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成功事例集

建設ソフトやハードウェアなどのITツールを導入して成功した事例を紹介します。

くり返し検討が苦にならない砂防堰堤設計・製図

アサヒコンサルタント株式会社

砂防堰堤計画・設計・製図SABOシリーズ

アサヒコンサルタント株式会社

アサヒコンサルタント株式会社
設計課 
左から 近藤 氏、鈴木 氏、井上 氏 

所在地:鳥取県鳥取市
資本金:3,000万円
従業員数:93名


アサヒコンサルタント株式会社は、鳥取県に本社を置く、地域密着型の建設コンサルタントである。昭和49年の創業以来、幅広い分野の測量、設計、調査、補償などの業務に従事している。今回は、設計部の中でも主に河川・砂防分野の設計業務を担当する鈴木氏、近藤氏、井上氏に話を伺った。


システム導入の背景

アサヒコンサルタントでは、入札制度の改革や砂防堰堤設計業務の増加傾向にあった2008年に、川田テクノシステムの「SABO」シリーズを導入した。砂防堰堤の設計計算ソフト、砂防堰堤計画CAD「V-SABO/Plan」、砂防堰堤自動製図「V-SABO/Draw」の3製品だ。

「砂防業務の設計分担額の低下により、価格競争の激化に耐える即戦力が必要でした。これまでの作業方法での効率化では限界があり、抜本的な改革が求められたのです」(鈴木氏)

それまで、砂防業務に当たっては自社開発のソフトを利用していたが、適用範囲がごく一部で手作業も多かったことと、ソフトのメンテナンスに費やす労力が肥大化しており、指針の改訂等への迅速な対応も難しくなっていたことから、市販ソフトの導入に踏み切ったと言う。

コスト削減に即効効果

試験導入した「V-SABO/Draw」を使っての予備設計および詳細設計で、約30万円の原価削減と9.6日の実施工期短縮が図れたのも大きかった。

「初めて見た瞬間に『これは使える』と思いました。砂防堰堤の形状をすぐに視覚化できるので、発注者と早い段階で形状を確認しながら打合せができますし、最近では、若い世代や経験の浅い人に、自分たちがどういった形状のものを作っているのかを理解してもらうために活用しています」(鈴木氏)

もう手放せない砂防堰堤ならではの導入メリット

さらに、「V-SABO/Plan」の導入でさらなる効率化を実現した。この背景には、砂防堰堤設計業務ならではの特徴がある。位置選定のトライアルだ。

「例えば三箇所で比較検討しようとした場合、その三箇所に絞るのもひと苦労なのですが、システムの導入により、くり返し検討がいくらでもできる。比較する箇所を絞らずに全部比較してみることができます。例えば、五箇所で比較検討を実施しても、三箇所に絞っていた従来の作業量の1/3くらいで済んでしまいます。さらに濃密な検討ができるようになりました」(鈴木氏)

しかも、砂防堰堤は用地条件等に応じて堰堤位置の変更や比較検討の見直しを求められることが多く、位置が少しずれただけでもすべてやり直しになってしまうため、2〜3週間かけた作業が台無しになることもある。トライアル計算が自動化できるようになったのは、まさに画期的であった。

「建設コストの低減、地球温暖化対策(CO2削減)などで、現場の発生土を堤体の材料に流用する『砂防ソイルセメント』を使うケースも増えています。材料を変えた場合に堤体の形状にどう影響するかを踏まえて比較の仕方が多様化していますが、このような場合も実に便利です」(鈴木氏)


システム導入による作業フロー
 システム導入による作業フロー

自動トライアルで新たな発見も

システム化による効果は工期の短縮だけでなく、一歩進んだ検討が可能となり提案力が増したことだと言う。

「手作業だった時代には比較検討不要と判断せざるを得なかった箇所も、システムを使ってチェックしてみると、実は堰堤の位置を少し上げるだけで経済性がぐっとアップする等、新たな発見がありました」(鈴木氏)

「システムを使ってみて、感覚と実際の値にズレがあることに気付きました。当たりを付けてみて、それが正しいかどうかがすぐ検証できるので、自分の経験値の裏づけにもなりますし、トライアルを数多くこなすことで、それが自分の経験値にもなります」(井上氏)


「V-SABO/Plan」を使って、砂防堰堤の配置検討を行った例
 「V-SABO/Plan」を使って、砂防堰堤の配置検討を行った例


「V-SABO/Road」を使って、砂防堰堤の工事用道路の横断図と断面数量を自動作図した例
 「V-SABO/Road」を使って、砂防堰堤の工事用道路の横断図と断面数量を自動作図した例


「V-SABO/Road」を使って、砂防堰堤の管理用道路と付替道路の平面図を自動作図した例
 「V-SABO/Road」を使って、砂防堰堤の管理用道路と付替道路の平面図を自動作図した例


オプションの導入でさらなる効率化

こうした中、2011年に工事用道路オプション「V-SABO/Road」と渓流保全工オプション「V-SABO/Stream」がリリースされ、翌年、導入に至った。砂防堰堤に付帯する道路(管理用道路と工事用道路)の線形検討において多様な検討の依頼が多くなったり、単価の安い流路工にコストをかけずに対応する必要が生じるなど、さらなる効率化を余儀なくされた背景がある。

「V-SABO/Road」について、鈴木氏はこう語る。

「工事用道路の設計は必要ではありますが、規格の低い道路なので簡単に設計できるだろうと、当初、専用のオプションまでは不要だと考えていました」

しかし、多機能な道路CADだと高規格道路前提の複雑な機能を装備しているため、大量にデータを入力しないと次のステップに進めないなど、簡易的な道路設計では操作性が悪くなる。

「どの程度の機能を装備すべきかについては、ソフトの開発段階からベンダーに意見し、工事用道路にフィットしたソフトになっています。操作性の統一感など、SABOシリーズとして一連で使用するメリットもあって、かなり活用しています」(近藤氏)


V-SABO/Draw
 V-SABO/Draw 「床固工や帯工、治山堰堤の作図にも使っており、大変助かっています」


V-SABO/Stream
 V-SABO/Stream 「落差と流量により水たたきの計算ができるので、縦断線形に反映できます」


V-SABO/Road
 V-SABO/Road 「線形を動かした場合に法面、掘削の影響がどう出るのかなどが即座にわかるのが便利です」


ITで徹底的な効率化

アサヒコンサルタントは、時間・手間をかけずにいいものを作るためのIT投資は厭わない社風であり、ルーチンワークを徹底的に効率化することで集中すべきところに集中する方針だ。

「よりきめの細かい、技術に詳しくない人でも直感的にわかるような成果品を目指しています。今後ベンダーには、機能や効率化だけでなく、インターフェイスのとっつきやすさやアウトプットの美しさなど、見た目にも力を入れてもらいたいと思います」(鈴木氏)


鈴木氏
 「今はワーク・ライフ・バランスが大切な時代。システム導入による工期の短縮で、趣味や家庭の時間 がとれるようになりました」ライブでアルトサックスを披露する鈴木氏。





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