失敗の許されない工事写真。現場技術者たちはどのように撮影を行っているのか?
そして、工事現場用カメラはどう役に立つのか?
実際の高速道路工事現場で、工事写真ならではの撮影術を探ってみた
工事概要
県道高速名古屋新宝線東海IC北工区床版工事及び一般国道247号線橋梁整備工事
●発注者:名古屋高速道路公社
●工期:平成21年9月9日~平成23年8月31日(予定)
●工事延長:L=315m、床版面積 A=5,178㎡、高欄延長 L=1,989m
●施工会社名:株式会社 ノバック
会社概要
会社名:株式会社 ノバック
所在地:兵庫県姫路市
URL:http://www.novac-cnst.co.jp/
創業:昭和40年4月(設立:昭和40年4月)
従業員数:276名(平成22年4月現在)
主な事業内容:総合建設業(土木、建築、管、電気および電気通信工事、その他建設工事全般)ならびに設計業、不動産所有売買など姫路に本社、東京に本店と東西2大拠点を構え、土木・建築ともに全国展開。独自の技術力とノウハウ、実績を強みに、河川や上下水道、トンネル・橋梁といった大規模工事も手がけ、快適な都市環境の整備に貢献している。
写真.左から竹下 展広氏、若松 輝久氏、櫻井 清隆氏、前川 寛文氏
姫路市に本社を構える株式会社ノバックでは、工一郎(こういちろう)シリーズをいち早く全社に導入し、すでに5年が経過している。同社の購買担当者によると、軽量・コンパクトに加えて堅牢なボディが現場に好評価だという。
また、比較的安価な本体価格に加え、2年間のカメラ保険(申し込み無料)が購買担当としても安心して導入できるポイントとのこと。
今回、現場で取材にご協力いただいたのは、「こいつはとにかく小さくて軽いのがいいね」と工一郎のコンパクトさがお気に入りの前川 寛文氏と、「新型は広角レンズになって、とても使いやすくなりました」と語る櫻井 清隆氏。
初期設定のまま現場に持ち出せ!
「撮影モードですか?電子納品するからといって、特に何も気にしたことがありません。初期設定のまま使っています」(前川氏)
工一郎では、「簡単CALSモード」(写真サイズ1280×960、圧縮率ノーマル(1/8)) が出荷時に設定されている。つまり、全ての電子納品対象現場で、出荷時の設定のまま適切な写真撮影ができるようになっているのだ。
全景撮影は広角レンズで!
「この現場で最も多い幅員は9mです。離れると小さく写るので、なるべく近くから幅員方向全体を撮りたいですね」(櫻井氏)
工一郎は、広角28㎜レンズ、光学3.6倍ズームを採用。狭い場所や足場などで制限がある現場では広角レンズが必須だ。
マクロ・スーパーマクロはこんな場面で使う
「マクロはよく使いますよ。鉄筋のラベル撮影(材料検収写真)とか。スーパーマクロは、出来形検測でコンベックスを当て、目盛部だけを大きく撮影したい時や、鉄筋に付いているマークを撮影する時ですね」(櫻井氏)
補正は意外とカンタン!
「床版はコンクリートですから、夏場など、光が強すぎると写真が白くなりすぎるんですよ。一方、出来形写真では構造物に濃淡が出すぎないよう、なるべく均一な色に写った写真を採用したいです。また、逆光ではフラッシュを焚いているのですが、その他に何かよい方法はありますか?」(櫻井氏)
撮影モードは「階調」-「オート」がオススメ。
逆光や暗い場合は、十字ボタンを使い「露出補正」で調整するとよい。撮影直後に画像を確認して、目的の構造物が明るすぎる場合はマイナス(-)方向に、暗い場合はプラス(+)方向に調整するとよい。
薄暗い場所をクリアに、ホコリを写さずに撮れ!
「よく"つぶつぶ"が写っちゃうんですよね」(櫻井氏)
フラッシュ撮影をした場合、空気中に浮遊するホコリや粉塵が写真に写りこんでしまうことがある。こういった現象を、工一郎の「工事写真クリアモード」が解決する。
ホコリが多く薄暗い場所では、粉塵の写りこみ(雪降り現象)を抑え、狙った被写体をはっきり撮影することができる。またフラッシュ光の届かない広い空間を撮影する時も、手前から奥まで明るくクリアに撮影することができる。
夜間工事ではスローシャッターを使え!
「ライトをつけている現場で反射チョッキが光りすぎてフラッシュが焚けない。何かいい方法ないですかね?」(櫻井氏)
そんな時には、夜間工事現場撮影専用モード「スローシャッター」が有効だ。フラッシュ光の届かない現場全体も明るく写し出せる。2秒セルフタイマー(スローシャッター)を使えば、シャッターボタン操作時のブレも防げる。ただし、三脚の使用が必須なので、三脚を使えない場合には、工事写真クリアモードを使ってほしい。
「日々どんな現場状況にあっても、一定の品質が保証された写真を確実に残していくこと」
工事写真撮影において、現場のニーズはこれに尽きる。それが故の「堅牢ボディ」であり、「あらゆる工事シーンに対応した撮影機能」であり、それを補う「万が一のカメラ保険」でのバックアップは、もはや工事現場用カメラの基本性能といえるだろう。
TXT 前田 幸博(株式会社 アール)
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