上る管理橋の内の約250橋の点検検査を外部業者に委託していた。委託点検には大きなコストがかかる。地方自治体の財政難が全国的な課題となる中、同市も例外ではなく、2019年からの2巡目では自前の点検が可能な小規模な橋で直営点検を増やす計画が浮上した。まず、10月から12月までを点検期間とし、週に1度点検実施日を定め半日で3橋の点検を行う目標を立て年間20橋、5年で約100橋に増やす計画を立てた。しかし、保全係のわずかなメンバーで直営の点検数を増やすことには限界があった。また、山間部が多い同市で酷寒の冬季や草木が繁る夏季の点検は危険で非効率な面があり、作業期間も限定された。そうした状況下で出会ったのが、タブレットを使った(株)エージェンシーソフトの「アレリオ橋梁点検」だ。松田氏曰く「定期点検をどのように効率化すればよいかを模索していた時期に、郵送によるダイレクトメールを通じてシステムの存在を知り、実際に説明を受けた上で導入を決断しました。定期点検には国土交通省への報告書作成のための内業が伴いますが、仕事が多岐にわたるため、なかなか十分な時間が割けませんでした。このシステムの説明を聞いた際、内業時間の効率化を実現できるのでは、と考えました」
 

国土交通省への報告書(サンプル)



 

橋梁点検で感じていた課題を全て解決

保全係では、定期点検の1巡目から報告書作成における問題を認識していた。当時は、現場で橋の形を手描きで紙にスケッチし、損傷箇所もそこに描き加えていた。そして庁舎に戻って改めて報告書用にCADで描き直していたため、作業の重複が内業への負担につながっていた。また、現地状況写真に至っては橋の全景に始まって、橋面から橋台へと撮影しなければならないカットは決めているものの、撮影順などの手順が決まっておらず、稀に撮り漏れがあると再撮影のために片道20〜30分をかけて橋まで戻る必要も生じていた。さらに橋のスケッチと撮影画像は当然ながらリンクされておらず、内業で橋の各所とデジカメに保存された画像を照合するのは簡単ではなかった。一方、現場で行うのは点検のみならず、橋に土砂がかかっていれば撤去し、雑草が生い茂っていれば除草する。手を伸ばしてようやく撮影できる狭小部分の撮影には時間を要する場合もある。従って半日かけて1橋しか点検できない日もあり、報告書の作成が滞ると、記憶が不鮮明になってさらに内業に時間がかかっていた。「アレリオ橋梁点検」は、こうした課題を全て改善する機能を有していた。松田氏は、その効果を次のように語る。
 
「実際に使用を開始して3カ月ですが、手描きで行っていた作業との違いを実感しています。デジカメで撮影した画像はWi-Fiでタブレットと連動し、決められた写真番号で保存すると要望通りに作られたリスト順に整理されるので、撮り漏れが解消しました。また、事前に橋の元図をタブレットに移しておけば、現場で損傷箇所を描き込むだけでそのまま報告書に使用できるため、内業で書き直す作業がなくなりました。損傷状況は現場で旗揚げして引き出し線で元図に書き込めば、そのまま報告書になり、損傷写真ともリンクされるので後から探す必要がありません。また桁下の損傷スケッチ記録用に、タブレット画面に表示された元図を反転表示できるので、見上げたままの状況をスケッチすれば、反転を戻したときに見下げ図が出来上がります。橋面の損傷との関連性など危険な損傷箇所のチェックもしやすくなりました」
 
  
「アレリオ橋梁点検」を使用した橋梁点検作業  点検現場で図面に旗揚げして損傷状況などを
                       旗揚げやスケッチに書き込める


 

3時間から0.5時間へ報告書作成時間激減

使用開始3カ月で実感した利便性は、客観的な効果として表れています。「以前は報告書作成の時間が1橋で3時間かかっていたのですが、『アレリオ橋梁点検』を使うことで0.5時間と劇的に短縮されました。やはり、点検作業と同時に写真との紐付けができるなど、以前、内業で行っていた報告書作成作業の多くが現場で完結できる点が大きいですね。また宇治市は、国土交通省に提出する損傷箇所の報告書だけでなく、橋全体の状況を記録・撮影した補足資料を作成しているので作業時間の短縮効果がより大きくなります。働き方改革が叫ばれる中、残業時間も減少しました。先日、点検した2橋の報告書を意見収集のために回覧したら『もうできたん?!』と周囲に驚かれました」。松田氏は、このように期待した以上の効果について語った。
 
また、2巡目が終了すれば3巡目には前回データを活用できるので、変化がなければ新たな打ち込みは不要となり、逆に変化した箇所は「どこがどのように変化したのか」を明確に追うことができる利点もある。さらに作業がシステム化されることで業務の引継ぎもスムーズに行えるなどのメリットも生まれる。現在、松田氏が先行してシステムを使用し操作方法を身に付けているが、今後は他のメンバーも点検作業を通じて操作を習得していく。その操作方法についても「表示通りに操作していけば方法は単純なので、操作している作業の意味を理解さえすれば問題はないですし、作業品質にもバラツキがなくなるはずです」と松田氏。
 
今後については「未撮影のカットにアラームを出すような機能があればよりよい」という要望とともに「他の市町村の意見も取り入れながら、一層良くしていってほしい」とエールが送られた。
 

アレリオ橋梁点検の詳細は、本書218頁を参照



 
 
 


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