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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

総合設備工事業における 3次元計測の活用

株式会社 九電工

点群ソフト「Galaxy-Eye」

株式会社 九電工

技術本部 総合研究開発室
先端技術開発グループ
安武 和成 氏
 

 
所在地:福岡市南区
設立:1944年12月
資本金:124億円
従業員数:6,392名
主な事業内容:一般電気工事、空調管工事、配電線工事など
http://www.kyudenko.co.jp/
 
 
 
BIMやCIMの高まりを受けて、3Dスキャナーを導入する企業が増えている。しかし、3Dスキャナーで得られる高精度の点群データを効率的に活用することは難しいといわれている。株式会社 九電工では、3Dスキャナーと併せて点群処理ソフトウェア「Galaxy-Eye」を導入することでこの問題の解消し、モデルの作成など設備BIMへの展開を図っている。
 
 

Galaxy-Eye選定の経緯

 
九電工では平成27年より3Dスキャナーを導入した。また、高精度な3Dスキャナーの計測データ(点群データ)をより有効に活用したいとの思いから、本体と同時に点群用ソフトウェアの導入を検討した。
 
調査の結果、当時は設備工事業に対応できる点群用ソフトウェアがなく、当初の目的である点群データからの3D-CADモデルの作成は、非常にハードルが高いことが分かった。
 
そこで、3Dスキャナーを「現場調査の省力化ツール」、「プレゼンテーション資料の作成ツール」と割り切り、点群データを直観的に扱え、プレゼン資料の作成が容易であること、日本国内で自社開発をしており、十分なサポートが見込めるなどの理由から富士テクニカルリサーチ社のGalaxy-Eyeを導入した。
 
数時間の体験セミナーで基本的な機能を使えるようになったこと、点群選択手段が直観的であること、搬入搬出ルートの検討に有効な動的な干渉チェックが可能なことなどが選定の決め手となった。
 
 

設備工事業における3D計測の有効性

 
3D計測の運用を開始すると高速、正確、非接触(安全)であるという特徴が、安全管理に重きを置く工事業において、非常に有効であることが分かった。
 
写真は某工場の屋外特高受電設備を計測した事例である(図-1)。
 

図-1 屋外特高受電設備の3D計測データ

 
この規模の特高受電設備をミリ精度で数時間で計測することができる。しかも充電状態のまま、安全を確保しながら現場調査を行うには3Dスキャナーを用いる以外に方法がない。
 
設備工事業界の現状では、3D表示により現場が把握できたとしても、業務を進めるに当たっては、平面的な表現で資料(CAD)を作成しなければならないが、Galaxy-Eyeでは縮尺既知のオルソ図(断面図)を容易に作成することができるため、3D計測データを従来のワークフローに落とし込むことができる(図-2)。
 

図-2 屋外特高受電設備の断面図

 
さらに、工事業界においては多くの関係者が協力して仕事を進める中で、見てすぐ分かるという点群データの特徴が設計段階の合意形成や、施工段階での情報共有にも有効であった。図-3は点群データを用いた、屋上熱源置場の改修計画の事前シミュレーションの様子である。
 

図-3 屋上熱源置場の改修計画の事前シミュレーション

 
通常、設備更新工事では正確な現況図を取得することは難しく、最新と思われる図面を参考に、現地で膨大な写真撮影と採寸作業を繰り返して現況図を作成する。しかしながら、人力では完璧な現場調査は難しく、不完全な現況図を基にした工事計画は施工の際に不整合が発覚し、現場合わせ作業が増え、施工品質の低下や手戻りの原因となる。
 
3Dスキャナーを用いれば、現時点での正確な現況を点群により把握することが可能で、信頼度の高い工事計画の策定が可能となる。特に、立体的な取り合いが重要となる空調工事においては手戻りリスクを大幅に低減できる。また、更新設備を3D-CADで正確に表現すれば、撤去工事の着手前に、その工事工程や完成イメージを専門知識のない関係者も含めて容易に共有することができる。
 
また、ウォークスルー動画や干渉チェック、レイアウトシミュレーションが短時間に見栄えよく作成できることから、施工現場や客先からの評判もすこぶる良い。
 
 

設備BIMの標準フォーマットIFC出力への対応

 
最新バージョンのGalaxy-Eyeでは、設備BIMの標準フォーマットであるIFCファイルの出力が可能になった。配管、ダクト、平面の出力に限られるが点群データを基にGalaxy-Eyeでモデル化した配管、ダクトの形状を設備CADのTfas((株)ダイテック)やRebro((株)NYKシステムズ)に受け渡すことが可能になった。まだまだ手間は掛かるものの、計測点群を基にした3D-CADモデルの作成も「やればできる」レベルになりつつある。
 
従来もGalaxy-Eye内で3次元的にトレースを行い(図-4)、現場再現度の高い3Dモデルを作成することができたが(図-5)、その後のワークフローに乗せることができなかった。IFC出力への対応により、3次元計測を設備工事で一般的に利用されている設備CADにつなげることが可能になった(図-6)。今後一層、設備工事業界に3次元計測が普及することが予想される。
 

図-4 Galaxy-Eyeによる3次元的なトレース

 

図-5 Galaxy-Eyeにより作成した3Dモデル

 

図-6 Galaxy-Eyeにより作成した3Dモデルを基に作成した設備CAD(Rebro)

 

今後

 
毎年のバージョンアップで、工事現場の点群データを眺めるソフトとしては、ほとんど不満はなくなってきた。配管モデリングに加えてダクトのモデリング機能の強化、2D-CAD図面との親和性の強化、IFC出力の搭載など過去数年のバージョンアップで点群からの3D-モデルの作成についても実現の目途が見えてきた。
 
Galaxy-Eyeに限らず、3D計測技術やIT技術の活用をより一層進め工事業界の厳しい業務環境を改善したいと願う。メーカー各位には今以上のご協力をお願いしたい。
 
 



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