建築積算システムFKS
見積書作成システムKYOEI COMPASS
現場コスト管理システムKiCS・Citrix XenApp
会社概要 株式会社 菅組
所在地:香川県三豊市仁尾町
創業:明治42年(1909年)
資本金:7,500万円
従業員数:108人(2011年2月現在)
事業内容:建築工事・土木工事・一級建築士事務所
左から 総務部、工務課
(株)菅組は100年以上の歴史を持つ香川県の老舗建設会社。病院、学校、社会福祉施設、マンション、住宅などの物件を数多く手掛けている。また直営の堂営大工(宮大工棟梁)を持ち、寺社仏閣などの伝統技術の継承と若手技術者への技術伝承や養成も行っている。同社では、施主のニーズに対するより細やかな対応や企画提案力を向上し、自社の強みを強化するため2006年に社内全部門の選抜メンバーより構成したプロジェクトチームを発足。当初からシステム化による業務の効率化に携わってこられた高橋本部長と山地総務部長に話を伺った。
システムの再構築を目指す
2006年当時、施主様より、電子データ(Excel)で見積書の提供を求められ、当時のシステムではCSVファイルを経由するため、手作業に近い手間がかかっていました。そこで工務部より見積システムの見直し検討の申請がされていました。
この申請に対し部分的な見直しではなく、社内システムを抜本的に見直し、全体の企業力アップになる一貫システムを考えようとの意見が出され、社員全員による情報共有を可能にするシステムの検討、再構築を目指すことが決定しました。
現業の業務手順を変えず、また、社員個々の負担を増やさずに運用できるシステムであることを選考基本指針にしました。
上記の高いハードルへの対応として、当時専務であった菅社長をプロジェクトリーダーとする部門横断の選抜検討プロジェクトチームが編成されました。現行の業務手順にできるだけ近く、発注単価などのコスト情報の全社共有ができるシステムとカスタマイズ技術を有するソフトメーカーを探すことが決定しました。
当時、利用していた積算ソフトメーカーには原価管理システムがなく、開発予定も現行ないとの回答があり、出会ったのが建築積算システム「FKS」、見積書作成システム「KYOEI COMPASS」、作業所コスト管理システム「KiCS」をパッケージとして開発販売していた協栄産業でした。
選定システム内容
FKS(積算)⇒COMPASS(見積)⇒KiCS(現場管理)
1.建築積算システム FKS(積算) 見積書作成システム KYOEI COMPASS(見積)
建築積算システムFKSは、躯体と仕上の拾い出し作業を複数の担当者により、同時に入力が行えます。作業の効率化はもちろん、精度の高い積算も実現しています。見積書作成システムCOMPASSは明細ごとの提出金額やNET金額などのコスト情報を、現場管理システムへ連携させることが可能で、Excel見積データの入出力も簡便にできます。
各現場、工事業者、積算事務所との間で、見積データのやり取りには、Excelでの入出力機能は欠かせない物です。さらに異なった書式の入出力や、双方向のコピー&ペーストも必要な機能です。COMPASSは見積業務に要する時間を大幅に短縮し、案件に合わせて担当者の集中、分散も容易となり、大幅な業務効率の向上を実現しました。
2.作業所コスト管理システムKiCS(現場管理)
2-①実行予算サブシステム:
上記COMPASSデータを取込み、明細別展開マスタや要素別(費目別)展開マスタを参照し、見積データを実行予算データに自動展開します。データの転記ミスがなくなり、実行予算作成が短時間で可能になりました。
2-②見積依頼・業者選定サブシステム:
実行予算データを基に見積依頼したい明細を任意に抽出し、依頼先の業者を設定し見積依頼明細を電子データ(Excel)で作成します。業者から返信された見積回答データ(Excel)は直接システムに取り込むことができます。最大5業者分の見積比較が簡単に行え、短時間で業者選定が可能となりました。
2-③発注管理サブシステム:
採用決定した業者の見積情報を基に発注伺書(社内用)や注文書(注文請書)を発行します。 契約は、一般・単価・現場契約(減額契約・立替契約)の選択ができるようになっています。ここで決定した発注単価データは、発注実績データベースに蓄積され、見積作成、実行予算作成時には、全社においてリアルタイムで参照が可能です。
2-④出来高・支払サブシステム:
支払査定は、一般・単価・現場契約のパターン別に行なうことができます。また出来高情報をExcelにて業者から入手してデータの取り込みも可能です。
発注残高は「予算管理表」を出力して管理を行っています。過払いを未然に防ぎ、会計処理の諸経費データも基幹システムから連動させ、原価に反映させて現場でチェックが可能になりました。
3.アプリケーション仮想化ソリューション「Citrix XenApp」
本社サーバにアプリケーション/データがあり、利用者はクライアントPC(各現場)からサーバアプリケーションを起動し作業ができるようになりました。各現場のPCへのアプリケーションのインストール作業なども一切不要となり、本社にてアプリケーションとデータの一元管理が可能となりました。現場条件による狭帯域のWAN、ダイアルアップ、インターネット等、さまざまな通信環境の違いによる速度影響がなくなり、LAN並のパフォーマンスを全現場にて得られました。
今後の展開
当初の課題であった施主様への見積書(Excel)データの提供から始まり、最終的に一貫システムの構築を実現し、全社員によるタイムリーなコスト情報の共有ができるようになりました。現況原価情報や物件進捗情報を共有することで、社員の業務への意識も変わりつつあり、企業力の向上にもつながっていると感じています。
今回選択したパッケージシステムが機能面において優れたシステムである事は具体的な項目として挙げましたが、パッケージを開発しているメーカー選考が大きな要因であったとも思います。今回の全社システムのスムーズな切換については、単に業務パッケージだけでなくプラットホームの構築など、さまざまな業務知識に精通したメーカーの提案力と実績によるところが大きいと考えます。今後も当社のさらなる効率化を目指し、サポートはもちろん、新たな提案やシステムのバージョンアップなど協栄産業のメーカー力に期待しています。
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