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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

「道路附属物点検システム」で 省力化以上の効果が強みに

太平洋総合コンサルタント株式会社

情報共有Cloudサービス「basepage」

太平洋総合コンサルタント株式会社

左から
設計企画部 係長
本田 充只 氏
設計企画部 次長
山本 岳人 氏
 

 
所在地:北海道釧路市
創立:1975年2月
資本金:2,000万円
従業員数:62名
主な事業内容:建設コンサルタント業務
http://www.taicon.co.jp/
 
 
 
太平洋総合コンサルタント株式会社は、北海道釧路市に本社を置く建設総合コンサルタント。1975年の創業以来、常に事業部門を拡張し続けてきた、地域密着の成長企業だ。インフラの老朽化対策の一環として各種点検業務が増加する昨今、標識、照明施設等の「道路附属物点検」に携わる設計企画部の山本岳人氏と本田充只氏に、Cloudサービス導入に至る経緯とその効果について話を伺った。
 
 

道路構造物の点検要領により、省力化が急務に

 
国土交通省より、道路の老朽化対策の一環として平成26年3月に公布された「道路法施行規則」の流れを受けて、平成26年6月、各種道路構造物の点検要領が改訂、公開された。この頃から、太平洋総合コンサルタントでも点検業務は増加傾向にあり、特に「附属物(標識、照明施設等)点検要領」に基づく道路附属物点検は対象となる部材が多いため、増大する作業量に対して抜本的な省力化が求められた。それに一役買ったのが情報共有Cloud サービスである、「basepage(ベースページ)」(開発元:川田テクノシステム株式会社)であった。
 
「当社では平成25年度から5年にわたって附属物点検を行ってきました。その経験から現場作業やその後の点検結果の整理はある程度パターン化してきましたが、写真整理や位置図の貼り付けといった、“意外と手間がかかる作業”があり、それを省力化できないかと常に考えていました」
 
「basepage」導入前、現場での点検は、デジカメと野帳を使い、損傷部分の撮影と損傷部分の位置(地面から何mの高さにあるかなど)のスケッチを行っていた。
 
その後事務所に戻り、一枚ずつ写真を整理し、地図から附属物の位置が分かる位置図を切り取り、位置情報の緯度経度を調べて帳票を作成する…こうした“内業の省力化”が最大の課題であった。
 
 

負担が大きかった帳票入出力を一気に処理

 
「basepage」の導入で、デジカメはスマートフォンに持ち替えられた。スマートフォンの位置情報を検知する機能により、撮影したデータを送信するだけで緯度経度の属性が付いてくる。これにより、緯度経度を調べては転記する…といった作業の繰り返しから解放された。
 
「今年の点検業務の例で言うと、点検対象は道路標識、照明、固定式視線誘導柱、門型柱等など、実に486基に上ります。これを全て手作業でやっていたかと思うと、その省力効果が絶大であったことは想像できるでしょう」
 
省力化されたのは、緯度経度情報に限った話ではない。現場で登録した点検結果は、Excelのマクロに連携し、点検表(施設諸元・点検結果票・損傷記録票)等の指定された様式に自動的に流し込まれるのだ(図-1、2)。帳票作成のためにわざわざ点検箇所と撮影した写真や点検結果を照らし合わせながら入力する必要はない。システムの順応性の高さを生かし、点検業務に特化したカスタマイズがなされた結果であった。
 
 
帳票の自動作成
現場で登録した点検結果は、Excelのマクロに連携し、点検表(施設諸元・点検結果票・損傷記録票)等の指定された様式に自動的に流し込まれる。
 

図-1 点検表(点検結果表)

 

図-2 点検表(施設諸元)

 

スピードアップで評定点もアップ

 
一方、「省力化」と併せて課題であったのが、発注者からの評定点をアップさせることであった。評定点は今後の業務受注に影響するため、加点対象になりそうな改善には積極的に取り組む方針が社内にあった。
 
「点検業務自体は、安全性が確保できて当たり前の業務ですから、あまりアピールポイントがなく、加点されにくい側面があります。発注者の意向を察知して、先回りした行動が必要となります」そこで、重要視したのが“スピード感”である。
 
「点検結果のまとめが大幅に省力化されたおかげで、発注者に報告する際、『速報版』(図-3)といわれる簡易的な報告書がすぐに出せるようになりました。
 
 
スピーディーかつ視覚的な報告

図-3 速報版

 
点検当日に、写真等の詳細情報を含めた結果の共有ができます。さらに言えば、発注者も今回の点検業務の利用者として参加してくれたので、発注者が『basepage』にログインして直接結果を確認することもできます。緊急措置段階の附属物が発見された場合、現場からタイムリーに損傷状況を報告することができ、迅速な緊急措置対応が可能となります」
 
「basepage」はOSやデバイス環境に依存することなく、インターネットのブラウザのみで専用ソフトウェアのインストールも不要のため、受注者発注者問わず、あらゆる立場の人が利用しやすい敷居の低さも利便性の高さにつながっている。
 
 
点検の状況を電子MAP上でリアルタイムに把握可能

図-4 basepageシステム画面

 

改良しやすいシンプルな構造で運用上の課題にも迅速対応

 
もちろん、メリットばかりではない。いわゆる「圏外」問題だ。北海道という土地柄もあって、今回の点検では約2kmの区間が電波通信圏外となってしまい、附属物15基分の点検はデジカメを用いた従来の方法で作業を余儀なくされた。このシステムの最大の利便性が損なわれてしまうことになるが、これについては近く機能改善が予定されている。
 
「圏外で撮影した写真やデータが一時的にストックされ、通信可能なエリアに行くと自動で送信される機能が付けられないかと相談したんです。この他にも、実際に点検業務を実施してみて分かった操作性や機能の要望を報告し、改良項目に加えてもらっています。開発者に声が届きやすいと思います」
 
この他にも、メモ書きや音声認識など、今後は内業の省力化にとどまらず現場での利便性アップが図られる予定だ。
 
 

IT化がもたらすプラスαの相乗効果

 
認識していた課題の解決以外にも、予想外の効果をもたらすのがIT化のメリットだ。
 
「現場作業を終え、その日の点検結果を一覧表で確認することで、附属物の調査抜け、写真の撮り忘れや写真の写り具合等をチェックできます。特に、道路附属物は類似の形状が多く見分けがつきにくいため、かつては事務所に戻って撮り忘れに気付くといったこともありましたが、撮り間違いも防げるようになりました」
 
 

今後も使い続けたい

 
「当社では国土交通省の附属物点検を行っていますが、今後は北海道建設部や各市町村の附属物点検などへの活用が予想されます。『basepage』を活用することで、迅速な点検結果の報告、情報の共有、緊急措置への対応、作業効率の向上など、受注者と発注者の双方が満足できる点検業務を行うことができると思います。
 
また、大容量のデータのやり取りが可能であるため、点検以外でも用途を広げていくことを検討しています」
 
CIMやi-Constructionに象徴されるように、少子高齢化に伴う深刻な人手不足への対策にはITが不可欠となっている。IT化には、省力化だけでない、さらなる生産性の向上を期待すると語った。
 
 



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